昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ

もくじ

大阪~別府、神戸~大分間を結ぶ「さんふらわあ」は、普段は夜に出発して瀬戸内海を航行し、朝到着します。しかし、昼間に瀬戸内海の島々を眺めながら“カジュアルクルーズ”が楽しめる特別便が運航していることをご存じでしょうか?
新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断していた「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」が、2022年秋に約3年ぶりに復活しました。今回は2022年10月30日(日)に開催された、神戸発~大分行きのカジュアルクルーズの様子をレポートします。

「さんふらわあ ぱーる」で行く、特別な″昼のカジュアルクルーズ“

秋晴れで絶好の瀬戸内海カジュアルクルーズ日和となった当日、気持ちの昂ぶりを抑えながら神戸港(六甲アイランド)に向かいます。乗船するのは「さんふらわあ ぱーる」。出港時間は午前10時40分なので、余裕を持って9時半くらいに神戸港へ到着しました。すでにたくさんの人がいて、皆さんのワクワク感が伝わってきます。

乗船手続きを済ませ、乗船開始時間の10時15分を迎えて、いよいよ「さんふらわあ」へ!人道橋を通って船に向かいます。

乗船口で出迎えてくれたのは、「さんふらわあ ぱーる」の事務長と“ミス別府”のお二人。
乗船口で出迎えてくれたのは、「さんふらわあ ぱーる」の事務長と“ミス別府”のお二人。
船内エントランスでは、ピアノとヴァイオリンの生演奏によるウェルカムコンサートの演出。
船内エントランスでは、ピアノとヴァイオリンの生演奏によるウェルカムコンサートの演出。
銅鑼(どら)の音が響き渡り、10時40分出港

「ジャン、ジャン、ジャン、ジャァァアン!」銅鑼(どら)の音が響き渡り、10時40分出港です。
神戸港では神戸学院大学の吹奏楽部の皆さんが、アニメONE PIECEのオープニング曲『ウィーアー!』を演奏してお見送りしてくれました。
出港に合わせて、右舷側5階・6階の展望デッキから、港に向かって乗船客の皆さんが一斉に紙テープを投げるテープセレモニーが行われました。たくさんのカラフルな紙テープが風になびき、楽しい船旅のスタートです。

一度は経験してみたいテープセレモニー。
一度は経験してみたいテープセレモニー。陸からの演奏を聴きつつ、行ってきまーす!

世界最大級のつり橋・明石海峡大橋を下から見上げる

神戸港を出て約40分。11時20分頃になると、神戸市と淡路島を結ぶ世界最大級のつり橋、明石海峡大橋の下を通過します。通常の運航は夜なので、ライトアップされたきらびやかな明石海峡大橋の姿が見られます。それはそれできれいなのですが、このクルーズでは、ファンネル(煙突)と橋架のダイナミックなアングルが見られました。

昼間の瀬戸内海クルーズでしか撮れない写真。
昼間の瀬戸内海クルーズでしか撮れない写真。晴れて良かった。
瀬戸内海は、ずっと眺めていても飽きません。
瀬戸内海は、ずっと眺めていても飽きません。双眼鏡で遠くの島々を見る方も。

本州の近畿・中国エリアと四国の間にある瀬戸内海。陸地に挟まれた内海なので波が穏やかで、多くの島々が点在しています。また、漁船や内航船などたくさんの船が行き交う海上交通の要所でもあります。

老舗料亭の懐石弁当や大分のご当地グルメを楽しみながら、優雅なランチタイム~ティータイム

ランチタイムの時間となり、お弁当を受け取りに5階のレストランへ。老舗料亭『なだ万』の懐石弁当です。牛肉のしぐれ煮や白身魚のあんかけ、炊き込みご飯など、優しい味わいの料理がふんだんに詰め込まれています。特に、酒蒸ししたタコは柔らかくて絶品!レモン風味のがんもどきもとてもおいしく、大満足の昼食となりました。

