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創立記念日 社長メッセージ

2014年04月01日

当社は4月1日に創業130周年の記念日を迎えました。
社長  武藤光一のメッセージを下記のとおりお知らせします。

STEER FOR 2020 ~確かな成長に向かって~

MOLグループの皆さん、本日当社は創業130周年を迎えました。1884年に大阪商船が設立されて以来、世界大戦での船舶の大量喪失、日本の海運会社の集約、幾度かの急激な円高、幾多の世界経済危機などを諸先輩方のご苦労と創意工夫により乗り越えて、今日に至りました。また、タンカー、自動車、鉄鉱石などの各種専用船、フルコンテナ船、LNG船などの新船型の開発から次世代船構想「船舶維新」プロジェクトに至る船舶のイノベーション、及び、安全運航の徹底に努めてきた歴史でもあります。そして、本日からMOLグループは将来に向けて新たな歴史を刻んでいきます。

さて、現在の海運業を取り巻く環境は、先進国を中心とする景気回復に伴い世界の海上荷動きは拡大し、船腹需給ギャップが改善しつつあるものの、引き続き存在する過剰造船設備により、市況環境の構造的な好転には至っておりません。このような事業環境認識の下、全社を挙げて検討を重ね、中期経営計画を策定し、2020年3月期に向けてMOLグループは大きく舵を切っていくという思いを込めて「STEER FOR 2020」と名付けました。「STEER FOR 2020」では、右肩上がりの市況想定を前提とした従来型の利益目標とは一線を画し、難易度の高い輸送にも果敢に挑戦しながら顧客に付加価値を提供することで、質の高い確かな成長を目指します。本日は、事業環境の変化に対応し、これまでの経営方針を変革するべく策定した「STEER FOR 2020」で目指すべき姿、取るべき行動指針などについてお話したいと思います。

【事業ポートフォリオの変革】
当社のコアコンピタンスを生かした高度なサービスを通じて顧客に付加価値を提供することにより、市況に左右されず、長期的に安定収益が見込める収益構造への転換に注力します。具体的には、シェール革命の追い風を最大限に生かして、この数年に急速な拡大が見込めるLNG船事業と、新たな事業領域として成長が期待できる海洋事業で当社の特色を生かせるプロジェクトへの投資を拡大します。そのために全社的に経営資源の再配置を行い、当社の事業ポートフォリオを大胆かつ迅速にLNG船・海洋事業へシフトします。

【事業モデルの変革】
日々マーケットと対峙するビジネスにおいても、天馬行空(てんばこうくう)のごとく自由な発想で創意工夫を行いながらチャレンジしていく必要があります。従来の市況回復期待型モデルを改め、市況変動の影響を抑制して、市況水準にかかわらず確実に利益を上げられる体制の構築を目指します。長期の固定船腹をベースとした営業活動では、市況環境により損益が大きく影響されるので、これからは、市況変動に対する耐性を高めた柔軟な船隊を作り上げる必要があります。また、特殊なノウハウが必要な高付加価値な貨物輸送に注力しつつ、トレードの最適な組み合わせによる効率配船などにより、マーケット+αを追求します。市況環境によらず自らができる努力としてコストの合理化を徹底的に追求し、優位性を確保していきます。

【事業領域の変革】
これまでコンテナ船、タンカー、ドライバルクをはじめあらゆる部門においてグローバル化を加速し、海外展開を進めてきましたが、これからは海上輸送の上流または下流といった垂直方向の事業領域の拡大にも目を向けていきます。既に、ターミナル事業では強力なパートナーと提携して、今後の事業拡大の基盤を整備しました。また、これまでの原油、LNGといったエネルギーの海上輸送からさらに上流に踏み込んだ海洋事業を積極的に拡大することで、新たな事業領域を開拓します。
新たな事業領域の開拓に必要となる経営資源は社外からも積極的に取り込み、確かな成長に資する、将来のMOLグループの支柱となるような事業の拡大を目指します。

