もくじ

ひと晩かけて海上を航行し、目的地へ向かうフェリー「さんふらわあ」。現在、関西~九州を結ぶ航路と、首都圏~北海道を結ぶ航路で運航しています。乗船時間はおよそ11時間半~19時間(航路によって異なります)と他の交通機関に比べて長いこともあり、「フェリーで電波はつながるのか?」「スマホやタブレットは使えるのか?」「そもそもWi-Fiはあるのか?」といったことは気になるところ。 2020年2月、真冬の太平洋を航行中の「さんふらわあ さっぽろ」船内で、携帯電話の電波状況を専門業者と一緒に徹底調査。今回は、その調査内容を電波の仕組みとともに解説するほか、フェリーでインターネット通信を行う際のポイントや「さんふらわあ」ならではの船内Wi-Fiサービスなどをご紹介します。

スマホやガラケーで通話・通信ができる「つながる」仕組みとは?

まずは携帯電話で通話やメールができたり、SNSなどが使えたりする基本的な「つながる」仕組みを、簡単に解説しておきましょう。
携帯電話が「つながる」のは、電波のおかげ。さまざまな情報が電波を介してやり取りされます。現在では、通信技術や携帯端末の進化に伴い、音声通話だけでなくインターネットへの接続が可能になり、ストリーミングによる動画コンテンツの視聴やオンラインゲーム、さまざまなアプリの利用など、非音声系の通信を行うことが、当たり前になりました。
携帯電話の電波は、街中のビルの屋上などに通信事業者が設置した基地局を経由して送受信されます。つまり、電波がスマホなどの携帯端末に届く限りは、さまざまな通信サービスが利用できる(つまり「つながる」)のですが、基地局からの距離が遠くなるほど電波は弱くなり、満足のいくサービスが得られなくなります。また、1つの基地局がカバーできる通信量には限りがあるため、人口密集地で携帯電話が快適に「つながる」ためには、多くの基地局を設置する必要があります。

<図1:電波特性のイメージ1>

NTTドコモの図版をもとに作成。

海上を航行中の船内、フェリーにも基地局からの携帯電波は届くのか?

NTTドコモは、『海でも「つながる」をめざして』電波が届くエリアを広げる対策に取り組まれています。NTTドコモ、au、ソフトバンクの各通信事業者(キャリア)が公表しているエリアマップを見ると、一部の沿岸海域にもサービスが利用可能なエリアがあることがわかります。
・NTTドコモのサービス提供エリア
・auの提供サービスエリア
・ソフトバンクのサービス提供エリア
このように、「さんふらわあ」が就航する航路は、各キャリアの電波が届く海域内であることが多く、物理的には船内でも携帯電話は「つながる」可能性が高いのです。ただし、フェリーの船体は鉄板を溶接してできており、船内はいわば“鉄製の箱の中”。電波は鉄などの金属を通り抜けずに反射する特性があるため、基地局からの距離に関係なく、船内は一般的に電波が届きにくいといえます。なお、電波はガラスを通り抜けるので、ガラス窓付近(特に陸地側)は電波が届く可能性があります。また、デッキ(甲板)は屋外なので障害物が無く、船内よりは電波を送受信しやすくなります。

<図2:電波特性のイメージ2>

NTTドコモの図版をもとに作成。

<図3:船内通信環境のイメージ>

国土交通省「海上における通信環境について(参考資料)」の図版をもとに作成。

実際に「さんふらわあ」に乗船して、各キャリアの電波状況を調べてみた!

2020年2月、茨城県・大洗港と北海道・苫小牧港を結ぶ商船三井フェリー「さんふらわあ さっぽろ」で、電波調査を実施しました。大洗港発の往路便と苫小牧港発の復路便における2泊3日間の往復調査で、編集部スタッフは復路便での調査に同行しました。なお、本調査にあたっては、通信インフラ整備のプロである日本コムシス株式会社様にご協力いただきました。
携帯電話が「つながる」と感じるためには、電波が届いている(電波強度に問題が無い)だけでなく、通信速度が出ていることが重要になってきます。そこで今回は、電波強度と通信速度の2つの指標を計測しました。電波強度は、電界強度測定器を船内2か所へ固定し、各キャリアの800MHz帯電波の受信強度を計測。通信速度は、キャリア別に契約済のスマホ3台を用いて、「ドコモスピードテストアプリ」(キャリア問わず測定可能)を使用し、船内6か所で30分おきにデータの送受信速度を計測しました。
◆電波強度(dBm)と通信速度(Mbps)についての詳しい説明や、船内での計測場所については、こちらの【資料編】をご覧ください。

