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2018年 新年社長メッセージ
~うねりを、チャンスに。~

2018年01月04日

株式会社商船三井 社長池田潤一郎は、本日、本社にて商船三井グループの全役職員に向けての年頭挨拶を行いました。

2017年を振り返って

昨年は堅調な世界経済に支えられ、貿易の伸びが回復した一年でした。日本においても年後半にかけての株価上昇が示す通り、景況感の改善が見られます。一方で、北朝鮮問題をはじめとして、私たちを取り巻く環境は不安定さを増しており、とりわけ安全運航をベースとした海運をなりわいとしている私たちにとっても常に緊張を強いられた年でした。海運マーケットに目を移すと、ドライは堅調、タンカーは低迷といったように事業ごとにまだら模様を呈しており、本格的な回復はまだその途上にあるといえます。
しかし、海運マーケットが必ずしも良くない中で、地道なオペレーションの改善や前線の営業努力が結実し、2017年度の業績はほぼ当初計画通りの仕上がりを見込んでいます。構造改革を経て安定的に利益を上げられる体質になりつつあること、そしてそれはグループ役職員の皆さんの努力のたまものであることを認識し、改めて感謝致します。

昨年は経営計画「ローリングプラン2017」で掲げた10年後のありたい姿を見据えて、着実に布石を打ってきた一年でもありました。
LNG・海洋事業分野では、洋上風力発電設備設置船事業への参画をはじめとして、インドでの浮体式LNG受入れターミナルプロジェクトへの参画やヤマルLNGプロジェクトの拡大、その他のセグメントでも木材チップ輸送など、当社の長期的、かつ安定的な収益の柱になる事業に重点をおいて投資を決断してきました。昨年竣工した20000TEU型コンテナ船や「MOL FSRU CHALLENGER」は当社の将来を支える基幹船隊となってくれることでしょう。また、リソースの選択と集中をキーワードに事業ポートフォリオの見直しを図り、新規事業・グループ経営推進部や港湾・ロジスティクス事業部といった拡大・成長を見込んでいる事業への組織強化を行っています。

そして入念に準備を進めてきたコンテナ船事業統合会社(Ocean Network Express)のサービス開始はいよいよ本年4月にせまり、会社としても大きな転換点を迎え、新たなスタートを切ることになります。

変化のスピードが加速している世界において

産業界で昨年注目されたのは急速なEVシフトです。世界では乗用車のみならずEVバスやEVトラックも現実のものとなっており、EVへの取り組みが自動車産業の将来を占うトピックとなりつつあります。技術の進歩といった側面はあるものの、元々は環境意識の高まりに端を発した変化であります。昨年、当社は長期目標「環境ビジョン2030」を策定しました。従来の化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が進む中、化石燃料輸送を担っている私たちの環境負荷低減への取り組みが、私たちのサービスを利用しているお客様の環境負荷低減にも資すると考えています。ただし既存の取り組みだけでは長期目標の達成は難しく、新たなイノベーションが必要です。
環境意識の高まりという社会の変化が、私たちにさらなる変化、つまりイノベーションを求めているといえるでしょう。それを具体的に推進する取り組みが経営計画の柱の一つに据えている環境・エミッションフリー事業のコア事業化となります。

日常生活に目を移せば、Amazonに代表されるような他を圧倒するプレイヤーによる流通スタイルの変化と既存小売業への影響、またはシェアリング社会といわれるようなモノの持ち方や個人の価値観の変化を見ても、いたるところでその変化を目にすることができます。私たちに利便性や経済性といったメリットをもたらすのと同時に社会の仕組みは着実に変化しています。この潮流は海運においても例外ではなく、破壊的イノベーションがいつ海運業界に訪れてもおかしくはありません。変化が私たちの目に触れたときでは既に遅く、それを仕掛けたトップランナーはさらにその先を見ているはずです。

