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創立記念日 社長挨拶文

2011年04月01日

当社創立記念日での社長 武藤光一の挨拶をお知らせします。

素早く動いた者が変化を勝ち残る

MOLグループの皆さん、当社は本日127年目の創立記念日を迎えました。今日までの長きにわたる歴史を刻み、荒海の時も乗り越え、わがグループは世界に冠たる総合海運企業グループへと発展して参りました。この間には様々なことがありましたが、戦後では、先月起きた東北地方太平洋沖地震は、日本にとって特筆される大惨事となってしまいました。この地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。一刻も早い復興に向けてMOLグループも支援を続けていきたいと思います。惨状を目の当たりにして茫然とするばかりですが、それでもわれわれは未来に向かって力強く歩み続けなければなりません。

今の努力が10年後を変える
さて、最初に皆さんに考えていただきたいことがあります。10年一昔と申しますが、果たして10年前の2001年に今日のMOLグループの姿を想像することはできたでしょうか。10年前にも、確かにわれわれは高い志、目標を持っていましたが、それ以上の成果を収めたと思います。この10年間で船腹量は640隻・36百万トンから、約920隻・約62百万トンへ、連結売上高は2000年度の8,879億円から2010年度の約1兆5,300億円へ、連結経常利益は530億円から1,200億円の見込みへとそれぞれ大きく成長し、また、この間、2007年度には売上高で1兆9,456億円、経常利益で3,022億円も記録しました。これは、外部環境の影響もありますが、今の私たちの努力次第で10年後、2021年のMOLグループは更に大きく変貌を遂げる可能性があることを私たちに示していると思います。ではこの記念日にあたり、10年後を見越し、これからの1年間に私たちがどのような努力をすべきかをお話したいと思います。

「GEAR UP! MOL」2年目は変化の先取り競争
本日は中期経営計画「GEAR UP! MOL」の2年度目のスタートの日でもあります。1年目の2010年度は、「GEAR UP! MOL」の初年度目標値を超える連結経常利益1,200億円レベルの良好な業績となる見込みであり、「危機からの回復と成長市場への展開加速」という方針の最初の目標は実現することができました。しかし、部門ごとでは、2009年度赤字のC2O※1の中からコンテナ船部門(C)と自動車船部門(C)が鮮やかに復活した一方で、依然として油送船部門(O)が大変な苦戦を強いられるなどまだら模様を示しており、決して手放しで喜べるものではありません。これは、多種の海運事業をバランス良く持ち、好調な事業が不調な事業を補う「ムカデ経営」※2が効を奏した結果と言えるのですが、本日から臨む2011年度にはそれぞれの事業においていくつもの不安要素が横たわっています。新造船の大量竣工懸念やソマリアの海賊問題に加え、緊迫する中東情勢やそれに伴う原油高など、海運マーケットの前途は不透明感をぬぐえず、私たちは一層気を引き締めてこれらに挑まなければなりません。一方で、IMFは2011年の世界経済成長率について4.4%という高い伸びを予想しており、中でも新興国は6.5%と著しい成長を予想しています。「GEAR UP! MOL」で掲げた通り、成長のチャンスはグローバル市場、特に新興国に確実に存在しているのです。

このように、不確実性と成長のチャンスが共存する未来を、当社にとっての実りある現実とするためには、変化の予兆をつかみ素早く対応できるかどうかが鍵になってきます。変化に対応して、素早く優れた判断をし、行動をした者のみが厳しい競争に打ち勝って生き残っていくのだと思います。トレードの形が一夜にして劇的に変わることもあり、海運市況のボラティリティはますます高くなってきています。このような事業環境の下でもひるまず、リスク管理という盾に磨きをかけ、変化に果敢に挑むチャレンジ精神を鍛えてほしいと思います。変化への対応の巧拙を競うことが経営そのものとも言えます。

※1 C2O:Container、Car、Oilの頭文字を取っている。

※2 ムカデ経営:複数の海運セグメントに事業展開することを、多数の脚をもつムカデに例えている。

グローバル体制の最適化
伸張するグローバル市場で成長のチャンスをつかむためには、それに適した体制を常に追求しなければなりません。当社グループは既に、日本発着以外のトレードによる売上高が50%を超えていますが、「GEAR UP! MOL」では2012年度末までにこれを65%に引き上げる計画としています。本年度は、さらに新興国成長市場での商圏拡大のための体制をGEAR UPしていきます。先日発表された、わが国の鉄鋼業界の大再編の動きなども、グローバル市場で戦うための体制作りと思います。新興国市場への取り組みには、多くの苦労を伴い忍耐力も要するでしょうが、変化を先取りし、そのマーケットに対応できる体制を構築できるかどうかが、10年後のMOLグループの姿を決める大きな要素です。コンテナ船事業などでは既に取り組みが進んでいますが、トレードに即したビジネス拠点を最適な場所に設け、その拠点で優れた人材を確保・育成し、グローバルスタッフとして活躍してもらうことが欠かせません。
船舶の安全運航の要である乗組員についても同じことが言えます。2011年度は世界的な新造船の大量竣工により優秀な船舶職員が不足してきます。当社は既にこの動きを先取りし、フィリピン、インド、ヨーロッパなどで採用した若手船員を対象に自営練習船を用いて充実した訓練を実施するなど、世界各地で優秀な船員を確保、育成してきました。今後ともこの手を緩めることなく他社との差別化を図っていきます。安全は人が担うとの信念の下、お客様に評価していただける世界最高水準の安全運航を目に見える形で実現していきましょう。

行動し、走りながら考える
現在のように不透明感があって先が見えにくい時であっても、チャンスをつかむためには行動が必要です。考えることは大切ですが、考えてばかりでは何も始まりません。行動を起こし、走りながら考えて次の手を繰り出していきましょう。グローバルに企業価値を高めるために、皆さん一人ひとりが、大きなチャートに基づき行動するということを率先して実践してもらいたいと思います。各部における具体的な進むべき道標については「GEAR UP! MOL」に示されていますが、変化に対応すべく、コンパス会※3などでその軌道を確認しつつ、われわれの前途に漂う不透明感を吹き払い、自信を持って大きく進んでいきましょう。来年の創立記念日に、私自身も含め、この1年にどのようにMOLグループの企業価値を向上させたのかという問いに答えられるよう行動していき、そして、その評価を踏まえて更なる高みを追求していくことを一歩、一歩積み重ね、10年後のMOLグループを、今の姿からは想像できない、より素晴らしい企業グループにしていこうではありませんか。
最後に、MOLグループ全運航船の安全運航と、全世界の当社グループの皆さんとご家族のご健康とご多幸をお祈りして、私の創立記念の挨拶とさせていただきます。

※3 コンパス会:部門ごとに社長と社員が直接の意見交換/情報共有をする会。