茨城サイクリング

もくじ

近年の自転車ブームのおかげか、各地にサイクリングロードが拡充されてきた感があります。「さんふらわあ」が発着する茨城県にも自転車スポットがいくつかあります。中でも幅広い層に人気なのが『つくば霞ヶ浦りんりんロード』。『つくば霞ヶ浦りんりんロード』は、令和元年11月、琵琶湖を一周する「ビワイチ」、「しまなみ海道サイクリングルート」と並び、ナショナルサイクルルート(※)に選ばれ、日本を代表するサイクリングロードの一つです。上級者が納得できるハードなコースもありますが、今回ご紹介するのは初心者向けのコース。 「さんふらわあ」に愛する自転車と一緒に乗船して、一人旅はもちろん、友人やご家族と一緒に楽しめる旅のプランを、国内外をサイクリングしてきた経験を持つプロがご紹介します。
ナショナルサイクルルート制度(国土交通省HP)

「さんふらわあ」が発着する大洗港フェリーターミナルからのアクセス

●輪行と徒歩の場合
大洗港フェリーターミナル→大洗駅(鹿島臨海鉄道大洗鹿島線)→水戸駅(JR常磐線)→土浦駅
●車の場合
大洗港フェリーターミナル→県道2号で北関東自動車道水戸大洗IC→友部JCTで東京・土浦方面へ→土浦ICで降り、国道125号線で土浦駅へ

旅の拠点はサイクリストにやさしい土浦駅

土浦駅

「さんふらわあ」を下船して、大洗港から向かったのはJR土浦駅。駅と直結する『プレイアトレ土浦』は、茨城県と商業施設であるアトレの官民がタッグを組んだ日本最大級のサイクリング拠点です。自転車と一緒にチェックインできるサイクリングホテル『星野リゾートBEB5土浦』や北関東最大級のフロアを誇る自転車専門店『ル・サイク』があり、レンタサイクルも用意。ほかにもレストランやドラッグストア、カフェ、コンビニなど、この上ないほどの充実ぶりで、サイクリングに必要なものはほぼ揃えられ、食事に困ることもありません。

さて、今回のような旅のプランの場合、理想的なのは前泊で宿泊し、翌朝からサイクリング。もう1泊して体を休めてから帰宅するもよし、もう1日サイクリングするもよし、できるだけ長期滞在した方がより楽しめます。

土浦駅の真上!自転車と泊まる『星野リゾートBEB5土浦』

星野リゾートBEB5土浦エントランス

初日の宿泊施設として選んだのは、その『プレイアトレ土浦』の3~5階に位置する『星野リゾートBEB5土浦』です。ホテル内やゲストルーム(客室)に、自転車とともに入れてしまうというこのホテル。気になるゲストルームは、自転車を室内に入れられる「サイクルルーム」のほか、上段がベッドで下段にソファーを備えた、まるで秘密基地のような「ヤグラルーム」、大きなソファーとダブルベッドに加え、ビジネスユースもできるデスクを備えた「ダブルルーム」の3種あり。利用客は気軽に自転車を楽しむ若者から、本格的なサイクリングを楽しむ上級者まで幅広く、アクセスの良さからビジネスマンやファミリー層も利用しているそうです。

星野リゾートBEB5土浦客室
サイクリストが嬉しくなる「サイクルルーム」は、壁面に設置されている自転車ラックに愛車を収納することができます。宿泊定員は2名まで。ちなみに「ダブルルーム」も2名。「ヤグラルーム」は3名での利用が可能です。
星野リゾートBEB5土浦
館内で仲間とわいわい過ごせるカフェ『TAMARIBA』(24時間オープン)に行けば、他のサイクリストとコミュニケーションも取れるはず。自転車好きはもちろん、初心者の方ももっと自転車を好きになるかもしれません。
メロンまるごとクリームソーダ

ちなみに『TAMARIBA』では「メロンまるごとクリームソーダ」を1日10個限定で販売中(販売時間は9:00~21:00)。野外フェスで1日に3,000食が売れた伝説の逸品で、茨城県産のメロンを使用しています。

