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創立記念日 社長メッセージ
One MOL, One Goal ~一致団結して、困難な時を乗り越えよう~

2016年04月01日

商船三井 社長 池田潤一郎による全役職員向け「創立記念日 社長メッセージ」を下記の通りお知らせします。

One MOL, One Goal  ~一致団結して、困難な時を乗り越えよう~

MOLグループの皆さん、本日、当社は創業132周年を迎えました。当社は2014年4月に中期経営改革STEER FOR 2020をスタートし、3つの変革を通じた確かな成長路線に向けて経営の舵を切りました。そこで謳っている3つの変革の妥当性に疑いはないものの、前提となった経営環境には大きな変化が表れています。すなわち、中国の成長鈍化、原油価格や鉄鉱石など資源価格の下落による新興国の失速、資源開発の遅延による資材・機器の販売不振、さらには環境意識の高まりによるエネルギーミックスの変化など、いわば資源エネルギー牽引経済の終焉といえる状況です。加えて、依然として高水準の新造船発注残、スクラップ価格の低迷により、船腹過剰の解消にはまだ時間がかかると判断せざるを得ません。
海運業をとりまく環境は大変厳しいものがあります。とりわけ、当社の主力であるドライバルク船とコンテナ船の市況は回復の兆しが見えません。そのような状況にあって当社グループが新たな経営環境に適応し、体質を改善し、次の100年に向かって持続的な成長軌道に復帰するためには、構造改革の各施策と、現在社内で鋭意検討中のものも含む業績回復にむけたアクションプランを皆が着実に実行することが必要です。かつて苦戦した油送船部門やフェリー事業も、関係者の努力の結果損益が大きく改善し、今では当社グループの連結業績に大きく貢献しています。各部門とも同じことができると信じています。

本日はまず、構造改革を進めるにあたり私が特に強調したいことを2つ述べます。

第一に営業力の強化、お客様との信頼関係の深化・拡大です。
一連の構造改革とは、高コストの船舶を処分し、組織を合理化し、身の丈を縮めることだけで終わるのではありません。それらを実行すれば、自動的に業績がV字回復するわけでもありません。我々の経営環境が大きく変わっていく今、構造改革とは、単なる過去の延長ではない、過去とは不連続な経営環境を前提とする戦略でなければなりません。構造改革をテコに会社が更なる成長路線を歩むことができるかは、短期的には営業力をいかに強化するかに、中長期的には環境の変化に合わせたビジネスモデルを創り出すことができるかにかかっています。当社の強みを活かしてお得意様との取引を拡大するのはもちろんのこと、例えばこれまで手薄だった海外のお客様に対してはOne MOLで積極的にアプローチし、面での取引を拡大し、長期的な信頼関係を築くことが重要です。インドとシンガポールで開催した顧客パーティでは、日本人とナショナルスタッフが一丸となって部門の分け隔てなくMOLグループの総合力を強くアピールすることができました。各部門の得意分野を結集してお客様のニーズにきめ細かく応え、役職員それぞれのレベルでお客様と向き合うことで、「物流のビジネスパートナーといえばMOLが真っ先に頭に浮かぶ存在になる。MOLに任せれば安心と感じていただける」、そういう企業グループになりたいと考えます。One MOL, One Goalを実現するために、私自身もトップセールスを最優先します。
また営業力を強化するにあたって、個々人の気合いやフットワークという精神論に頼るのではなく、それを推進する体制や仕組みを整えていきます。
本日4月1日、新しい執行役員と部室長によるマネジメント体制がスタートします。今年から、事業計画の開始時期と新体制・新組織の開始時期を合わせます。これまで以上に目標達成に向けた初動がとりやすくなると考えています。
また、本社においては、2つの営業本部を新たに立ち上げました。ドライバルク営業本部は、横断組織で営業活動を強化するほか、構造改革を確実に進め、船隊ポートフォリオの最適化と経営資源の効率化を図るのが主なミッションです。一方、エネルギー輸送営業本部は、エネルギー関連業界における再編や多様化するお客様のニーズに的確に対応し、部門の枠組みを超えてグローバルに営業活動を展開することを目指しています。
同時に、当社にとってアジア地域の重要性はますます高まっています。昨年来、当社は、地域内の連携を強化しOne MOLでグループの総合力やブランド力を強く打ち出すべく、世界3拠点に総代表制を取り入れています。このたび、アジア・中東・大洋州地域においては、重点戦略国を選定のうえ、総代表のもとに「国代表」を設置しました。部門の枠組みを超えたMOLグループの顔として、国代表がその国でのあらゆる活動を推進・サポートしていきます。特に営業部門は体制を有効活用してほしいと思います。