【部門戦略】
LNG船・海洋事業は先ほど触れたとおり、長期安定利益の確保を目指し今後大きく拡大していく事業です。ただし、事業を拡大していくには、高付加価値のサービスあるいは高度な技術力にさらに磨きをかけていかなければいけません。これまでは営業部隊がプロジェクトを獲得した後に、技術部、海上安全部、船舶管理会社などが本格的に参画して輸送サービスを提供していくのが実態でしたが、事業がより高度化・専門化していく中、営業部隊と関係各部が最初から一体となってプロジェクト獲得に取り組む必要があります。そうすることで、他社の追随を許さない価値あるサービス・商品を作り上げていきます。
油送船事業においては、シェール革命による物流動向を見極めながら、市況エクスポージャーを抑えつつ、配船を工夫して、顧客の輸送ニーズに確実に応えるサービスを提供していきます。
ドライバルク船事業においては、ケープサイズによる安定利益の維持・拡大を図るべく、日本の顧客との関係深度化と、成長する海外顧客とのビジネス拡大を行います。中小型バルカー分野については、付加価値を発揮できる貨物分野に注力するとともに、市況耐性の高い船隊構成への転換を図ります。電力炭船・木材チップ船分野においては、安定利益の柱として引き続き商権の維持・拡大を図り、海外市場にも積極的に営業展開します。
自動車船事業では、顧客の現地生産化に伴う輸送ニーズの変化に対応し、競争優位なサービス構築、配船の効率化、三国間・復航トレードでの商権拡大を図ります。
コンテナ船事業は、経営目標達成のための重要な鍵を握っています。戦略的提携を活用しながら、競争優位を実現するために必要な投資は維持しつつ、コスト合理化を徹底的に追求し、収益性を向上させます。また、ターミナル事業などコンテナ輸送のバリューチェーンを成す陸上ビジネスを、安定収益源として、また、サービス差別化のツールとして積極的に事業展開します。
グループ事業においては、既存ビジネスでの利益最大化を図るとともに、海運周辺及び新たな事業領域での成長分野に積極的に取り組み、安定利益の積み上げを図ります。

【経営基盤の強化】
このような3つの変革を実現し、計画の達成をより確実なものとするためには、経営基盤の強化が欠かせません。
まずは、「コンプライアンスはビジネスの大前提である」ことを各自が強く胸に刻んで日々行動して下さい。当社のコアコンピタンスの源泉である安全運航については、4ゼロ(重大海難事故、油濁による海洋汚染、労災死亡事故、重大貨物事故のゼロ)及び主要指標(100万人/時間当たりの労災事故発生件数、運航停止時間など)目標の達成と、それを担保する安全運航体制を再強化します。また、成長戦略を支える財務体質の強化を図るとともに、目論んだ計画に対して不測の事態が生じても経営基盤が揺るがないようリスクコントロールを徹底します。
確かな成長を実現するためには人材が最大の鍵となります。ビジネスへの投資と同様、人材への投資は業績として確実に表れますので、人材育成には最大限注力していきます。

「STEER FOR 2020」でセットしたゴールに向けて、本日スタートラインに立ちました。これからグループ全員でこの計画に掲げた全ての目標を達成しましょう。今後3年間全社一丸となって「変革」に取り組み、確かな成長を実現することで、どのような事業環境においても揺るぎない、盤石なMOLグループを創り上げましょう。

最後になりますが、いま一度法令順守の大切さについて述べます。先日、公正取引委員会から発表された通り、自動車輸送に関連する独占禁止法違反行為が当社に存在していたことは大変遺憾であり、痛恨の極みです。当社はこれまでコンプライアンスについてさまざまな取り組みを行ってきましたが、結果としてそれらは十分ではありませんでした。私は今回の件を厳粛に受け止め、反省し、コンプライアンス体制の再構築を含めて改めるべきところを改め、このようなことが二度と起こらないよう最大限の努力をしていきます。法令順守及び社会規範と企業倫理に則った行動は企業市民(Corporate Citizen)であるための大前提だということを当社グループ役職員全員一人ひとりが深く心に刻んで、日々活動していきましょう。