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ヤマルLNGプロジェクトを支える安全運航

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商船三井は、拡大し続ける世界のエネルギー需要に応えるためにフロンティア開発を輸送面からサポートし、世界に貢献します。2016年5月に商船三井1番船(ヤマルプロジェクト5番船に相当)の建造を韓国・大宇造船海洋(株)オクポ造船所にて開始しました。2017年初めには当該プロジェクト1番船が竣工します。プロジェクトに参画する全船社による立会の下で、ロシア・カラ海にてアイストライアル(砕氷性能確認試験)を実施し、安全に北極海を航行できることが確認されたのちに、運航サービスを開始します。

北極海航路の可能性

ロシア沿岸を通りベーリング海峡に抜ける北極海航路が、新たな輸送ルートとして国際的に注目されています。本プロジェクトでは、夏季には北極海航路を経由して東アジア向けにLNGが輸送されます。北極海航路を平均15ノットで航行するという仮定においての計算になりますが、北極海航路を通行することで東アジアまでの航海日数は15日程度となり、およそ35日かかるスエズ運河経由の航路と比較して、大幅に日数を短縮することができます。消費燃料については、約30%削減することができます。さらに、北極海航路を経由する場合には、海賊頻発地帯であるソマリア沿岸、およびマラッカ海峡を通らずLNGを輸送することができます。北極海航路を利用する新たな輸送ルートの確立への取り組みを通じ、資源の安定輸送に貢献します。

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プロジェクトの内容

ヤマルLNG基地に面するカラ海は冬季に全面結氷する海域です。平均気温は、冬季には約マイナス30度、時にはマイナス40度を超えることがあります。安全運航は乗組員の支えがあってこそ実現しており、過酷な自然環境下においても、乗組員が十分にその能力を発揮できる環境を整備していくことが重要です。在ロンドンの当社船舶管理子会社が主体となり、プロジェクトに参加する他の船会社の船舶管理会社と連携しながら、現在は運航上のリスクの洗い出しを行っています。

ヤマルLNGプロジェクト紹介動画はこちら

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過酷な環境での運航を支える安全対策

ヤマルプロジェクトの砕氷船は、北極海に深い知見を持つロシアおよび北欧の研究機関、船級協会、建造造船所等が、長期にわたって砕氷船殻構造、砕氷航海、寒冷地対策等のリスク分析スタディーのうえ、さらには北極海航路の運航実績が豊富なソブコムフロート社の技術知見を加えて完成した仕様です。

ダブル・アクティングLNG船 ダブル・アクティングLNG船 強靭な砕氷補強船殻 機関室設計 船橋 船橋 居住区防寒対策 甲板上の着氷凍結防止策、防寒対策 救命設備
CG提供:Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering Co., Ltd.

① ダブル・アクティングLNG船

(Double-Acting LNG Carrier)

本船は、氷が存在しない海域や、薄い氷の海域では、船首前進操船します。船首水線下の船殻は、アイス・バウと呼ばれる氷を割りやすい特殊な形状で、強靭な船体補強が施されています。船首前進操船では進めないほどの厚い氷に遭遇した場合は、反転して船尾前進操船に切り替えます。船尾前進時には、特殊な形状をした船尾補強船殻 で厚い氷を砕氷して、3軸のアジポット・ステンレス製プロペラが、砕けた氷を船首方向へ掻き出しながら砕氷進行します。船首前進時は150cmの厚みの1年氷、船尾前進時は210cmの厚みの1年氷まで砕氷可能な設計としています。

② 強靭な砕氷補強船殻

(アイスクラスArc7、外気-50℃設計)

一般商船では最上級クラスのArc7アイスクラス*を取得します(LNG船ではArc7は世界初採用)。水線下の船殻には一律して強靭な補強が施され、かつ、氷が付着しにくい低摩擦型アイスブレーカー塗料で保護されています。その船殻重量は非アイスクラス同型船と比べて実に約25%もの増加となります。
船体の喫水線近傍(アイスベルト)は、押し寄せる氷の圧力に耐える最も強靭な補強が施され、かつ、-50℃の外気にも耐えうる特殊な低温Eグレード鋼材を使用しています。

(*)Arc7アイスクラス:ロシア船級協会はアイスクラスを9段階(Ice1~3、Arc4~9)に分類分けしており、Arc7クラスは上位3番目クラスに属します。Arc8,9クラスの一般商船は実在しないので、現時点ではArc7が最上級クラスとなります。LNG船ではArc7は世界初採用となります。

③ 機関室設計

(ダブルハル構造、左右分離隔壁、海水取水口)

標準的なLNG船では貨物区画のみがダブルハル構造ですが、本船は機関室区画にもダブルハル構造を採用し、万が一の船殻損傷時にも浸水・油濁リスクを低減するための万全の安全設計を施しています。
機関室区画は中央に防火隔壁を設けて、重要機器は左右舷両方に配置しています。
機関の冷却用海水取水入口(シーチェスト)は、氷海域において小氷片の混入による閉塞を防ぎ、推進機関を継続して運転できるよう、喫水線より高い位置にまでそびえる巨大な取水ボックス(アイスシーチェスト)としています。

④ 船橋

(操船ステーション)

本船は厚い氷海域下で後進操船するため、船橋操船ステーションも船首前進・船尾前進操船用に二重設備化しています。船首前進・船尾前進用船橋は、長時間の極寒地操船の寒さ対策として、完全なる閉囲型構造としており、両船橋は渡り廊下で結ばれています。
操船機器は、アイスレーダー、高輝度サーチライト、Night Vision Ice監視カメラなどの前方の氷塊早期発見を目的とした設備や、船体氷圧力計測装置、北極海でも使用可能な通信設備など、さまざまな特殊機器を配備しています。

⑤ 居住区防寒対策

3系統の暖房システム(セントラル式エアコン・電気ヒーター・オイルヒーター)、従来船より厚みを増した外壁断熱材、3重ガラス窓など万全の防寒対策を施しているほか、サウナや温水プールなど船員の福利厚生設備も充実しています。

⑥ 甲板上の着氷凍結防止策、防寒対策

甲板上機器は、温度に影響されにくい電動駆動式の機器を主に採用し、-50℃低温下での作動試験を合格した機器のみを選定しています。
水系配管は、電熱式や蒸気式のヒートトレースを巻いて凍結を防止し、バラストタンク内も天井部に蒸気式ヒーティングコイルを施して、タンク内凍結を防止します。
甲板上の積雪・着氷を溶かすため、至る箇所に蒸気噴射ノズルを設けるほか、消火海水管には蒸気式ヒーターで加温した温海水を供給できるように設計されています。
甲板上で作業するクルーの安全対策として、シェルターを要所に配備し、船首係船区画は天井屋根付き、船尾係船区画は上甲板下デッキに配置、として積雪や海水飛沫による着氷を防止します。

⑦ 救命設備

氷海域での非常時救命設備として、サバイバルキット(防寒服、テント、寝具、ストーブ等)を船上保管する等、北極海航海に適合したさまざまな特殊な救命設備を備えています。

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