また、昨年は品質問題に関して企業の社会的責任が問われた年でもありました。皆さんも報道を通じてその影響の大きさを目の当たりにしたものと思います。いかなる変化の中にあっても、コンプライアンス遵守の行動指針は変わりません。

次々と押し寄せる変化のうねりの中で、私たちが取り組むべき課題は山積みですが、10年後のありたい姿というゴールを目印に、この機をチャンスと捉え「One MOL」で乗り越えていきたいと考えます。

10年後のありたい姿 ~ ローリングプラン2018へ

今年はローリング型経営計画の2年目となります。各部門としっかり議論した上で具体的な事業方針を策定していきますが、昨年の「ローリングプラン2017」で掲げた10年後ありたい姿の3本柱のうち、お客様にストレスフリーなサービスを提供すること、競争力No.1事業の集合体を目指すことは、特に深く掘り下げて取り組みたい課題です。ストレスフリーなサービスを提供するためには顧客のニーズと世の中の大きな流れを深く理解することが大前提であり、自分たちのビジネスだけを考えていては行き詰まってしまいます。視野を広く保ち、時には想像力をはたらかせ、時には視点を変えて、お客様と共に解決策を探ってほしい。イノべ―ションのきっかけはお客様の声にあるといっても過言ではありません。国内にとどまらず、積極的に海外のお客様の声にも耳を傾け、私たちの活躍の場を広げていきましょう。
また、私は収益性向上につながる要素は全て競争力であると考えます。その要素をひとつでもふたつでもNo.1にもっていくために、競争相手とのポジションを確認し、強いところをさらに強化する、弱いところのギャップを縮めるといったアクションを続けていくことが必要です。但し、相手と同じことをやっていたのでは差は変わらず、アクションの取り方にも工夫が必要といえるでしょう。

これら課題を皆で真剣に考え、対話を通じて解を探ることで、私たちのサービスはより磨かれ、それは商船三井グループ全体にとってかけがえのない強みになると信じています。変化の兆しを先んじて捉え、着実に前進していきましょう。

明日の海運業を創るのは私たちである

商船三井グループの強みが役職員一人ひとりであることは間違いありません。「個」、そしてその集合体である「組織」の力をさらに強化し、変化に臨機応変に対応できる集団でありたいと考えます。その実現の具体的な施策として働き方改革があります。 働き方改革においては皆さんも各取り組みに参加している通り、「個」としての意識改革と「組織」としての環境整備を両輪として位置付けており、業務上の小さな工夫を積み重ね、さらにイノベーションを生み出していく仕組みです。取り組みを始めて2年目に入り、会議運営や職場の雰囲気に少しずつ変化を感じている人も多いのではないでしょうか。
今後も「個」と「組織」を両輪に、対話を重視した施策を通じて、皆がワクワク感やいきいき感をもって働ける環境づくりを進めていきます。このような組織風土が、人的競争力No.1の企業グループにつながると考えます。私を含め役員自らの思考や行動パターンの変革を進めることを目的に、「One MOLマネジメントスタイル変革プロジェクト」を立ち上げました。相手が自由に発想し、提案しやすい雰囲気になるような対話スタイル、マネジメントスタイルを学び、実践していきます。

ここで改めて強調したいのは、役職員の皆さん一人ひとりが主役であること。明日の海運業を創るのは私たちであるという気概を持って、商船三井グループ一丸となって取り組んでいきましょう。

安全運航は当社の使命であり原点

最後に、昨年は大変残念ながら私たちの運航船において人命が失われる事故が発生しました。ここに深く哀悼の意を表します。再発防止のためにも、初心に返って分析を進め、ICTを利用した新技術なども取り入れながら必要な対策を講じていきましょう。安全運航は商船三井にとって事業の根幹であり、10年後ありたい姿の原点であること、重ねて皆さんに伝えておきたいと思います。

MOLグループの全運航船の航海の安全を誓うと共に、全世界のMOLグループの皆さんとご家族のご健康とご多幸を祈念して、私の新年の挨拶と致します。