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吹き付けるだけで半永久的な機能持続
環境にやさしい親水防汚処理技術
大型船舶に施工・効果を実証

2008年07月02日

(株)商船三井・技術研究所は、(株)エヌエム、およびグループ会社のエムオーエンジニアリング(株)とともに、親水防汚処理技術(製品名:ウォーターコート)をフェリー6隻の客室等のガラス窓に試験施工し、船舶の汚れを防ぐ機能を確認しました。
ウォーターコートは、建物、自動車及び鉄道車両などを対象に多くの使用実績がありますが、大型船舶への施工は初めてです。また水を利用した親水性の防汚技術を大型船舶に施工した例は、世界でもはじめてと考えられます。

ウォーターコートの特徴

水道水を専用セラミックに通し、親水性の機能水に変換、その機能水を高圧洗浄機で吹き付け、施工対象物をコーティングすることにより汚れを防止するシステムで、㈱エヌエムが特許を取得しています。

主な特徴
  • 高圧洗浄機で吹き付けるだけで、半永久的に機能が持続する
  • 連続した塗膜ではないので、ひび割れたり剥がれたりしない
  • 環境に負荷を与える成分はまったく入っていない
  • 清掃や塗装の頻度を減らすことができ、洗剤などで洗浄する必要も無く、清水消費削減及び環境負荷を与えない
  • 被膜により紫外線を反射し、ガラスや塗装面の耐候性を高める。

ウォーターコートのメカニズム

福井大学が(株)エヌエムと産学協賛事業で開発したこのシステムは、自然界にある約10種類の鉱物を加工した特殊なセラミックの性質を活用し水を電気分解し、施工対象物の表面の凸凹に電気メッキの原理で、被膜を作る仕組みを利用しています。
従来のフッ素やシリコン樹脂を含むケミカル系コーティングとは全く異なり、100%無機質のガラス成分(ホウ酸シリカ)を対象物分子に電着させて、空気中の炭酸ガスにより結晶化する原理を利用したコーティング技術で、結晶化したガラス分子の集合体が被膜となって対象分子を被い長期間防汚、保護します。

試験施工の内容と効果

試験期間:
2007年6月~2008年5月
検証実施船舶:
さんふらわあ ごーるど、さんふらわあ ぱーる、さんふらわあ さっぽろ、さんふらわあ だいせつ、さんふらわあ ふらの、さんふらわあ しれとこ
試験方法:
ウォーターコートを上記船舶の客室窓、大浴場窓、レストラン窓等に施工し、経過観察を行った。
観察結果:
降雨が直接あたる窓ガラスでは、雨水による洗浄・防汚効果は明らかに発揮された。降雨が直接当たらないガラス面においては、水をかけるだけで簡単に汚れを洗い流せることが確認できた。このため、フェリーの乗客に快適な船旅を提供する一助になることが認められた。

今後の取り組み

今回の試験施工により、ガラス面での効果が確認されたため、グループのフェリー・客船の窓への施工を積極的に推進する。また、塗装面の表面硬度向上による耐候性向上及び防汚効果も得られることから、今後、船体塗装面への試験施工を検討する。

関連写真

左下/右下:ウォーターコート親水処理を高圧洗浄機で吹き付ける作業中

 

下:施工後、約半年経過したガラス窓。施工後このフェリーは、阪神/大分間を約50往復している

ご参考

  • エムオーエンジニアリング(株):商船三井運航船の維持管理で磨いた技術をベースに、安全運航遂行に関わるハード・ソフト両面の業務を行う。(本社:東京都品川区)
  • (株)エヌエム:特殊高圧洗浄コーティング機や、ウォーターコート専用特殊セラミック洗浄液などの製造・販売・施工会社。ウォーターコートは、第27回発明大賞(日本発明振興協会主催)の考案功労賞などの賞を受賞している。(本社:福井県福井市)