もくじ
「さんふらわあ ごーるど」は2007年11月、「さんふらわあ ぱーる」は2008年1月にデビュー。瀬戸内海を横断するさんふらわあ船隊では、就航からまだ10年を少し過ぎたばかりの中堅船です。今回は神戸と大分を結ぶこの2隻を2回に分けて紹介しています。それでは後編をどうぞ!
ツーリストも全席指定!
前編では6階を中心にご紹介しました。今回は5階デッキへ向かいましょう。「さんふらわあ ごーるど・ぱーる」の客室として最後にご紹介するのは5階にあるツーリスト。いわゆる和室の大部屋です。
窓ありと窓無しの2つイプあります。昔ながらのフェリーをイメージする人は、たいていこのタイプの部屋を連想しがちですが…
このツーリストはひと味違います。まずは全席指定になっていること。なので、乗船開始とともにダッシュして自分の寝床を確保!なんてことは不要です。
しかも自分専用のハンガーや、頭上にはロッカーもあります。
部屋にはテレビも付いています。また、共用のコンセントもありますので、充電が可能です。
下駄ばきには靴ホルダー。これで入口にはいろんな人の靴が無造作に散らかっている、なんて光景ともおさらばです。
以前のフェリーの大部屋とは全く違い快適なツーリストですが、女性や子供連れの家族にはまだちょっと使いづらいというイメージがあるかもしれません。しかし、心配は無用です。女性専用のレディースルームや、小さい子供連れファミリー専用のツーリストルームもあるんですよ。
プロムナードは船のメインストリート
5階デッキ、この船のパブリックスペースが集中しています。まずは案内所。
カウンターが曲線を描いていたり、ガラスばりで透明感があったりする点が、ちょっとファッショナブル。クルーの手書き天気予報や日の出時刻ボードが、ほほえましいですね。
案内所のすぐ横にはセーフティーボックス。無料で利用できます。貴重品の管理が心配な方はこちらに預けておくと安心です。これとは別に5階と6階にコインロッカーも設置されています。こちらの利用は有料(100円)となります。
案内所に隣接するショップ。さんふらわあオリジナルグッズがいっぱい!大分や関西など寄港地土産も充実しています。もちろん、飲み物やスナック、タオルなどの船内生活に必要なものもそろっています。
こちらはキッズルーム。可愛いぬいぐるみがいっぱい。モニターではアニメの上映も。一晩だけの瀬戸内ナイトクルーズとはいえ、子どもにとっては長い時間。このスペースで遊んで、退屈ともさようなら。
キッズルームのなかを通路から丸窓を通してのぞくことができる。遊び心に溢れていますね。
自販機コーナーにはアルコールやソフトドリンクなど飲み物はもちろん、アイスクリームや焼きそば・から揚げなどおつまみになるものなどバラエティに富んだ品ぞろえです。24時間いつでも購入できるので便利です。ただし、飲酒運転予防の観点から23時から翌朝6時までアルコール類の販売は停止です。
ゲームコーナーです。UFOキャッチャーが多いですね。
ミッドシップ(中央部)に入ってみましょう。
多目的WCは段差のないユニバーサルデザインになっており、車イスのままでも入ることができます。
こちらはサロン。
ちょっと目立たない場所にありますが、くつろぎのフリースペース。テレビモニターも付いています。自販機で買ったドリンクや食べ物をテレビ見ながら食べることにも使われます。
そして5階のパブリックスペースといえば
右舷側にあるプロムナード(展望通路)です。
これに面してショップ、自販機コーナー、ゲームコーナーと連なり、まさに船のメインストリートの観があります。ソファに座りながら、大きな窓から瀬戸内海の夜景を楽しめます。
そしてこのプロムナード、週末便(金・土曜出港)の夜はイベントスペースに早変わりすることも!
筆者が2年ちょっと前に乗った日は落語が行われていました。お客さんも「フェリーで落語が聞けるなんて!」と大人はもちろん子どもも喜んでいましたよ。
このほか、マジックショーやジャグリング、「さんふらわあミュージックナイト」というミニコンサートなどなど多彩な催し物がプロムナードで開催されます。
奥行きのあるレストランでバイキング
プロムナードデッキの突き当りにあるのが…
お待たせいたしました、レストランです!
ここでは夕食と朝食のバイキングが楽しめます。まずは券売機でチケットを購入して、
このレーンから好きなものを取り放題!
なお、レストラン入口にはこのように模範的な盛りつけ例もありますので、ご参考までに。
でもビュッフェの醍醐味はやはり、食べ放題ですよね。その気持ち、わかります。ソフトドリンクも飲み放題です。
夕食バイキングではチョコレートファウンテンもありますよ。
レストランホール内には、生ビールサーバーがあり、また自動販売機で缶ビールや缶チューハイも購入可能です。また、さんふらわあオリジナルラベルの神戸ワインもご賞味あれ。
このレストラン、船尾に位置しており、L字型でかなり奥行きが広くなっています。グループでもおひとりでも、楽しく食事を楽しめます。
船名通りのナイトクルーズ
先述の通り、この船では金・土曜出港の週末便ではイベントが開催されます。天候が良ければ、出港時に紙テープ投げが行われます。
また、出港を知らせる銅鑼が鳴らされ、船出の感動がよりいっそう高まります。
週末便は出港時刻が少し遅めに設定されています。神戸発は通常よりも50分遅い19時50分、大分発も15分遅い19時30分となっており、仕事の後でも乗りやすくなっています。もちろん週末以外でも瀬戸内ナイトクルーズを満喫できますよ。
何と言ってもライトアップされた明石海峡大橋、瀬戸大橋、来島海峡大橋の通過シーンは、瀬戸内海を行く船旅の醍醐味です。また、神戸発であればプロムナードの窓いっぱいに広がる神戸の夜景は必見。
神戸着であれば、早朝の六甲の山並みがとてもきれいです。神戸空港への旅客機の発着シーンも見られるかもしれません。
ごーるど(黄金)、そして、ぱーる(真珠)。その名の通り、素敵な船旅ができる船です。
金丸知好(カナマルトモヨシ)/航海作家
1966年富山県生まれ。日本のフェリーだけでなく外国航路や、中国や韓国の国内フェリーにも乗船経験が豊富。フェリー専門誌「フェリーズ」(海事プレス社)の執筆、「クルーズ」誌(同)に「フェリーdeクルーズ」を連載している。主な著書に「アジアフェリーで出かけよう!」(出版文化社)、「フェリーでGO!」(ユビキタスタジオ)、「超実践的クルーズ入門」(中公新書ラクレ)など。
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