バリアフリー対応の「さんふらわあ くれない/むらさき」

もくじ

大阪~別府航路に就航した新造船「さんふらわあ くれない/むらさき」は、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団より助成を受け、客室をはじめ船内のさまざまなエリアにバリアフリー設備を設けています。また、新設されたさんふらわあターミナル(別府)も同財団より助成を受け、車椅子をご利用の方のほか、多様なお客さまに対応しています。
「くれない/むらさき」に乗船して、車椅子で快適な別府への船旅を楽しんでみませんか?別府市内のバリアフリー対応店舗・施設も紹介します。

車椅子ラグビーの日本代表・倉橋選手が乗船して快適さを実感

バリアフリー客室内の倉橋さん

商船三井に所属し、車椅子ラグビー日本代表としても活躍する倉橋香衣さん。2021年東京パラリンピックでは銅メダルを獲得したパラアスリートです。
「さんふらわあ くれない」に体験乗船し、新しくなった別府のさんふらわあターミナルも訪れた倉橋さんに、船内を車椅子で巡ってみた感想を聞きました。

「日常的に福祉車両を運転しているため、車ごと船に乗り入れできてそのまま移動先で車を使用できるフェリーは車椅子を使用する私にとって、とても便利です。
バリアフリー対応の部屋はとても広く、トイレやお風呂への行き来もスムーズに行うことができました。
船内のいろんなところに行ってみましたが、全体的に広くどこにでも車椅子で移動が可能です。
困ったときには船内スタッフからのサポートを受けられるため、一人での船旅も安心して過ごすことができると思いました。
『さんふらわあ くれない』に乗って旅をするのがとても楽しみになりました!」
≫倉橋 香衣 OFFICIAL SITE

船内空間に余裕があり、車椅子対応の客室も多数備えた新造船

「さんふらわあ くれない/むらさき」に多種多様な客室があることは、『日本初のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない」を徹底チェック!(客室編)』の記事で詳しく紹介しています。その中には、車椅子をご利用の方が快適な船旅を楽しんでいただけるバリアフリー対応の客室が何種類もあります。

8階のスイート客室エリアにある「スイートバリアフリー」(1室)は、入浴介助ができる広いバスルームを備えたスイートルーム。手すりやシャワーチェアなども備えています。車椅子からベッドへの移動がしやすいよう、通常よりも高さの低いベッドが備えられています。定員は2~4名です。

バリアフリー対応の客室には、車椅子マークのほか、点字の表示も付いています。ドアは、QRコードを読み取ると自動で開き、車椅子に乗ったまま操作可能です。
※ドアは一定時間経つと自動で施錠されます。
※バリアフリー対応の部屋はいずれも自動開閉します。

スイートバリアフリーの部屋番号のプレートや車いすマークには、点字の表示も付いています。
スイートカフェラウンジもバリアフリーに配慮した設計

スイート客室利用者専用のスイートカフェラウンジもバリアフリーに配慮した設計。出入口は段差なしでスムーズに通れます。スイートカフェラウンジは、ドリンクやアイスクリームが無料で飲み・食べ放題です。

そのほか、7階には最大定員6名で洗面台を備えたプライベートベッドグループ(個室)バリアフリー仕様(1室)があります。

プライベートベッドグループのバリアフリー仕様
プライベートベッドグループ(個室)バリアフリー仕様の客室。
バリアフリー対応のグループ和室(4名)の客室。椅子が用意されています。
バリアフリー対応のグループ和室(4名)の客室。椅子が用意されています。

6階では、内鍵のみで部屋の施錠ができる半個室タイプのプライベートツイン(定員2名)とプライベートシングルツイン(定員1~2名)がそれぞれ4室ずつ、半個室タイプで畳敷きのグループ和室(定員4名4室、定員3名1室)がバリアフリー(車椅子)対応となっています。

また、バリアフリー対応の部屋はエレベーターから近い場所に位置しているので、上下階への移動にも便利。パブリックスペースには段差がなく、スムーズに移動できます。

船内ショップも車椅子で行き来しやすい通路幅が確保されており、ショッピングが楽しめます。また、レストランのバイキングも車椅子で利用しやすい高さに設定してあります。船内ショップやレストランなどでは、船内スタッフに声をかければサポートしてもらえます。

≫お手伝いを必要とされるお客様・車椅子をご利用のお客様へ(関西~九州航路)