※写真提供:星野リゾートBEB5土浦

<編集部コメント>
サイクリングを安全・快適に楽しむのに欠かせない、自転車の整備。『星野リゾートBEB5土浦』の4Fには自転車の整備スペースがあり、工具を利用して自分で愛車のお手入れが可能です。タイヤの空気やサドルの高さ、チェーンの汚れなど、しっかりチェックしておきましょう。
自転車の整備が完了したら、『プレイアトレ土浦』内のフードショップやコンビニ、駅ビル直結のスーパーでフードとドリンクを買い込んで、持ち込みOKのカフェ『TAMARIBA』で前夜祭はいかがでしょうか!もちろん『TAMARIBA』でも、ドリンクやスナック、お酒を購入できます。『プレイアトレ土浦』にはスイーツショップも複数あるので、お店が閉まらないうちにぶらぶら散策してみるのもいいでしょう。壁に自転車をディスプレイできる「サイクルルーム」に宿泊される方は、愛車を眺めながら翌日に備えてゆっくり体を休めておくのもいいですね。日本最大級のサイクリング拠点で体も愛車もコンディションを整えて、最高のサイクリングに臨みましょう。

星野リゾートBEB5土浦

住所
茨城県土浦市有明町1-30
電話番号
0570-073-022(予約)/10:00~18:00
チェックイン
15:00
チェックアウト
11:00

ノスタルジックな田園をゆく ~りんりんロード前半~

つくば霞ヶ浦りんりんロード

愛車とともにゆっくりと英気を養った翌日は、早朝からりんりんロードへ向かいます。スタート地点はホテルから約20分の距離。実は、りんりんロードにはいくつかルートがあり、もっともハードなのが日本第二位の面積を誇る湖、霞ヶ浦1周コース(約130㎞)。初心者にもフレンドリーなのが、今回、走る旧筑波鉄道コースです。1987年に国鉄が民営化されるまで筑波鉄道が走っていた路線を自転車道として整備したもの。コースは鉄道時代の路線と同じく、土浦駅と岩瀬駅を結ぶ約40㎞で、ほぼフラットではあるものの、風が強い日は適度に休憩して進むのがよいでしょう。見どころは多数あるのですが、なかでも筑波山の見え方に注目。眺める位置によって形が変わる不思議な感覚もぜひ味わってください。

<編集部コメント>
いよいよスタート!…の前に、サイクリングが初めての方は装備を確認しておきましょう。ロングライドしていると気象が変化して、強い日差しや雨風などに晒されながら、スタート時より暑いor寒い状態で走行することがよくあります。寒暖差に対応できるように、数枚の服を重ね着しておくのがおすすめです。さらに、ペダルをこぐ脚が突っ張らないようにパンツは伸縮性のあるもの、シューズは動きやすい運動靴やスニーカーを選びましょう。水分やお腹が空いたときの携帯食、日差しや風から目を守るサングラス、雨が降ってきた時のための雨具、サイクリングコースがわかるように『つくば霞ヶ浦りんりんロード』のマップ、それらを収納できるようなコンパクトなボディバッグがあると便利です。

つくば霞ヶ浦りんりんロード

土浦駅を出発し、周辺を見渡すとりんりんロードの標識があちらこちらにあります。スマホを頼らずに完走できるほど充実しており、これなら迷子になる心配もありません。

旧筑波鉄道コース

旧筑波鉄道コースは、土浦駅の北東が起点。ところどころで地元の人が散歩していたり、通勤・通学の道だったり、生活道としての一面もあるので、むやみにスピードを出すのはNG。土浦ならではの生活風景を楽しみながらキープレフト、安全第一で走ってくださいね。

つくば霞ヶ浦りんりんロード

少し疲れを感じたら、かつての駅のホームがそのまま残されているところや休憩所としてリニューアルされている場所で休息を。どこか懐かしい雰囲気で、サイクリング中は映画『スタンド・バイ・ミー』のようなノスタルジックな気分を味わえます。旧駅舎を活用した休憩所が旧筑波鉄道コース中には6か所あるので、自分のペースに合わせて休憩して、サイクリングを楽しみましょう。

つくば霞ヶ浦りんりんロード

ちょっと街を出ると田園が広がり、遠くに筑波山が眺められます。地元の人の話では、筑波山にモヤがかかると雨が近いとのこと。防寒はもちろん、簡単な雨具などを装備しておくことをおすすめします。

