もくじ
「さんふらわあ ごーるど」は2007年11月、「さんふらわあ ぱーる」は2008年1月にデビュー。瀬戸内海を横断するさんふらわあ船隊では、就航からまだ10年を少し過ぎたばかりの中堅船です。今回は神戸と大分を結ぶこの2隻を2回に分けて紹介しましょう。
瀬戸内航路の最新船
実は両船を建造したのはダイヤモンドフェリー(当時)。船名は、同社の第1、2船「フェリーゴールド」「フェリーパール」に由来しています。また、ファンネルマークもデビューからしばらくはダイヤモンドフェリーの頭文字Dをあしらったものでした。現在のオレンジファンネルになったのは、2009年11月にダイヤモンドフェリーがフェリーさんふらわあに統合されてからです。
そのようないきさつもあり、両船ともにダイヤモンドフェリーの航路であった神戸(六甲アイランド)―大分に就航しています。また、毎年好評の「昼の瀬戸内感動クルーズ」で使用され、今やすっかり「さんふらわあ」にはなくてはならない存在となりました。
そしてこの2隻、日本フェリーの歴史にも名を残す船なんです。詳細は後に譲りますが、日本で初めてペット同伴客室「ウィズペットルーム」を導入したからです。今のフェリーでは当たり前となったペット同伴客室ですが、「ごーるど」「ぱーる」はその先駆けだったんですね。
三色表示で船内迷子防止
それでは船内を散策してみましょう。エントランスホールは5階デッキにあります。
ここには現在位置が一目でわかるデジタル航路図が映し出されます。そのほか地図もありますし、旅心がくすぐられます。
この船、区画によって3色に分けられています。スターボード(右舷側)が青、ミッドシップ(中央部)が緑、そしてポート(左舷側)が赤。
カードキーも客室の位置の色にチェックが。これなら自分の客室がどこにあるか迷子にならなくて済みそう。
客室やパブリックスペースは5~7階の3層に集中しています。まずは最上階の7階へ上がってみましょう。
専用バルコニー付きのデラックス
こちらがこの船で最もグレードの高い客室、デラックス。
なんと専用のウッドデッキ(バルコニー)が付いています!デッキには椅子もテーブルも。夜の瀬戸内海、ここに腰かけてナイトクルージングを満喫、なんていいですねえ。
お部屋にはテレビや冷蔵庫も。ペットボトルのミネラルウォーターもあります。また、茶器セットも備えられています。
2名使用の客室ですが、3名~4名利用の場合はソファーベッド・プルマンベッド(補助ベッド)を使用できます。その際は乗船日前日までの予約と、「デラックスエクストラ運賃」が必要になります。
バス・トイレも完備。しかもバスタブのすぐ横に窓もあります。トイレはもちろん温水洗浄付きです。
ボディソープ・シャンプー・コンディショナー・バスタオル・フェイスタオルや歯ブラシ・カミソリ・ヘアブラシ・コットンセットなどのアメニティもそろっています。大人用ナイトウェアもありますよ。
デラックス、8室しかありません。
ちょっとリッチな瀬戸内ナイトクルーズを楽しみたい方は、早めの予約がベターです。
よりどりみどりのスタンダードルーム
それでは6階デッキに行きましょう。
こちらの客室の大半を占めるのがスタンダードというカテゴリーです。定員4名のスタンダードは35室あります。全室窓ありのオーシャンビュー。
洗面台もあるので、歯みがきも洗顔も客室を出なくていいのがありがたいですね。ということで歯ブラシやフェイスタオルといったアメニティも付いています。デラックスと同じく、大人用ナイトウェアも用意されています。
家族連れや気の合う仲間たちで船旅と瀬戸内の夜景も楽しみたい!というときに最適客室です。また女性同士のグループ旅行には、女性専用のレディースルームもあります。
窓無しのスタンダードは定員2名用で、31室あります。テレビや洗面台もあり、船内を落ち着いて過ごしたい2人旅に適していると思います。歯ブラシやフェイスタオル、大人用ナイトウェアといったアメニティもそろいます。
同じく窓無しのスタンダード。こちらはシングルタイプ。プルマンベッドを使用することで2人利用が可能です。定員2名用と同じく、テレビや洗面台もあります。アメニティも同じく完備です。このタイプは27室あります。ひとり旅にはもってこいの客室でしょう。
これから紹介するのはスタンダードの中でもレアな客室。まずこちらが、ハローキティルーム。2室しかありません。
窓ありのスタンダード定員4名客室と仕様は変わりませんが、ここでは布団からカーテン、枕に座布団などなど、さんふらわあオリジナルハローキティに囲まれながら過ごせます。この客室に泊まった方には、さんふらわあオリジナルのラバーマスコットがプレゼントされます。
そして限定1室の究極のレア客室がこちら!