あらゆる人に優しい、多様性を重視した別府港さんふらわあターミナル

新しく開設された別府のさんふらわあターミナル

新造船「さんふらわあ くれない/むらさき」の就航に合わせて新しく開設された別府のさんふらわあターミナルは、計画段階から大分県内の障がい者団体からの意見を取り入れて造られました。車椅子を利用する方は、ターミナルの駐車場~本船「くれない/むらさき」を車椅子から降りることなく移動できるように設計されています。また、車椅子での利用だけでなく、さまざまな人に配慮した設備や造りで、施設全体にユニバーサルデザインが採用されています。

施設内の主なバリアフリー対応箇所や設備を写真でご紹介しましょう。

入口の案内

【エレベーター】
4基あり、すべて車椅子対応。発券カウンターがある1階と乗船口がある2階とを結ぶ。

エレベーターホール

【発券カウンター】
カウンターの高さが低めに設計されたバリアフリー窓口。筆談にも対応。

【カームダウン/クールダウン室】
発達障がいや自閉症を持つ人など、パニックや興奮状態になった際、冷静になるための遮音性があるスペース。救護室が隣接している。

カームダウン/クールダウン室

【祈祷室】
外国人旅行者の増加に伴い、ムスリム(イスラム教徒)の方などが礼拝を行うためのスペース。宗教や宗派を問わず利用可能。

祈祷室

【補助犬用トイレ】
ドッグランスペースの一角に設置。「さんふらわあ」では、盲導犬・聴導犬・介助犬との同伴乗船が可能。補助犬は、船内に無料で同伴できる(予約時に要申請)。

補助犬用トイレ

【バリアフリートイレ】
車椅子対応のトイレが2つ(1つは多機能トイレ)、男女共用トイレがある。多機能トイレは、オストメイト対応で、成人が寝ておむつ交換や着替えができるシート(台)やフィッティングボードも設置。

バリアフリートイレ

【ベビーケアルーム】
乳幼児を連れた方のために、おむつ交換台やベビーベッド、扉付きの授乳スペースを設置。

【バリアフリー駐車場】
車椅子車両専用の駐車場を5台分設置。車椅子での移動時の振動を抑える処理が施された通路(水色の部分)でターミナル建物まで移動可能。出入口付近は緩やかなスロープで、インターホンで施設スタッフに連絡することもできる。

バリアフリースロープ

誰もが楽しめる「バリアフリー観光」に注力する別府市

温泉で有名な別府市は、古くから観光都市として発展してきた文化があります。日本国内だけでなく海外からも多くの観光客が訪れ、誰もが快適に楽しめるよう、別府市は「バリアフリー観光」に力を入れています。
別府のさんふらわあターミナル周辺にも、車椅子で行きやすいバリアフリー対応の施設や店舗が数多くあります。編集部おすすめのスポットをピックアップしてご紹介しましょう。

<飲食>
海鮮焼 磯磯 潮彩屋

海鮮焼 磯磯 潮彩屋

1階には、新鮮な海の幸を「焼き」で味わえる牡蠣小屋&海鮮焼き専用ブース(土日祝日のみ開放、平日は2階席で提供)があります。大分県国東産をはじめ、全国の産地から届く牡蠣が味わえます。土日祝日は、地元の方から近県の方、観光客で大盛況。夏の岩牡蠣から冬の真牡蠣まで、いろいろな地域の牡蠣が一年中食べられるのが人気のポイントです。

大分県国東のブランド牡蠣「オストラ」(写真右上)をはじめ、ひときわ大きな石川県能登産の岩牡蠣(写真中央下)や伊勢海老も、自分で焼いて食べられます。

1階店内には、地元・大分の海産物やお土産品などが買えるショップ、ソフトクリームやパフェ・ハンバーガーなどの軽食が食べられるスペースも。通路が広く、車椅子の移動がスムーズにできます。

1階入り口から、広々とした通路の奥にあるエレベーターまで一直線で行けます。
1階入り口から、広々とした通路の奥にあるエレベーターまで一直線で行けます。
定食や海鮮焼きを提供する2階の「潮彩屋」店内。奥のテラスまで段差なしです。
定食や海鮮焼きを提供する2階の「潮彩屋」店内。奥のテラスまで段差なしです。

エレベーターで2階に上がると、店内から別府湾や高崎山、鶴見岳を見渡せるレストラン。一番人気でイチオシメニューは、プリプリの食感で噛むほどに旨味を感じるたくさんの魚介が載った「潮彩丼」。わさびと大分の甘めのしょうゆ、ゴマ・刻みのりはお好みで。海鮮焼きは、テーブル席でも座敷席でも食べられます。