つくば霞ヶ浦りんりんロード
つくば霞ヶ浦りんりんロード

コースの途中にある史跡『小田城跡歴史ひろば遺構復元広場』は、鎌倉~戦国時代に常陸国南部の最大勢力だった小田氏の居城跡。さらに進むと歴史ひろばの案内所があります。また高架下には色鮮やかな筑波山が描かれているなど、いろいろな見どころがあります。

<編集部コメント>
『つくば霞ヶ浦りんりんロード』には、筑波鉄道常陸北条駅跡や雨引休憩所付近など桜並木の間を走れるコースがあります。3月下旬〜4月上旬に訪れる方は、ぜひ旧筑波鉄道コースを走って、花吹雪が舞う桜のトンネルを眺めながらサイクリングを楽しんでください。通り過ぎるのがもったいなくて、ついつい自転車がゆっくりになってしまうかも!

つくば霞ヶ浦りんりんロード

取材時(2020年11月)は工事中のエリアもありましたが、平行して走る県道14号と41号を進み、この看板からりんりんロードに復帰できました(2022年10月現在は自転車道整備済み)。

冷えた体にしみわたる温かい蕎麦と芳醇な鴨肉

鴨南蛮そば

土浦から岩瀬方面に約25㎞。ほどよくお腹が空いてきた頃に、昼食で立ち寄った『鴨亭』があります。つくし湖の西に差し掛かった辺りでりんりんロードを外れ、並行する県道41号線を北上すること500mほど。創業1975年の名店で、自然飼育の鴨を使ったメニューを揃え、店主自ら腕をふるった蕎麦も絶品。全室個室なので予約は必須です。道中の休憩時間にでも電話で確認を。

今回いただいたのは、鴨南蛮そば(税抜1,200円)。豊かに香る鴨出汁。贅沢な鴨油が口の中いっぱいに広がり、旨味たっぷりなのにさっぱりとした後味。満足感もありつつ、後半のサイクリングでもそれまで通りに動きやすく、胃もたれしない絶品でした。

店内は全室個室になっており、通された部屋からは雄大な筑波山を見ることができました。4~5人のグループで訪れても、ゆったりと食事を楽しめます。
手打ち蕎麦と鴨料理 鴨亭
敷地内には鴨舎の一部が残っていました。先代から2代にわたり敷地内で自然飼育していた鴨達でしたが、東日本大震災時にこの地域が断水し、水が確保できる場所へ移住されたとのこと。その土地ならではのグルメを楽しむのも旅の醍醐味です。
手打ち蕎麦と鴨料理 鴨亭

手打ち蕎麦と鴨料理 鴨亭

住所
茨城県桜川市真壁町椎尾2575
電話番号
0296-54-1122
営業時間
11:00~15:00 17:00~21:00(夜は予約のみ)
定休日
毎週水曜日 第二火曜日(祝祭日の場合は営業、後日代休あり)

筑波山麓にひっそり広がる「はにわ」の世界

はにわ

土浦から岩瀬方面に向かって約27㎞。りんりんロードの右手、住宅地と農地の中に「コンビニマートおおぜき」が見えてきたら東へ進み、県道41号線を岩瀬方面にほんのちょっと。沿道に「はにわ」が立ち並んでいる異質な空間が「はにわの西浦」です。店頭や店内に大小無数に並ぶ「はにわ達」は地元でとれた粘土を独自配合して作ったもの。サイクリストのお客さんも多いそうで、持って帰れる小さな商品が人気とのことです。

屋外のスペースには3mを超える「おどるはにわ」(左の大きな2体)がどどーんと展示されていました。どことなくユニークな表情はゆるキャラのよう。聞けば商品とのことでお値段は200万円。敷地内にある窯で焼く際には分割をして入れるという、こだわりの「はにわ」です。

おどるはにわ
「おどるはにわ」は大小さまざまなサイズがあり、店内のいたるところで見られます。
おどるはにわ
お土産として人気を集めているのは「おどるはにわ」の小型版。高さは10cmほどで、お値段は400円。テーブルマスコットにしたら癒されそう。
はにわ

さらに園芸ブームの時に爆発的に売れたのが、はにわの鉢。これに花や植木を生けたら、ほっこりした気持ちになれるはず?持ち帰れない大物は配送も手配してくれるので、お気軽に相談を(※価格は2020年取材時のものです)。

