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ドバイ開催の海事カンファレンスでAR航海情報表示システムを紹介
~世界の海をターゲットに操船サポートICT技術を発信する~

2019年10月17日

船舶維新NEXT株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)は、本年9月にドバイで開催された海事カンファレンス(註1)にて古野電気株式会社(社長:古野幸男、本社:兵庫県西宮市、以下「古野電気」)と共にプレゼンテーションを行い、約200名に及ぶタンカー業界の関係者の前でAR航海情報表示システム(AR Navigation System)の技術と開発の背景のほか、世界最高水準の安全運航を目指す商船三井の取り組みを紹介しました。AR航海情報表示システムはAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いてカメラのリアルタイム映像と航海情報を重ねて表示させることで、航海中の乗組員の見張りや操船などを視覚的にサポートするシステムです(註2)。

喫水※の深い大型タンカーでは船舶交通の多いマラッカ・シンガポール海峡などで非常に慎重な操船が必要であり、一旦座礁・衝突事故を起こしてしまえば油流出を伴う環境への影響を引き起こしかねません。
※船舶の底から水面までの長さ。

AR航海情報表示システムでは船舶交通の多い海域でも船橋内のディスプレイにカメラの船の航路のリアルタイム映像と各航海計器からの情報を統合して表示させることができ、一目で安全な針路、注意を払うべき他船や浅瀬の情報を確認できることから、船長・航海士の操船をサポートする技術として、カンファレンスに出席していたタンカー業界の関係者から非常に高い関心を得ました。会場で得られた反響も参考に、当社は現場で実際にシステムを使用する「船長・航海士の目線」でAR航海情報表示システムが海上交通の安全に寄与し、ユーザーに心強いサポートを提供できるよう古野電気と共に今後も更なる改良検討を行っていきます。


OCIMF Middle East Regional Marine Forum

当社では安全運航を社会的使命かつ最重要課題と位置づけ、“世界最高水準の安全運航”を目指しており、2016年11月に発表した「船舶維新NEXT~MOL SMART SHIP PROJECT~」(註3)でも高度安全運航支援・環境負荷低減を掲げています。
商船三井は、今後もAR航海情報表示システムを含むICT技術を世界に発信し、技術を活用したサービスと安全運航を通じて、お客様に信頼され選ばれる企業グループを目指します。


プレゼンテーションで使用したAR航海情報表示システム表示画面説明スライド
(関門海峡航行中の例)

本船の揺れを取り除いて表示する動揺補正技術を搭載


AR航海情報表示システム実際の画面例(伊良湖水道航行中)

(註1)ENOC Marine Conference and OCIMF Middle East Regional Marine Forum。ENOC(Emirates National Oil Company: UAE国営石油会社)とOCIMF(Oil Company International Marine Forum: 石油会社国際海洋フォーラム)により2019年は9月10日~11日の日程でアラブ首長国連邦のドバイで開催されました。

(註2)AR航海情報表示システム(AR Navigation System)は、古野電気の最新鋭電子海図表示装置(Electric Chart Display and Information System;ECDIS)FMD3300シリーズと連携することで、船橋(ブリッジ)カメラからのリアルタイム映像に船舶自動識別装置(Automatic Identification System;AIS)やレーダーの情報を統合して、計画航路と自船周囲で航行する他船や浅瀬等の情報を船橋内のディスプレイ上に表示するものです。 2019年4月22日付プレスリリース「AR航海情報表示システムを大型原油タンカー21隻に搭載決定~航海中の見張りや操船をサポートし、世界最高水準の安全運航へ~

(註3)2016年11月24日付プレスリリース「『船舶維新NEXT~NOL SMRT SHIP PROJECT~』発足~営業力の強化および企業価値の向上につなげる~