彩り鮮やかで、まさに「海の幸の宝石箱」の潮彩丼。
彩り鮮やかで、まさに「海の幸の宝石箱」の潮彩丼。
どの素材も新鮮で、旨味が際立ちます。アオサが入ったみそ汁も絶品!
どの素材も新鮮で、旨味が際立ちます。アオサが入ったみそ汁も絶品!
いそいそカンカン(カンカン焼き)

四角い缶の中に牡蠣やホタテ、車エビなどを入れて直火にかける「いそいそカンカン(カンカン焼き)」は、食材の旨味が凝縮されて、通常の海鮮焼きとは違うおいしさが味わえます。貝類やエビを缶の箱に入れ、フタを閉めて火にかけて蒸し焼きに。焼き上がってフタを開けた瞬間、食欲を刺激する磯の香りが広がります。

2階の奥には、ソファでくつろぎながら屋外バーベキューを楽しめるテラスがあります。段差がないので車椅子でそのまま出られます。

海を見ながら、ラグジュアリーな気分でバーベキュー。海鮮焼きもOK。
海を見ながら、ラグジュアリーな気分でバーベキュー。海鮮焼きもOK。

海鮮焼 磯磯 潮彩屋

住所
大分県別府市亀川浜田町991-183
アクセス
別府国際観光港から車で約6分
電話番号
0977-67-4031(予約・問い合わせ)
営業時間
11:00~21:00(ラストオーダー19:30)
定休日
水曜(祝日の場合は営業)

<立ち寄り温泉>
ひょうたん温泉

別府市には8つの温泉地があり「別府八湯」と呼ばれています。その1つである鉄輪(かんなわ)温泉エリアにある「ひょうたん温泉」は、1922年創業で100年以上の歴史を誇る人気の立ち寄り温泉です。大浴場をはじめ、砂湯や瀧湯などのほか、貸切できる家族風呂も備えています。

丸みを帯びた岩が優しい印象の家族露天風呂「川蝉」。
丸みを帯びた岩が優しい印象の家族露天風呂「川蝉」。
大正ロマン風のレトロなニュアンスの家族風呂「響」。
大正ロマン風のレトロなニュアンスの家族風呂「響」。
木の香りに包まれたあたたかな印象の家族風呂「和み」。
木の香りに包まれたあたたかな印象の家族風呂「和み」。

ひょうたん温泉には14の家族風呂(貸切風呂)があり、その半分である7つのお風呂がバリアフリー対応。身障者の方は時間延長が可能で介助者1名は無料で利用できます(詳しくは問い合わせて確認を)。また、踏み台や高めの湯椅子、敷きマットの用意も可能です。
家族風呂のお湯は、コインタイマー式で毎回入れ替えられるので安心。露天風呂が楽しめるタイプもあり、思う存分別府の温泉を満喫できます。

ひょうたん温泉

住所
大分県別府市鉄輪159-2
アクセス
別府国際観光港から車で約10分
電話番号
0977-67-0527(家族風呂予約専用ダイヤル:0977-67-3010)
営業時間
9:00~深夜1:00(家族風呂の最終受付深夜0:00まで)
定休日
なし(年中無休)※ただし施設整備のため臨時休業あり。
※2023年6月6日(火)~6月9日(金)と2023年7月3日(月)~7月7日(金)施設整備のため臨時休業。

<バリアフリー観光のサポート>
別府・大分バリアフリーツアーセンター

別府市には、車椅子での別府観光旅行のサポートやバリアフリー施設の紹介などを行う「別府・大分バリアフリーツアーセンター」があります。車椅子をご利用の方や高齢で長く歩くことができない方が、別府を楽しく観光できるよう旅行に関する相談・情報提供や、温泉入浴・外出時などの旅行をサポートしてくれる有償サービスなどを提供しています。

別府・十文字原展望台

実際に車椅子ユーザーが自ら調査した別府市内の施設や店舗などのバリアフリー情報を紹介したWebサイト「ぱらべっぷ」も、同センターが運営しています。別府でのバリアフリー観光の参考にしてください。

別府・大分バリアフリーツアーセンター

住所
大分県別府市石垣東3丁目3-16 別府J 1F
アクセス
別府国際観光港から車で約5分
電話番号
090-6633-4882
営業時間
9:00~17:00
定休日
日曜

社会の多様性への意識が高まってきている今、あらゆる人たちが快適に楽しく旅行できる社会環境づくりが始まっています。「さんふらわあ」を利用して、別府でのバリアフリー観光旅行を満喫してください。

車椅子での乗船も安心な
「さんふらわあ くれない/むらさき」で別府へ。
バリアフリー観光旅行を楽しもう!
関西~九州航路「さんふらわあ」はこちら
関西~九州航路「さんふらわあ」はこちら

関連記事RELATED