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次世代船シリーズを構想
~第二弾 フェリー「ISHIN-II」~

2009年12月02日

近い将来 技術的に実用可能な次世代船の第二弾(注1)として、当社ではこのほどフェリーの構想をまとめました。次世代の貨物・旅客輸送を担う環境負荷低減型のフェリー(「ISHIN-II)です。
環境に配慮した輸送手段であるフェリーは、モーダルシフト(注2)の担い手として重要な役割を担っています。これまで開発・採用してきた技術を最大限に進化させ、環境負荷をさらに低減させるとともに、快適性を高めた次世代フェリーを目指します。特長は次の通りです。

「ISHIN-II」の3大特長

  • (1)燃料はLNG:
    航行中--LNG燃料による排ガスのクリーン化とCO2排出大幅削減
    (注3)
  • (2)陸上電力プラグイン:
    港内航行・停泊中--陸上電力と蓄電池利用によるゼロエミッションを実現

    フェリー岸壁から供給される電力を最大限に利用し、港内航行時や停泊中のゼロエミッション(排ガスゼロ)実現を果たす。
  • (3)快適性の重視
    自由とくつろぎの時間を乗船客に提供する。「船に泊まろう」をキャッチフレーズに、居住空間の振動の最小化や静粛性を向上させると共に、顧客の利便性を重視した快適なフェリーサービスを提供する。

    (注1)9月10日発表の第一弾「ISHIN―I」は、環境負荷低減型の次世代自動車船。
    次世代船シリーズに込めた思いの「船舶維新」をキーワードに「ISHIN」と命名。

    (注2)自動車や航空機による物流を、環境負荷の低い輸送モードである船舶や鉄道の利用に転換、CO2排出量削減などを図ること。
    (渋滞緩和や交通事故防止、少子高齢化による労働力不足の緩和なども期待される)

    (注3)(1)(2)の導入と新技術の複合採用で、現在の当社グループフェリー(燃料はC重油)と比較し、1航海あたり
    CO2=50%、NOx=90%、SOx=98~100%
    PM(煤塵=ばいじん=などの微粒子)=98% の排出量削減を達成する。

    《参考資料》 【予想図】

3大特長を実現する主な技術・サービスコンセプト

(下線部分は、フェリーの特性を活かした技術)

  • LNG燃料使用
    従来のフェリーが主に使用しているC重油に比べ、単位熱量あたりのCO2排出量が20%以上少ないLNG(液化天然ガス)を主機と発電機の燃料とし、CO2の排出を大幅に削減する。
    NOx・SOx・PM(煤塵=ばいじん=などの微粒子)の排出も、LNG燃料は各々約90%・約98~100%・約98%少ない。環境負荷を大幅に下げることが可能。
  • 陸上電力プラグイン
    陸上設備からの電力供給を受け(=陸上電力プラグイン)、港内ゼロエミッションを実現する。
    *現在大阪南港のフェリーターミナルなどで整備検討中。
  • 自然エネルギー利用
    船室の窓全面に太陽電池フィルムをはり付け、客室への入射光を軽減するとともに、太陽光発電を行って自然エネルギーとして有効利用を図る。
    この自然エネルギーと航行中の余剰エネルギーを、大容量の蓄電池(リチウムイオン電池)に電力として充電し、港内航行時・停泊中のゼロエミッション実現のための陸上電力を補う。
  • 推進効率最適化
    • (1)二重反転プロペラ推進システム
      ディーゼル機関と電動推進機関を組み合わせた上で、プロペラを前後に配置。互いに負荷を分担し逆方向に回転させることで、前方プロペラの回転エネルギーを後方プロペラが吸収するなど、効率が大幅に向上する。
    • (2)改良型省エネ装置「PBCF」(Propeller Boss Cap Fins)
      当社が開発し、世界中1700隻以上の船のプロペラに採用されている省エネ装置で、その改良型を装備する。
  • 摩擦抵抗低減
    • (1)船底空気層潤滑
      船内から微細な気泡や空気層を放出して船底を覆い
      、摩擦抵抗を低減する。
      さらにその空気を回収、再循環させて使用することでエネルギーを省力化する。
    • (2)超低摩擦船底塗料
      塗膜にできる微細な凹凸に水をとらえて凹凸部分を減少させ、摩擦抵抗を少なくする超低摩擦型船底塗料の次世代型を採用する。
  • 機関システム効率化
    エンジンへの燃料供給量を電子制御し、最適燃料供給量で運転。
    LNGを燃料とすることで排気ガス中のSOx成分がほぼなくなる。
    これによりC重油を使用した機関よりもさらに高効率で、排気ガス中の熱エネルギーを回収、再利用できる。
  • 船体最適設計
    水面下の船体形状を大幅に改善し、燃費改善効果を追求する。
  • 快適性の重視
    「船に泊まろう」をキャッチフレーズに、快適な移動空間の提供を追求する。推進効率最適化に伴う主機の小型化と免震設計により、低振動と静粛性を高める。ITを使った乗船手続きの簡素化、乗用車専用のランプウェイの設置による乗下船の迅速化など、顧客の視点に立った装備とサービスを提供する。