さすがは名店、彩りも美しく、上品な味のお弁当でした。
さすがは名店、彩りも美しく、上品な味のお弁当でした。
大分県内でこだわりのコーヒー豆を販売している『3 CEDARS COFFEE(スリーシダーズコーヒー)』が出張出店。

レストラン内には、大分県内でこだわりのコーヒー豆を販売している『3 CEDARS COFFEE(スリーシダーズコーヒー)』が出張出店。ランチ後からティータイムの時間、厳選した豆から淹れたコーヒーが提供されました。
国際コンテストで優勝したメキシコ産の豆を使用したコーヒーは、淹れたての温かなうちは熟したオレンジのような酸味と甘味があり、時間がたって冷めていくにしたがい白ワインのような上品で芳醇な香りが感じられます。風味の変化が楽しめる特別な一杯でした。

スイーツもありました
ランチ後のデザート
別府名物の地獄蒸しプリン

また、ランチ後のデザートやおやつにピッタリのスイーツもありました。大分市『ancoco cafe』のあんバターサンド、大分市『跡部誠進堂 クランベリーアトベ』のどら焼き、別府市『岡本屋』の元祖地獄蒸しプリン、湯布院町『由布院ミルヒ』のケーゼクーヘンの4種で、いずれも地元大分で人気のものばかり。
その中から選んだスイーツは、ミス別府がおすすめしてくれた、明礬(みょうばん)温泉の蒸気で蒸してつくられる別府名物の地獄蒸しプリン。プリンは牛乳と卵の滑らかな舌触りで、割とあっさりとした味わい。香ばしさとやや苦みのあるカラメルと合わせると、プリンのおいしさが一層引き立ちます。

優雅な演奏

レストランでコーヒーとプリンを堪能していると、ピアノとヴァイオリンの演奏が再び始まりました。クラシック音楽や演奏用にアレンジされたポピュラー音楽を聞きながら、コーヒーとスイーツをいただく昼下がり。しかも瀬戸内海をクルーズする船の中なんて、優雅で贅沢なひとときを満喫しました。

多島美の魅力を、船旅アンバサダー・小林希さんに学ぶ

多島美の魅力を、船旅アンバサダー・小林希さんに学ぶ

14時15分からは、レストランで日本旅客船協会の船旅アンバサダー・小林希さんの講談が始まりました。日本国内で120もの島をめぐっている小林さん。瀬戸内海の美しい島々について、神話との関わりなどをお話しいただき、その後デッキに出て実際の島を見ながら解説してくださいました。

興味深い島の話に、皆さん耳を傾けていました。
興味深い島の話に、皆さん耳を傾けていました。
小林さんの解説を聞きながら島を見ると、より理解が深まります。
小林さんの解説を聴きながら島を見ると、より理解が深まります。
瀬戸大橋を通過
瀬戸大橋を通過しました

デッキで小林さんのお話を聴きながら14時50分頃に、本州四国連絡橋のひとつである瀬戸大橋を通過。本州側は岡山県倉敷市、四国側は香川県坂出市を結ぶ橋で、本州~四国間の物流や人流に大きな役割を果たしています。
神戸から大分へ向かう「さんふらわあ」が通常運航時に瀬戸大橋の下を通過するのは、日~木曜日は23時25分頃、金・土曜日は翌0時20分頃なので、明るい中でしっかり見られるのは「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」ならでは。橋の上部が自動車専用道路、その下に線路があり、電車が瀬戸大橋を渡る様子を見ることもできます。

船上から見る昼間の瀬戸大橋。やはり圧巻です。
船上から見る昼間の瀬戸大橋。やはり圧巻です。

瀬戸大橋を通過すると、右舷側に広島(香川県丸亀市)、左舷側に高見島(香川県中多度郡)、右舷側に佐柳島(香川県中多度郡)、左舷側に粟島(香川県三豊市)、右舷側に六島(岡山県笠岡市)と立て続けに島々が近くに見えます。ちなみに六島は、金田一耕助シリーズの推理小説『獄門島』(原作・横溝正史)の舞台となったと言われています。

瀬戸大橋を通過し、しばらくして左舷側に見える高見島。
瀬戸大橋を通過し、しばらくして左舷側に見える高見島。

船内には、別府温泉と由布院温泉の観光協会がブースを出店し、特産品やパンフレットなどを配布していました。温泉成分が入った入浴剤やハンドソープ、大分名産の柑橘類「ざぼん」を使ったざぼんサイダーなどを無料でいただきました!