2つ目に強調したいことは、各事業における、当社の強みやNo.1は何かの意識です。当社のビジネスモデルが強みであり差別化要素となっている事業は、No.1に向けてそれをもっと伸ばしてください。もちろん、いま優位な部門であっても、事業環境が急速に変化するなか、現在のビジネスモデルが5年先、10年先でも競争力を保ち得るかは冷静に評価する必要があります。現在のような変革が求められる局面では、とりわけ管理職は戦略とイノベーション志向で部門を率いてほしいと思います。担当役員と部室長には、5年先、10年先を見据えた部門の戦略・ビジョンを問うていくつもりです。部門長は、その戦略・ビジョンを組織内で必ず共有してください。
また、若い人たちは、新たな発想と行動力でぜひ周りに刺激を与えてください。上司、部下、仲間を信じ、チーム一丸となってこの難局を乗り切ってほしいと思います。

以上述べたポイントに加えて、IT、テクノロジーの高度活用と環境対応で競合に後れを取ってはなりません。これら2つのテーマを扱う専門の委員会としてIT戦略委員会と技術革新・環境対策委員会を設置しました。両委員会とも私自らが参加し、これからの当社グループのあるべき姿について議論を深め、スピード感を持って具体化させたいと思います。
また、広くグループ会社に目を転じると、様々な事業において、着実な成長を遂げた会社、過去の業績不振から立ち直り、力強い成長軌道に乗っている会社が多数存在します。当社グループが持つ有形無形の資産を活かすことにより、これまで以上に積極的な事業展開が期待できる局面になってきました。例えば、当社は日本国内において、輸出入貨物をターゲットとする倉庫、通関、トラック輸送サービスを提供する複数のグループ会社を抱えています。お客様にワンストップサービスを提供できるよう、フェリー事業も含めた国内物流事業を整備し推進することで付加価値が生まれます。物流事業以外でも、グループ事業や新規事業分野において、将来の糧となる成長の種を撒くことが欠かせません。

私たちの2016年度の最大の任務は、構造改革を完遂して、グローバル競争で勝ち抜くための土台を再構築することです。余剰船腹を速やかに解消し市況エクスポージャーの縮減を図る。不採算航路を合理化する。顧客の輸送ニーズに応えることに集中する。これらの完遂と徹底したコスト競争力強化、そして営業努力による収益の向上により、まずは今年度の予算の必達を図ってください。激変する事業環境の中、私たちはやるべきことの優先順位を付けて迅速に取り組まなければなりません。

社長就任の際に言いましたが、この十数年の間でも、急激な円高、資源価格バブルとその反動、リーマンショック、燃料油価格の高騰、連続赤字など、当社は何度も大きな波に翻弄されました。それでも当社グループの役職員が一丸となって努力と創意工夫を重ねてそれらを乗り越え、今日まで成長してきました。先人たちが積み上げてきたお客様からの信頼を守り育てるためには、私たち全ての役職員がコンプライアンスへの取り組みを怠らず、安全運航と安定輸送、そして「お客様への安心の提供」を宣誓する必要があります。
2016年度は当社にとっては133年分の1でしかありませんが、役職員一人ひとりが、次の100年に向けて変革に挑めば、当社の歴史のなかで新たな転換の年となります。
ともに戦っていきましょう。