電界強度測定器
ドコモスピードテストアプリ

注1)各グラフは、電波強度は約10分おき、通信速度は約30分おきに計測した数値を折れ線グラフとして制作したものです。
注2)各グラフの数値および海域の通過時間は、調査当日のものであり、気象・海象状況ほかさまざまな条件によって異なります。

電波状況調査1)
船内陸側(18:45~4:15)…苫小牧港出発~岩手県釜石市沖

3つのスマートフォンで通信速度を計測し、数値を書き記していく地道な作業。大洗港まで続きます。

まずは前半、乗船から夜明け前までの調査結果です。事前に、船内でも電波が届きやすいと予想した陸側(日本列島側)の状況から見ていきます。

<電波強度(苫小牧→大洗航路前半)>

ショップ前(陸側)で計測したキャリア別電波強度のグラフ(左が苫小牧港)。

大洗港へ向かう上り便(復路)では陸側となるショップ前ですが、20時~0時頃は航路が陸地から遠ざかるため、どのキャリアも基地局から飛んできている電波がかなり弱いようです。22時前後に津軽海峡の東沖を航行。しかし、三陸海岸に沿うように航行し始める0時以降は陸地に近づくことでどのキャリア電波も安定的に強度を保てていました。この区間では、特にc社の電波が比較的安定的に届いているということがわかりました。

<通信速度(苫小牧→大洗航路前半)>

ダウンロード速度:本船右舷(陸側)でのキャリア別グラフ(左が苫小牧港)。
アップロード速度:本船右舷(陸側)でのキャリア別グラフ(左が苫小牧港)。

次に通信速度の測定結果です。陸側となるショップ前とレストラン前の共有スペースで計測したデータをグラフ化し、ダウンロードでは10Mbps、アップロードでは5Mbpsに黄色ラインを引き、ストレスなく「つながる」レベルの目安としています。
※通信速度別「つながる」目安は、こちらの【資料編】をご参照ください。
出港直後は各キャリアとも良好。その後、陸地から離れるにつれて電波強度も弱くなっていましたが、残念ながら20時~深夜0時頃まではどのキャリアのダウンロード/アップロード速度も5Mbps出れば良い方という状態に。
その後は、比較的陸地に近くなってきた0時半頃から各キャリアとも速度が出始めました。あまり夜更かしはおススメできませんし、同じタイミングで利用者がどれだけいるかによっても左右されますが、深夜0時~早朝4時の共有スペースではあまりストレスなくインターネットの利用ができるかも!?

電波状況調査2)
船内陸側(4:15~14:00)…岩手県釜石市沖~大洗港到着

宮城県南三陸町沖、太平洋の彼方、雲の合間から光の矢を放つ朝日(早朝6時過ぎ)。

続いて後半、夜明け前から大洗港到着までの調査結果です。過去の乗船経験からはこの区間は「つながる」と感じていたのですが、測定結果はどうだったのでしょうか。

<電波強度(苫小牧→大洗航路後半)>

ショップ前(陸側)で計測したキャリア別電波強度のグラフ(右が大洗港)。

金華山を過ぎる朝7時頃~9時過ぎ頃までは航路が陸地からやや離れることになり、どのキャリアの電波強度も比較的弱くなることがわかりましたが、全航程の前半に比べれば、総じて早朝4時以降については、比較的電波強度が安定していました。

<通信速度(苫小牧→大洗航路後半)>

ダウンロード速度:本船右舷(陸側)でのキャリア別グラフ(右が大洗港)。
アップロード速度:本船右舷(陸側)でのキャリア別グラフ(右が大洗港)。

さて、後半の通信速度の測定結果です。やはり8時台~9時台を中心に、陸地から離れる時間帯には「つながらない」とストレスを感じる場面が多くなってくると考えられるので、そうした時間帯を避けて利用するのが良さそうです。

金華山手前の女川町沖、レストラン前では各キャリア比較的良好(7時頃)。
到着1時間前には、実際に電話をかけて音声通話状況も確認。いずれも問題なく通話できました(13時頃)。