はにわの西浦

はにわの西浦

住所
茨城県桜川市真壁町東山田1414
電話番号
0296-55-0283
営業時間
9:00~17:00
定休日
なし

筑波の景色を堪能する、あっという間の3時間半 ~りんりんロード後半~

りんりんロード

りんりんロードを筑波山から北側に進むと、休憩施設の充実度が高まります。各駅のホームは残っているものの、隣接するトイレはキレイで、フリーWi-Fiが設置されているところまでありました。たいして走ってもいないのに、つい立ち寄ってしまいます。これだけの数があれば、お子さまでも休みながら「走破する」達成感を味わえるでしょうし、筑波鉄道の駅の名残を観察するのも面白いかもしれません。もちろん大人も田園と変わりゆく景色を眺めながらリラックスしたサイクリングを楽しめるはず。カップルやファミリーにも優しいりんりんロード。一度、訪れてみてはいかがでしょうか?

筑波休憩所

筑波休憩所では公共の空気入れも設置されていました。目印は可愛らしいご老公キャラ。没後300年経ってもなお愛され続けている、常陸水戸藩の第二代藩主・徳川光圀なのでした。

筑波休憩所
筑波休憩所

筑波休憩所で猫駅長(?)に会いました。ちなみに田園区間でイタチが道を横切ることも。
フリーWi-Fiまで用意されていた真壁休憩所。ほかにも公衆トイレ付設備が、旧筑波鉄道コース沿道には10か所も設置されています。

<編集部コメント>
りんりんロード沿いや各休憩所のすぐ近くには、昔ながらの中華そばや定食などのグルメを味わえる食事処、かりんとうやたい焼きなどの片手でも食べやすいスイーツのお店、名所・史跡・寺社仏閣などの観光スポットが点在しています。ペダルをこぎながら移りゆく景色を楽しむ一方で、腹ごしらえや気分転換にちょっと足を延ばしてみてください。

陸橋
陸橋もかつての鉄道の名残のひとつ。サイクリングロードとしての転用は有効なリユースですね。
りんりんロード
筑波を過ぎたあたりには、あえて凸凹にした路面もありました。ここは降りて自転車を押して通行のこと。
りんりんロード
サイクリングロードといえど道中には一時停止線や信号もありました。
りんりんロード

各休憩所には前後の休憩所との距離が書かれていて、なんとなく自転車でオリエンテーリングをしているような気分になります。

旧筑波鉄道コ―スのゴール、岩瀬まではあともう一息です!

りんりんロードフォトスポット
道中で唯一見つけた筑波山のフォト・スポット。
りんりんロード
この角度から見ると山頂がギザギザで王冠のようです。
りんりんロード
かつての駅舎を活用した休憩所には、スタンドのないスポーツ自転車専用の場所が確保されています。
岩崎駅

撮影しながらのノンビリペースでしたが約3時間半で岩瀬側終点に到着。ビギナーが仲間とわいわいと走るには、ちょうど良い距離かもしれません。

岩瀬駅の北側にある国道50号線は「石匠のみち」区間があり、地元の作家のモニュメントが並んでいます。気になる方はお立ち寄りを。

岩崎駅
岩崎駅

つくば霞ヶ浦りんりんロード 旧筑波鉄道コース

気軽にサイクリングを楽しめる場所や施設が増えたことで、旅の幅が一層広がりました。目的地でのレンタサイクルはもちろんですが、輪行スタイルならば自由度の高い旅を楽しめるのではないでしょうか。

愛車と一緒に「さんふらわあ」に飛び乗り、さまざまな出会いと三密を回避した新しい旅を満喫しに出掛けましょう!

<編集部コメント>
今回ご紹介した『つくば霞ヶ浦りんりんロード』の他にも、「さんふらわあ」が発着する大洗港フェリーターミナルから自転車で20分くらいの距離にある『涸沼サイクリングロード』や、ネモフィラで有名な『国営ひたち海浜公園』のサイクリングコースなど、茨城県内にはたくさんのサイクリングロードが存在します。せっかく茨城に来たのなら、いろいろなコースに挑戦してみてはいかがでしょうか。

愛車と一緒に北海道から茨城へ。
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