くまモンと夢見る船旅ルーム、だモン。
こちらも窓ありスタンダード定員4名客室なのですが、さんふらわあオリジナルのくまモンのカーテンやマットなどなど、くまモンワールドとなっています。宿泊者にはオリジナルビニール巾着をプレゼント!1室しかないので、予約はお早めに。
日本初のウィズペットルーム
そして、「さんふらわあごーるど」と「ぱーる」の名を広く知らしめたスタンダードルームといえば・・・・
こちら!スタンダードウィズペットルームです。定員2名タイプが4室、定員4名タイプが2室と合計6室。
いずれも窓ありの開放的な客室で、仕様は一般のスタンダードルームと同じ。今でこそ客室で可愛いペットと過ごせることは、フェリーのスタンダードとなっていますが、ウィズペットルームを設けたのはこの船が史上初。
空気清浄機も設置されています。あと、ペット用皿(お水用・エサ用各1枚ずつ)・ペットシート・粘着クリーナーも用意されています。ペットと一緒に瀬戸内海の船旅を楽しみたいという方は、迷わずこちらを予約です。
また、ケージ内でペットのみを預かるペット専用ルームは4階にあります。こちらは面会できない時間もありますが、翌朝にはちゃんと再会できますよ。
プライベートベッドで快適なひとり旅
さて、この6階デッキにはスタンダードのほかにもう一つの客室カテゴリーがあります。それがプライベートベッド。
デビュー当時にはなく、2016年から登場した新案キャビンです。定員10名部屋が8室あります。カプセルベッドタイプになっており、相部屋ながらもプライバシーが確保できます。
ベッド内にはテレビがあります。そのほか、電源コンセントや荷物を置くスペースがあります。
こちらにはテレビ用のリモコンが。なおテレビは備え付けのイヤホンを使用して視聴します。ハンガー、フェイスタオル、歯ブラシ、スリッパもあり、実にコンパクトかつ快適なキャビンと言えます。また、客室にはカギつきの共用更衣室や、コイン返却式ロッカーもあります。
相部屋ではありますが、プライバシーもしっかり保護され、セキュリティも万全ですね。女性専用のレディースルームもありますので、ひとり旅の女性でも安心して利用できますね。
では6階デッキにある施設を見てみましょう。
フェリーといえば、やはり展望浴場でしょう。もちろん利用は無料です。
シャンプー・コンディショナー・ボディソープが備えられています。
タオルはないので、自分で用意しなければなりません。ただし、スタンダードの客室には、備品としてフェイスタオルが用意されています。デラックスルームには、浴室がある為バスタオルも用意されています。
脱衣所のコインロッカー利用には100円かかります。返却式なので、実質は無料。展望浴室利用の際は100円玉をお忘れなく。ドライヤーも備え付けられていますね。
シャワー室も併設されています。大浴場は利用時間に制限がありますが、こちらは24時間いつでも使えます。シャンプー・コンディショナー・ボディーソープは用意されています。
風呂上がりのマッサージは実に気持ちがいいです。こちらは有料です。
船内は禁煙。タバコが吸えるのはこの喫煙室の中だけです。夜の瀬戸内海を眺めながらの一服は、いつもよりもうまく感じられるかも。喫煙室は5階デッキにもあります。
船尾には展望デッキ。明石海峡大橋、瀬戸大橋、来島海峡大橋などの通過シーンや、阪神間や四国の夜景観賞には絶好のスポットですね。
後編では5階部分を紹介します。お楽しみに!
金丸知好(カナマルトモヨシ)/航海作家
1966年富山県生まれ。日本のフェリーだけでなく外国航路や、中国や韓国の国内フェリーにも乗船経験が豊富。フェリー専門誌「フェリーズ」(海事プレス社)の執筆、「クルーズ」誌(同)に「フェリーdeクルーズ」を連載している。主な著書に「アジアフェリーで出かけよう!」(出版文化社)、「フェリーでGO!」(ユビキタスタジオ)、「超実践的クルーズ入門」(中公新書ラクレ)など。
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