電波状況調査3)
船内海側/客室内/デッキ…苫小牧港出発~大洗港到着

ここまで、陸側(日本列島側)となる船の右舷側での調査結果を見てきましたが、海側(太平洋側)となる左舷側や中心にある客室内、そして船外デッキ上での調査結果はどうだったのでしょうか。

窓が陸地と逆側になるスーペリアオーシャンビュー客室内。
夜半には雪が。寒さに耐えながらデッキで速度計測。

<電波強度(苫小牧→大洗航路全体:レストラン窓側)>
大洗港へ向かう上り便ではレストラン窓際は海側となります。事前の予想通り、陸側に比べて微弱な電波しか届いていませんでした。同じ窓際でも陸地に面しているか外洋に面しているかで電波の強度は大きく異なっていました。

レストラン窓際(太平洋側)で計測したキャリア別電波強度のグラフ(左が苫小牧港、右が大洗港)。

また、通信速度も電波強度に比例する形で、海側となる左舷側や中心にある客室内では圏外となることが多く、「つながる」とは言えない状態でした。

レストランが消灯した後も調査は続きました(通常は夜間開放されていません)。
スーペリアオーシャンビュー客室内では全キャリアとも速度が出ません(9時半頃)。

他方、船外デッキ上での通信速度をグラフ化してみたところ、船内よりも電波状況が良いことが一目瞭然となりました。津軽海峡沖を航行する4時間は「つながる」とは言えない状況となりますが、やはり鉄板で囲まれた船内に比べると「つながる」ようです。

<通信速度(苫小牧→大洗航路全体:船外デッキ)>

ダウンロード速度:船外デッキ上におけるキャリア別のグラフ(左が苫小牧港、右が大洗港)。
アップロード速度:船外デッキ上におけるキャリア別のグラフ(左が苫小牧港、右が大洗港)。

夜間にデッキに出る場合は十分に注意する必要があり、悪天候時にはデッキに出ることが禁止されることもありますが、天気の良い昼間などはデッキに出て通信する方が船でも「つながる」と感じることでしょう。
今回同行した苫小牧発復路便での調査では、本船右舷側のプロムナードは陸側(日本列島側)で電波状況が良く、本船左舷側の客室スーペリアオーシャンビューは海側(太平洋側)で電波状況は芳しくない結果となりました。一方、大洗発往路便での調査では、船体の向きが逆になるので、電波状況は本船左舷側の方が良い結果となっていました。
 
ただし、気象・海象をはじめ電波利用者の数などさまざまな状況・条件によって「つながる」かどうかが変わるようです(日本コムシス(株))。また実際には、調査結果のグラフ内での数値が低くても通信可能な場合や、数値が高くても通信にストレスを感じる場合があるため、本コンテンツの内容はあくまでも参考としてお考えください。

フェリーでWi-Fiをストレスなく使うには「電波強度」と「通信速度」が重要

「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」では、船内3か所に設置したWi-Fiルーターを介して、インターネットに接続可能なWi-Fiサービスを無料で提供しています。ただし、このWi-Fiサービスが使えるのは、あくまでもWi-Fiルーターが陸上基地局からの電波を受信できていることが前提。電波が届かない“圏外”の場合はもちろん、電波が微弱だったり、受信状況が不安定だったりすると、「つながらない」可能性が高くなります。「つながる」ためには、第一段階として電波強度が強いことが重要なのです。
第二段階として、通信速度が出ている必要があります。電波強度が強くても通信速度が遅ければ、画像の読み込みなどのデータのダウンロードに時間がかかることがあります。通信速度が遅くなる原因として、同じWi-Fiルーターに複数の端末から同時に接続している(1つの電波を複数で分け合っている)場合や、ルーターからの距離が離れている(物理的に電波が届きづらい)状態が考えられます。

5階案内所前には無料Wi-Fiのパスワードが掲出されており、多くのお客さまが設定を行っていました。

知っておきたい、「さんふらわあ」船内でのおススメ通信ポイント

今回の調査でわかったように、海の上では電波状況が良くないエリアがあることを理解しておきましょう。また、窓があっても陸地の逆側や船内の中心部では、携帯電波を受信しづらくなります。さらには、同時に多くの方が利用している場合や、動画の視聴、オンラインゲームなどを楽しんでいる方がいる場合にも、通信速度が遅くなってしまうことがあります。
メールやLINE、画像の送受信程度であれば、Wi-Fiを使わずに各キャリアの回線で通信したほうがスムーズな場合も。スマートフォンなどの通信端末の受信状況を見て判断するとよいでしょう。各通信キャリアによって電波状況に違いはありますが、陸地側の窓際やデッキなら、比較的携帯電波がキャッチしやすくなります。