穏やかな海を行き交う大小の船と島々
穏やかな海を行き交う大小の船と島々。次第に陽が傾きはじめ、徐々に空と海の色が変わっていきます。
5階案内所前デッキと6階後方外部デッキのそれぞれ2か所に、双眼鏡が設置されていました。
5階案内所前デッキと6階後方外部デッキのそれぞれ2か所に、双眼鏡が設置されていました。

夕陽に染まるロマンチックな海を見て、夕食バイキングで満足感に浸る

夕陽

この日の日没時刻は17時5分。夕陽を映す海はオレンジ色に輝き、ドラマチックに刻々と色合いを変えていきます。そして、辺りが暗くなってきた17時25分頃、来島海峡大橋を通過しました。普段は深夜に通過し、橋のライトアップもされていないので、黄昏時の来島海峡大橋の姿は貴重。瀬戸内海の多島美を実感するロマンチックな風景に、多くの方が見入っていました。

自然が織りなす海と夕陽、橋の情景を見ようと、多くの方がデッキに上がっていました。
自然が織りなす海と夕陽、橋の情景を見ようと、多くの方がデッキに上がっていました。
夕陽を浴びてシルエットが映える来島海峡大橋。
夕陽を浴びてシルエットが映える来島海峡大橋。この辺りは、かつて村上水軍が活動していたエリア。
夕陽に照らされたオレンジファンネル
夕陽に照らされたオレンジファンネル。普段の航行中に見るより、力強く迫力を感じました。
メニュー豊富なバイキング。この日だけの特別メニューも。
メニュー豊富なバイキング。この日だけの特別メニューも。
どの料理もおいしそう。全種類食べたくなります。
どの料理もおいしそう。全種類食べたくなります。
フルーツ
とり天とからあげ

お待ちかねの夕食バイキングの時間。かぼすブリ・とり天・中津からあげなど大分名物がずらりと並ぶメニューにテンションが上がります。かぼすブリは、新鮮で身が引き締まっており、歯ごたえ抜群。くさみや脂っぽさがなく、噛むほどにおいしさが口の中に広がります。中津からあげはガツンとした醤油風味が食欲をそそり、とり天はポン酢とあわせてさっぱりといただきました。

そのほか、肉厚のマグロは大分産の「豊後まぐろ ヨコヅーナ」。旨味がたっぷり。なんと松茸ご飯もあり、松茸の芳醇な香りとごぼうの食感を堪能。味覚とお腹が幸せで満たされました。

大分・津久見で養殖された「豊後まぐろ ヨコヅーナ」の上質な赤身。
大分・津久見で養殖された「豊後まぐろ ヨコヅーナ」の上質な赤身。
大分県日田市の名物B級グルメ日田焼きそば
大分県日田市の名物B級グルメ日田焼きそばもありました。
バイキングはついつい取りすぎちゃいますが、すべておいしくいただきました!
バイキングはついつい取りすぎちゃいますが、すべておいしくいただきました!

夕食後、船内のプロムナードでは、船長とのツーショット撮影会がサプライズで開催。通常の運航時にはないチャンスに、愛好家だけでなく子供から年配の方まで多くの方が写真を撮っていました。

畑川船長とのツーショットチャンスに行列が!
畑川船長とのツーショットチャンスに行列が!

はずれなし!昼のカジュアルクルーズ限定のお楽しみ抽選会で大興奮!

