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船上簡易全鉄分分析キット「Fe-asy Checker 26」を開発
~乗組員による船上での“安全”“短時間”“簡単”“高精度”な全鉄分の分析を実現、さらなる安全運航体制の強化へ~

2015年01月20日

株式会社商船三井(社長:武藤光一、本社:東京都港区、以下「商船三井」)の技術研究所において、本船乗組員により安全、短時間、簡単かつ高精度に全鉄分(*1)を分析する船上簡易全鉄分分析キット「Fe-asy Checker 26」を開発・商品化しました。

「Fe-asy Checker 26」では、ディーゼル主機関のシリンダ油ドレン(*2)に含まれる全鉄分を分析します。分光計には特異波長のフィルターを使用し、併せて2種類の試薬を当キット独自の配合で混合した試料を用いることで、比色法により全鉄分を高精度に分析することができ、結果は数値にて表示(PPM表示)されます。


本キット(概観)


試薬を調合する様子


高精度で分析結果が表示

安全運航には主機関を良好な状態で保つことが不可欠です。
その重要な要素の一つである最適シリンダ注油の実現には、ディーゼル主機関運転中のシリンダ内の状態を適切に監視することが必要です。近年では、特にディーゼル主機関のシリンダ内設計圧力が上昇されたことに起因して、シリンダ内の低温硫酸腐食(*3)の発生が多数報告されており、従来の磁粉鉄分だけでなく鉄イオン分も含めた全鉄分の分析ニーズが高まっています。本キットの使用により、乗組員の手で高精度かつ速やかに分析することで、異常の早期発見につながります。

商船三井では、安全運航を徹底すべく「MOL安全標準仕様」として独自の安全基準を定めており、「Fe-asy Checker 26」を同仕様の一つに定め、当社保有・運航船ディーゼル主機関全船に導入します。

商船三井は中期経営計画「STEER FOR 2020」で“安全運航体制の再構築”を掲げ、“世界最高水準の安全運航”を目指しており、本件はその取組みのひとつです。今後も安全運航に寄与する技術の開発および導入を積極的に進めていきます。


エンジン部(拡大図)と本キット使用の概観図

【「Fe-asy Checker 26」概要】

商品名 : Fe-asy Checker 26
開発者 : 商船三井 技術研究所
販売元 : 商船三井テクノトレード株式会社
販売代理店 : 富士貿易株式会社
キット構成 : 分光計、試薬(2液)他
特長 :安全、短時間、簡単かつ高精度に全鉄分の分析が可能

*1:全鉄分
磁粉鉄分と鉄イオン分を指す。

*2:シリンダ油ドレン
主機関の運転時には、ピストンの円滑な動きをサポートおよび冷却のため、シリンダ油を注入する。その際、注入されたシリンダ油の一部がシリンダ内壁を伝ってシリンダ油ドレンとして排出される。

*3:低温硫酸腐食
シリンダ内設計圧力が上昇することで水分が発生しやすい環境となり、燃料油に含まれる硫黄分と結合することで硫酸が生成され、腐食の原因となる。