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環境先進企業を目指して

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当社グループはこれまでも、環境規制への対応や環境負荷低減に向けた取り組みを、ビジネスチャンス、差別化戦略と捉え、優れた環境技術の積極的採用や、新技術の開発に果敢に挑戦してきました。しかし、2015年12月にCOP21で採択されたパリ協定の目標達成や、当社グループのさらなる成長のためには、斬新かつ革新的な取り組みが必須であると考えています。そこで今回、革新的な技術開発で事業を拡大し成長し続けている富士フイルム株式会社様にお伺いし、イノベーションをテーマに対談を実施いたしました。

川越:まず海運業界の特性や環境規制について簡単にご説明します。海運は他の輸送手段に比べ、単位輸送当たりのCO2や大気汚染物質の排出量が少ない、環境側面で優れた大量輸送手段です。しかし一方では、外航船舶から排出されるCO2が全世界のCO2排出量の約2%と、ドイツ一国の排出量と同レベルになります。
現在、世界人口は70億人、国際間の海上荷動きは年間100億トン、2050年には人口が97億人に増加すると予測されており、それに伴い海上荷動きも増加すると考えられます。
今後の世界経済の発展と地球環境保全を両立するためには一層の環境負荷低減努力が必須であり、こうした背景から海運業界における環境規制も年々厳しさを増している状況です。

柳原:外航船舶から排出されるCO2がドイツ一国に相当するとは驚きました。今後、環境規制はさらに厳しさを増すと考えられますが、現在どのような方向で取り組みを進められているのでしょうか。

川越:近年、お客様の環境に対する意識は格段に高くなり、また輸送に対するお客様のニーズも多様化し、環境規制に対応するだけではお客様から信頼されるパートナーとして選んでいただけない時代になっています。そこで、お客様のニーズに積極的に応え、且つさらなる技術革新を推進していくために、2016年2月にIT戦略委員会と技術革新・環境対策委員会を新設し、社内横断的に取り組む体制を構築しました。今後は様々な船種を保有し幅広いサービスを展開している当社グループの強みである総合力を十分に生かしながら、お客様に提供できる新たな価値を模索していきたいと考えています。
しかし、新たな価値を創造し差別化することは容易ではなく、そこには既成概念にとらわれない発想力やイノベーションが不可欠であると考えます。そこで是非、富士フイルム様のイノベーションを起こす仕組みや風土についてお伺いさせてください。

柳原:当社はコーポレートスローガンを「Value from Innovation」としており、イノベーションは合言葉のように社内に深く根付いています。そして、それは時代の大きな変化や厳しい競争を勝ち抜いてきた歴史を社員が共有しているがこそのものだと思います。現在、当社はマーケットを重視した事業を展開していますが、写真用カラーフィルムの世界総需がちょうどピークを過ぎた2000年過ぎまで、完全にプロダクトアウトの会社でした。そういう状況の中でデジタル社会の到来による危機を迎えたわけですが、当時やったことは自社が保有する技術(シーズ)の徹底的な棚卸でした。その結果、他の産業に応用できそうな技術をたくさん保有していることが明らかになりました。ひとつの代表例としては、コラーゲンや酸化防止、ナノ分散など、長年の写真フィルムの技術開発で培った技術をベースにした化粧品が挙げられます。

川越:多くの難題やご苦労もあったと思いますが、当時、技術開発に携わった方々のその発想力と実行力の源泉は危機感でしょうか。

柳原:時代がデジタルに進む中でビジネスモデルの転換を迫られたわけですから、危機感が発想力や実行力の原動力になっていたことは間違い無いと思います。しかし一方では、写真フィルムが無くなるという現実を直視し、そこに向き合ったからこそイノベーションが生まれたと言えるかもしれません。例えば商船三井様の場合、船が無くなることを想像したらどうなるのでしょうか。船が無くなる、海が無くなる。少し違う視点で、工場が無くなり船に置き換わるなど。

川越:船が無くなるという発想は、我々からは想定しえない発想ですね。しかし、3Dプリンターができたことで、実際のものを運ぶ必要が無くなるなど、劇的な変化が起きる可能性はあるかもしれませんね。

柳原:個人で原料を買って、3Dプリンターを用意するのは大変ですから、例えばインターネットでオーダーして、原料が船に積まれて、届くまでに3Dプリンターでものが仕上がる。運ぶ過程の中で付加価値をつけるイメージでしょうか。価値という観点で考えた場合、我々は様々な製品を輸出入時に運んでいただいていますが、これまでの概念は、製品の価値は変えずにものをAからB地点へと移動していただくことが価値だったわけですよね。つまり、輸送する1か月の間に製品の品質や安全がしっかりと保たれていることが条件だったということができます。しかし、移動による価値の差がつかなくなった現在、これからは移動の過程で付加価値をつけるという発想はいかがでしょうか。例えば、我々がA地点から製品を送りだして、B地点に到着するころに、カスタマイズされた製品が出来上がっていたら価値が上がりますよね。例えばそういうことが現実に可能であれば、人の暮らしを豊かにするために、船にできることは、まだまだたくさんあると思います。

川越:輸送中はある意味時間が止まっていますから、その時間を有効に使うということですね。また、輸送中の環境をポジティブに利用することも考えられますね。例えば、風の力を利用して航走しながらエネルギーをつくるなど。

柳原:イノベーションというと、とかく技術革新を想起しがちですが、まずは自社が保有する技術や強みを棚卸して、世の中の潜在ニーズと照らし合わせながら、かゆいところに手が届くようなソリューションを提供すること、そのために技術のみならずあらゆるものを新結合させて顧客価値を創造することが肝と考えています。その仕掛けの一つが、2014年1月に開設したこの「オープンイノベーション ハブ」であり、この場を活用して異業種の皆様とも密に情報のキャッチボールを行い、新たなイノベーションの火種が生まれはじめています。

川越:本日の対談では、多くの斬新なアイデアやご意見をいただき、ありがとうございました。当社グループでは、これまでも優れた環境技術の積極的採用や、新技術の開発に果敢に挑戦してきましたが、柳原様との対談を通して、新たな価値創造に向けてできることはまだまだあると確信しましたし、発想力を養うためのヒントもいただきました。今後も技術革新を通じた価値創造に向けてグループ一丸で取り組んでいきます。

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