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2011年度、当社は3ヶ年の中期経営計画「GEAR UP! MOL」
の2年度目を迎えました。リーマンショックの影響が色濃く残る中で策定されたこの計画では、当社が社会とともに持続的な成長を遂げるための施策を、その中核となる戦略の中に織り込んでいます。
中期経営計画(2010~2012年度)「GEAR UP! MOL」
長期ビジョン:世界の海運をリードする強くしなやかな商船三井グループを目指す
メインテーマ:新たなる成長への挑戦
| 戦略1 | 戦略2 | 戦略3 |
|---|---|---|
経済危機からの回復と成長市場への展開加速 世界の成長市場で顧客ニーズへ的確に対応します。(グローバルな営業力強化、等) 戦略遂行のためのインフラの充実 |
安全運航強化 安全運航は、企業としての成長はもとより、社会からの信頼と評価を得る上でも当社事業の根幹をなすものであり、「GEAR UP! MOL」では、世界最高水準の安全運航を目指します。 |
環境戦略 海運サービスの持つ高い環境効率を「船舶維新」プロジェクトの推進等によって一層強化・アピールし、顧客ニーズに応じた輸送と地球環境保全の両立を通じて、世界経済の持続的成長に貢献します。 |
「経済危機からの回復と成長市場への展開加速」のために
不確実性と成長のチャンスが共存する未来を、当社にとっての実りある現実とするためには、変化の予兆をつかみ、素早く優れた判断をし、行動することが不可欠です。
それを支えるのが「攻め」「守り」の双方を意識したコーポレート・ガバナンス体制ですが、「GEAR UP! MOL」において当社は、その鍵の一つとしてビジネスインテリジェンスの強化を掲げています。目指すところは、企業理念
に掲げられている「顧客のニーズと時代の要請を先取りする」ことです。有望な市場、事業環境の変化の予兆をより早く正確に捉え、大きな事業機会をつかみ、あるいはリスク管理に役立てることが、当社が強固な財務体質を維持し、更なる成長を積み重ねていくためには必要です。可能な限りのソースから様々な情報を収集し、組織として的確に共有した上で、経営者の正しい判断に役立つレベルの情報、すなわちインテリジェンスに練り上げること。そしてその判断に基づいて行動することこそが、顧客のニーズに応え、世界経済・社会の発展への貢献に繋がると同時に、当社自身が厳しい競争に打ち勝ち、持続的に成長していくことを可能にします。
今日、成長のチャンスはグローバル市場、特に新興国に存在しています。これをつかみ取るために、変化を先取りし、その市場に対応できる体制を構築できるかどうかは、10年後の当社グループの姿を決める大きな要素です。トレードに即したビジネス拠点において多様で優れた人材を確保・育成し、グローバルスタッフとして活躍してもらうことが欠かせません。また、いかなる土地で事業活動を行うにしても、人権・労働・腐敗防止等に関する高い社会規範を遵守することが不可欠であり、このために当社グループの全世界での活動を貫くコンプライアンスの浸透を図る必要があります。更に、飢餓の撲滅、教育と医療の普及、災害からの復旧といった社会的課題に貢献する活動を通じて、その国・地域の成長を長期的な視点で後押しすることも、当社の責任であり、かつ当社の持続的成長の礎となるでしょう。
海運会社の社会的責任と競争力の根底をなす「安全運航強化」
安全運航は、顧客の荷物を安全・確実に運ぶためにも、我々の事業の舞台である海洋の環境保全のためにも、最優先に取り組むべき課題です。前中期経営計画における安全運航体制の確立を礎とし、2010年度に開始した「GEAR UP! MOL」においては、安全運航体制の「見える化」を徹底し、顧客を始めとするステークホルダーから、安全運航が間違いなく確立されていると客観的に評価されるような、「選ばれる安全運航」を目指しています。
その矢先、2010年5月に発生した鉄鉱石運搬船「BRIGHT CENTURY」の衝突・沈没は、相手方も含め乗組員は全員無事救助されたとはいえ、痛恨の事故でした。既に事故原因調査を基にした再発防止のためのDVDを作成し、日本・フィリピン・インド・欧州の4拠点で当社船員を対象にして開催するSafety Conference(安全委員会)で活用する等様々な対策を講じていますが、重要なことは、こうした重大事故からニアミスに至るまで、そこから教訓を学び再発防止に役立てていくこと、そしてその結果を明確な評価指標を以って監視し、社内で共有し、対外的にも開示していくことだと考えます。
2010年度から幅広い社員の参加を得て定期的な開催を開始した「安全運航がわかる会」は、そのための取り組みの一つです。このようにして安全運航を担保する内部統制のプロセスの「見える化」を進め、「4ゼロ」(重大海難事故ゼロ、油濁による海洋汚染ゼロ、重大貨物事故ゼロ、労災死亡事故ゼロ)を始めとする数値目標を達成することを通じて、世界最高水準と評価される安全運航を実現していく所存です。
世界経済の持続的成長に貢献する「環境戦略」
2009年9月から2010年4月にかけて発表した「船舶維新」プロジェクト。自動車船、フェリー、鉄鉱石専用船を例に、地球温暖化ガス排出の大幅な削減を可能とする低環境負荷船のコンセプトを提示したこのプロジェクトは、幸いにして顧客、造船会社を始め多くのステークホルダーの高い関心を集めました。
「船舶維新」のねらいは、遠い未来の「夢の船」を創造することではなく、近い将来実現可能な技術を集大成すれば、どのような船になるかを示すことでした。当社は発表後直ちに、各コンセプト船の環境負荷低減の基になる要素技術ごとに、開発・実証実験・導入のスケジュールを示したロードマップを作成し、コストと効果も含めて定期的なレビューを実施しながら、各技術の実船搭載を推進しています。また、日々の船舶の運航の面でも、環境効率の高い運航方法のノウハウを開発・展開し、あるいは安全と顧客ニーズを満たす工夫をしながら積極的に減速航行を実施する等して、環境負荷の低減に努めています。
地球温暖化問題を始めとする環境問題は、新興国を中心とする世界経済の成長とこれに基づく輸送需要の増大に応えようとする海運にとって、一面において二律背反を強いるもののようにも思われます。船舶の環境効率を改善することによってこの問題に対する解決策を追求していくことは海運会社の使命であり、ステークホルダーから選ばれる会社になるための鍵であると当社は考えています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災により、当社の顧客を始め多くの産業とそこで暮らす人々が被災し、生産や発電、貿易や物流に甚大な影響が及びました。当社グループは、緊急車両や国内外からの救援物資の輸送に従事し、被災者支援のために客船の派遣も行いました。また、当社グループ内で義援金を募ったところ、日本国内はもとより海外の従業員・船員あるいは取引先からも実に多くの申し出がありました。
今回の震災を通じ、私たちは、海運が担う社会的使命を改めて自覚するとともに、海運そして当社が常に社会の発展とともにあること、顧客・株主・取引先・従業員・船員を始めとする全世界のステークホルダーに支えられていることを痛感しました。思いを新たに、社会とともに持続的・相乗的に成長する商船三井グループを目指して、歩みを進めてまいります。
代表取締役社長

