【対談】今こそフェリーに乗って旅に出よ!(後編)アイキャッチ

もくじ

新造船の相次ぐ就航によって新しい時代を迎えつつあるフェリー旅。まだまだ旅行手段としては主流とはいえませんが、その魅力は乗った人の心を掴んで離しません。

前回に続き本誌で「さんふらわあ今昔ものがたり」を連載中の航海作家・カナマルトモヨシ氏と、近ごろすっかりフェリー旅に夢中の旅行ライター・いからしひろき氏のフェリー旅の魅力についての熱い対談、その後編をお届けしましょう。
≫前編はこちら

【対談】今こそフェリーに乗って旅に出よ!(後編)1
左が旅のプロ・いからし氏、右が船旅のプロ・カナマル氏

自分流にカスタマイズできるのがフェリー旅の魅力

(いからし)
金丸流フェリー旅の楽しみ方ってありますか?

(カナマル)
「自分でイベントを作る」ってのはありますね。なんでもいいんですよ。甲板で星空を見るとか、風呂に入りながら朝日を見るとか。それだけでフェリーに乗る楽しみが増えます。

(いからし)
なるほど。

(カナマル)
あと、歴史地図を持ちこむ。この辺であの事件が起きたのか!とか、これは篤姫が大阪から江戸に入ったルートだな!とか楽しめます。

(いからし)
実際にそうなんですか?

(カナマル)
そうですよ。篤姫は船で江戸まで行っています。最近の話題で言えば西郷さんが島流しにあったルートを追体験してみるとか。「私は西郷どん」ってイベントを自分でやっちゃえばいいんですよ。俺はいま西郷どんと同じルートを進んでいる! 日本の夜明けぜよ!

(いからし)
それは坂本龍馬でしょ(笑)

(カナマル)
そうか(笑)。あといまは客船クルーズが人気だけど、いざ乗ろうと思っても日程が合わなかったりするんですよ。だけどフェリーは毎日出ているから自分の好きな旅にカスタマイズできる。この日に出てこの日に帰ろうってね。繁忙期じゃなければ大体チケットもとれますから。だから鹿児島に着いた後、気まぐれに大分に向かい、そこからまた船に乗るなんてのもあり。勝手に周遊プランにできる。

(いからし)
旅行ライターの先輩が、九州に行く時は必ず大阪からフェリーに乗るらしいです。その人は温泉が得意で、九州を縦断しながら温泉に入りつつ、最終的には別府か鹿児島から船に乗って大阪に戻るそう。そういうやり方だと、志布志港が九州のほぼ最南端にあるのは便利ですよね。

(カナマル)
確かに。新幹線だと終点の鹿児島中央からさらに南下しないと行けない。

(いからし)
新幹線とか飛行機に乗っちゃうと、ターミナル駅や空港を拠点にした旅になりがちじゃないですか。でもフェリーの港って大洗とか苫小牧とか志布志とか、普通だったらなかなか行かない場所にあるから、普通とは違う旅が楽しめる。

(カナマル)
おっしゃる通り、“知らない場所にあるのを逆手にとろう”というのはぜひ提案したいですよね。志布志なんて鹿児島のガイドブックにも余り載ってないような場所ですけど、意外と楽しいところで歴史もある。こういう普通は知らない場所を旅できるのも、フェリーならではですよね。

自分流にカスタマイズできるのがフェリー旅の魅力1
入港直前の「さんふらわあ」から見える志布志港の風景

フェリー旅は人に優しい?

(いからし)
普通の旅だと朝早く家を出なきゃいけないじゃないですか。車にしろ新幹線にしろ、たいがい旅っていつもより早起きして眠い目をこすりながら──僕は小さな子供がいるので車で行くことが多いんですけど──睡眠不足の中の長距離移動ってホント辛い……。

(カナマル)
わかる、わかる。

(いからし)
でもフェリーって大体夕方出るじゃないですか。ひと仕事してやりきったぞっていう達成感の中で、ほっと一息つきながらゆっくり非日常に入っていける。 ゆっくり休んで目的地に着いた頃にはフル充電しているから、いきなりトップスピードで動ける。車だと朝イチで活動を始めるには前の夜から移動しなければならないし、途中道の駅で仮眠したりしても、やっぱり疲れは取れないんですよね。下手すりゃ事故につながる。

(カナマル)
トラックの運転手さんがフェリーを使うのもそういうことなんですよ。ハードワークですから彼らは。でもフェリーの移動が途中にあるから休めるし早い時間だったら酒も飲める。仲間がいるから気晴らしもできる。ずっと一人の仕事って辛いと思うんですよ。安全上、気もずっと張らなきゃいけないし。でもフェリーでリラックスできるから、その前後、安全に運転できるんです。

(いからし)
そうか、だからカーフェリーって言うんだ。車とドライバーが先。

(カナマル)
そう。それを我々一般人も同じように活用しようっていうことなんです。

(いからし)
ペット連れのお客さんに関してはもうフェリーは“マスト”ですよね。今日の船もペットと一緒に泊まれる部屋が10室もあるんですよ。これ、他の交通手段にはありえない。

フェリー旅は人に優しい?1
さつまのウィズペットルームは10室も!

