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次世代船シリーズを構想
~第一弾 自動車船「ISHIN- I」~

2009年09月10日

当社がこれまで開発・採用してきた技術を最大限に進化させ、近い将来 技術的に実用可能な次世代船の構想をまとめました。
第一弾は環境負荷軽減型の次世代自動車船です。今後もフェリーやばら積み船・タンカー、コンテナ船などの次世代船シリーズ構想を順次まとめ、時代を前へ進めます。
世界の海運をリードする商船三井の挑戦にご期待下さい。

同シリーズに込めた思いの「船舶維新」をキーワードに、第一弾の自動車船を "ISHIN-I"(イシン ワン)と名づけました。特長は、次の通りです。

【"ISHIN-I"の2大特長】

  • 港内航行・荷役中:ゼロエミッション(排ガスゼロ)を実現
    従来の自動車船での自然エネルギー利用を更に発展。大容量の太陽光パネルや蓄電池などを導入し、ゼロエミッション実現を果たす。
  • 大洋航行中:CO2排出を50%削減(*)
    新技術を複合採用し、環境負荷の大幅低減を図る。

    *当社旧船型(小型乗用車6400台積 自動車船)単位台数当たりと比較し、41%の削減を達成する。
    今後 船体大型化のニーズが出てきた場合には、50%削減が可能。

特別サイトを公開
当社技術革新の歩みとともに"ISHIN-I"の詳細を説明しています。
「船舶維新 ~未来への鍵は歴史に~」 URL http://www.mol.co.jp/ishin/

【予想図】

【2大特長を実現する主な技術】

  • 自然エネルギー利用
    自動車船"EUPHONY ACE"や"SWIFT ACE"に部分採用済みの太陽光パネルを大幅に拡大し、上甲板のほぼ全面に設置する。
    大容量の蓄電池(リチウムイオン電池)を搭載し、電動推進機関と組み合わせることで、港内航行・荷役中のゼロエミッションを実現する。
  • 推進効率最適化
    • (1)二重反転プロペラ推進システム
      ディーゼル機関と電動推進機関を組み合わせた上で、プロペラを前後に配置。互いに負荷を分担し逆方向に回転させることで、前方プロペラの回転エネルギーを後方プロペラが吸収するなど、効率が大幅に向上する。
    • (2)改良型省エネ装置「PBCF」(Propeller Boss Cap Fins)
      当社が開発し、世界中1700隻以上の船のプロペラに採用されている省エネ装置で、その改良型を装備する。
  • 改良型「風圧抵抗軽減船型」
    当社が開発した、船首・船側方向からの風圧を軽減する形状の更なる進化。
    船尾の形状も滑らかにすることで、風の流れを更にスムーズにする。
  • 摩擦抵抗低減
    塗膜にできる微細な凹凸に水をとらえて凹凸部分を減少させ、摩擦抵抗を少なくする超低摩擦型船底塗料の次世代型を採用する。
  • 最適運航支援システム
    船体の運航状況をモニタリングしながら最新の海気象データを利用し、船型毎に異なる性能特性を考慮しながら最短航路、最小燃費航路を探索する。
  • 機関システム効率化
    エンジンへの燃料供給量を電子制御し、最適燃料供給量で運転。排気ガスと共に廃棄していた熱エネルギーを高効率で回収し、再利用する。
  • 船体最適設計
    水面下の船体形状を大幅に改善し、燃費向上効果を追求する。
  • 新パナマ運河に対応した船体大型化
    船体大型化のニーズがあった場合、プロペラを2軸にし、推進性能および燃費効率の大幅な改善が可能。
    その効果で自動車一台輸送当たりのCO2排出量を50%まで削減可能にする。