◆「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」船内で通信するならココ!
第1位:7階の客室(特に陸側)に付いているバルコニー(キャリア電波)
ワンランク上の個室を予約して、快適な船旅を楽しもう!
第2位:ショップ前のプロムナード(Wi-Fi利用)
携帯のキャリアによらないインターネット接続をノートパソコンでも楽しもう!
第3位:デッキ(屋外)と陸側の窓際(レストラン前など)(キャリア電波)
大洗発便はスーペリアオーシャンビューという窓付きの客室、苫小牧発便はショップやレストラン前のプロムナードが陸側となるのでおススメ!
「つながる」可能性が高い時間帯やエリアは、電波強度や通信速度のグラフを参考にしてみてください。
→【資料編】はこちら

飛行機内ではWi-Fiが使えるけど、フェリーでも「つながる」ようにはならないの?

雲の上を高速で飛ぶ飛行機。航空会社の多くが、飛行中のWi-Fi提供を行っており(航空会社や路線、搭乗機などにより有料/無料あり)、機内でのインターネット通信を可能にしています。「フェリーでも飛行機と同じようにできないの?」と思う方も多いでしょう。
飛行機は一般的に、人工衛星を介した電波を機体の上部に設置した機器で送受信して通信を可能にしています(陸地の上空のみを飛行する機体では、陸上からの電波を機体の下部に設置した機器で送受信する仕組みを採用している場合があります)。
フェリーに衛星電波の通信環境を整備する上でもっともハードルとなるのは、利用するお客さまに「つながる」と感じてもらえる通信環境の提供を保証できないことです。海上航行という特殊な環境下では、気象・海象状況によって電波が乱反射してうまく通信できないなど、自然環境に左右される要素が大きくなってきます。「さんふらわあ」では、お客さまにより快適な船旅を楽しんでいただくため、引き続き通信環境整備に取り組んで参ります。

圏外でも、映画100本無料で見放題!船内限定Wi-Fi『SSQ』やショップでの電子マネー決済を導入

「さんふらわあ」の船内限定で提供されるエンターテインメント『SSQ(SunFlower Smart QUEST)』は、船内Wi-Fiの利用人数や客室によらず、いつでも快適に利用できます(大洗~苫小牧航路(夕方便)、大阪~志布志航路限定)。『SSQ』を利用すると、お手持ちのスマホやタブレット、ノートパソコンで、船内の案内図や到着地の天気などがわかるほか、約100タイトルの映画が無料で視聴可能。もし、電波状況が悪くてインターネットに接続できなくても、『SSQ』のビデオオンデマンドで好きなタイミングで映画を観て過ごせます。

『SSQ』画面(スマートフォン)は、「さんふらわあ さつま」船内での表示例です。

また、大洗~苫小牧航路の「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」の船内ショップでは各種電子マネーが利用可能です。現金をやり取りせずに支払いが簡単に済ませられ、大変便利です。利用可能な電子マネーは以下の通りです。
・WAON(ワオン)・nanaco(ナナコ)・楽天Edy(エディ)・iD(アイディー)・Kitaca(キタカ)・Suica(スイカ)・PASMO(パスモ)・toICa(トイカ)・manaca(マナカ)・ICOCA(イコカ)・SUGOCA(スゴカ)・nimoca(ニモカ)・はやかけん
※船内で電子マネーへの入金(チャージ)はできません。
※詳細はこちら

今回は、首都圏~北海道を航行する「さんふらわあ」での電波調査結果をご紹介しました。関西~九州を航行する「さんふらわあ」の瀬戸内航路と高知県沖の太平洋を通る大阪~志布志(鹿児島)航路でも電波調査を行うと、また違った結果が出るでしょう。

商船三井グループの「さんふらわあ」は、乗船されるお客さまの満足度向上に向け、今後も船内環境の改善を図って参ります。

→【資料編】はこちら(大洗発→苫小牧着の電波強度・通信速度調査結果も掲載しています)。

「さんふらわあ」の船内でも、
電波状況にあわせて最適な通信方法を選び、
船旅をより快適に楽しもう!

関東~北海道航路「商船三井フェリー」はこちら

※商船三井フェリーのWebサイトへ移動します

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