(カナマル)
家に置いたりペットホテルに預けたりして、「今ごろどうしてるかしら? ちゃんとエサ食べてるかしら?」なんて心配しながらだと旅をしても楽しめないですよね。ペットに対してもそうだけど、飼い主の心にも優しい。

(いからし)
フェリーって体の不自由な人にも優しいと思いますよ。特にこの船はバリアフリーがしっかりしていて、レストランや客室にはスロープが必ず付いてるし、多機能シャワートイレもついてる。実際、今日も車椅子のお客さんが2人いましたけど、高齢化社会が進むこれからの旅は“バリアフリー”というのも大きなテーマです。

フェリー旅は人に優しい?2
「さつま」のレストランに設けられたスロープ

(カナマル)
普段あまりフェリーに乗っていない、いからしさんに聞きたいんですけど、これがあればいいなって事はありますか? 

(いからし)
やっぱりバーが欲しいですね。部屋で飲むのもいいんだけど、子供が寝静まった後、夫婦や友達同士でゆっくりお酒を楽しむなんて最高。

(カナマル)
ああ、そうですね。昔のフェリーって大体居酒屋があったんですよ。70年代とか。例えば無人でもいいですよね。新潟駅にもあるじゃないですか、お金を入れると日本酒が出てくる……。

(いからし)
「ぽん酒館」ですね。

(カナマル)
そうそう。ああいう設備があるといいですよね。

(いからし)
自動販売機にカウンターがあるだけでもいいですけどね。

(カナマル)
ただ、ドライバーさんの事故を防ぐために自動販売機も含めたさんふらわあ船内のアルコール販売は23時までなんですよ。

フェリー旅は人に優しい?3
さつまにもアルコールの自販機がありますが販売は23時まで。ちなみにお値段はコンビニと変わらないのでご安心ください!

(いからし)
へ〜、そうなんですか。クルーズ客船もそうなんですか?

(カナマル)
クルーズ客船はもうちょっと遅いですね。というか飲めるバーがちゃんとある。

ただ海を見て過ごすだけの時間がどれだけ貴重か

(いからし)
そもそも一般の人って、フェリーとクルーズ客船の区別がついてないと思うんですけど……恥ずかしながら僕もよくわかっていません。

(カナマル)
簡単に言うと、フェリー船ってのはサンダル、短パン T シャツでOK。でもクルーズ客船となるとその格好では入れない。今日はちょっといいレストランに行くぞっていう格好が必要です。

(いからし)
カジュアルとフォーマルの違いですね。

(カナマル)
そう。だから「さんふらわあ」は“カジュアルクルーズ”。

(いからし)
なるほど。

(カナマル)
あと船旅とクルーズも厳密には違います。船旅は単なる移動。クルーズっていうのは楽しみながら行くもの。でも今の日本のフェリーはその真ん中という位置づけ。単なる移動として乗っている人もいれば、「さんふらわあ」のような“カジュアルクルーズ”を謳っているフェリーには最初から楽しむために乗り込む人もいる。クルーズをもう少し詳しく話すと……

(編集部注:クルーズについて実に素晴らしい話がこのあとカナマルさんから展開されましたが、それはまた別の機会に紹介いたします)

(いからし)
なるほど、でも本気のクルーズは日本人には荷が重いんじゃないですか。日本人って目に見えない贅沢にお金をかけるのが苦手だから。

(カナマル)
おっしゃる通り。だからフェリーの“カジュアルクルーズ”くらいがちょうどいいんですよ。設備の話に戻っちゃいますけど、あまりやりすぎるとクルーズ客船になっちゃう。
ただ海を見て過ごすだけの時間がどれだけ貴重か……。そういう一見無駄な時間を日本人は持つべきですよ。フェリー旅をしたことが無い人は、人生損してると思うなぁ。

ただ海を見て過ごすだけの時間がどれだけ貴重か1
志布志入港1時間前のさつまの船上から。朝のひととき、海を行き交う船を眺める人も意外と多い

(いからし)
むしろ忙しい人にこそ乗って欲しいですよね。船に乗れば自分だけの時間がたっぷり作れる!

(カナマル)
いやあ、でも個人的にはあまり教えたくないなぁ(笑)

(いからし)
まあそう言わずに。これからもフェリー旅の魅力、色々教えてください(笑)

カジュアルクルーズを存分に
ご堪能いただける「さんふらわあ」で
素敵な船旅を!

フェリーさんふらわあ

※フェリーさんふらわあのWebサイトへ移動します

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