乗船客全員が対象の「お楽しみ抽選会」

20時30分、大分港到着まで残りわずかの時間、レストランでは乗船客全員が対象の「お楽しみ抽選会」が始まりました。一等賞は2023年1月以降、大阪~別府航路に就航する新造船「くれない/むらさき」のスイート客室乗船券!そのほか、温泉旅館の宿泊補助券や大分の名産品などの景品が、乗船時に受け取った抽選券の番号によってもらえます。残念ながら当選しなかった方にも、参加賞としてさんふらわあオリジナルミニタオルが渡されました。

歴代の「さんふらわあ」が紹介された「さんふらわあの歴史」の展示も。
歴代の「さんふらわあ」が紹介された「さんふらわあの歴史」の展示も。
大分駅まで運行されていた無料送迎バス

22時。大分港に到着し、「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」は終了です。3年前までは、カジュアルクルーズで乗船してきた船をホテル代わりに宿泊できる「ホテルシップ」が行われていましたが、今回は感染症拡大予防の観点から実施されませんでした。徒歩乗船だった筆者は、大分港フェリーターミナルからJR大分駅まで運行されていた無料送迎バスに乗車して、大分駅近くのホテルに宿泊しました。

「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」参加者の声

最後に、今回の「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」に参加された数名の方に話を伺うことができたので、紹介します。

・山本さま夫婦

「さんふらわあ」には縁を感じるという山本さま夫婦。
抽選会では1等をゲット。「さんふらわあ」には縁を感じるという山本さま夫婦。

私たちは神戸に住んでいて、子供(娘)が大分の大学に通い、一人暮らしをしています。もうすぐ卒業で大学生活が終わるので、最後に家族全員で旅行しようということで、今回のカジュアルクルーズに参加しました。今晩大分に泊まったら、娘と一緒に長崎へ旅行するんです。娘は、大学卒業後は神戸に戻って働くので、最後にこういう旅ができてうれしいですね。
「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」は初めて参加しましたが、普段は夜で見えない景色がみられて新鮮でした。夜はどの辺を走っているのかわからないですからね。景色以外にもイベント盛りだくさんの船旅で大満足です。

・中野さま親子

乗り物での移動が大好きという中野さま親子。
乗り物での移動が大好きという中野さま親子。

母娘2人で参加しました。「さんふらわあ」には、今まで3回ほど乗船しています。船だけでなく、飛行機や新幹線など乗り物に乗って移動することが好きなんです。「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」は、フェリーに乗って海や島々を眺めながら移動ができて、すごく楽しいですね。
今回の旅行では、このあと宮崎県の高千穂に行く予定です。

・武士さま

神戸で写真館を営まれている武士さま。
ご職業はカメラマン。神戸で写真館を営まれている武士さま。

神戸からバイクでの乗船です。今晩大分に宿泊し、明日大分県の佐賀関から愛媛県の佐田岬に船で渡り、香川県の高松までバイクで走って、高松からフェリーに乗って神戸まで帰るコースです。
「さんふらわあ」は、阿蘇をツーリングするのによく利用しています。大分から阿蘇まで100キロくらいと近いから、朝着いてその日の夜帰る「弾丸ツアー」ですね。阿蘇の雄大さは関西にはないし、関西には火山もないから九州は面白い。
いつもの「さんふらわあ」だと、夜出発して朝到着だけど、「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」は昼間に12時間。退屈するかなと思っていたけれど、全然そんなことなかった。イベントもいろいろあって、瀬戸内海のいろんな景色が見られて、楽しかったです。

日本クルーズ&フェリー学会の皆さま
日本クルーズ&フェリー学会の皆さまも乗船されていました。

今回開催された神戸~大分(2022年10月30日)と大阪~別府(2022年11月13日)「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」は、十分な感染症対策を取って実施されました。
2023年以降も継続して運航を計画していますので、関西~九州航路「さんふらわあ」ホームページをチェックしてみましょう。
夜とは違った、明るい表情を見せる昼の瀬戸内海を、ぜひ一度満喫ください

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