
もくじ
近年の自転車ブームのおかげか、各地にサイクリングロードが拡充されてきた感があります。「さんふらわあ」が発着する茨城県にも自転車スポットがいくつかあります。中でも幅広い層に人気なのが『つくば霞ヶ浦りんりんロード』です。上級者が納得できるハードなコースもありますが、今回ご紹介するのは初心者向けのコース。 「さんふらわあ」に愛する自転車と一緒に乗船して、一人旅はもちろん、友人やご家族と一緒に楽しめる旅のプランを、国内外をサイクリングしてきた経験を持つプロがご紹介します。
「さんふらわあ」が発着する大洗港フェリーターミナルからのアクセス
●輪行と徒歩の場合
大洗港フェリーターミナル→大洗駅(鹿島臨海鉄道大洗鹿島線)→水戸駅(常磐線)→土浦駅
●車の場合
大洗港フェリーターミナル→県道2号で北関東自動車道水戸大洗IC→友部JCTで東京・土浦方面へ→土浦ICで降り、国道125号線で土浦駅へ
旅の拠点はサイクリストにやさしい土浦駅

「さんふらわあ」を下船して、大洗港から向かったのはJR土浦駅。駅と直結する『プレイアトレ土浦』は、茨城県と商業施設であるアトレの官民がタッグを組んだ日本最大級のサイクリング拠点です。自転車と一緒にチェックインできるサイクリングホテル『星野リゾートBEB5土浦』や北関東最大級のフロアを誇る自転車専門店『ル・サイク』があり、レンタル車も用意。ほかにもレストランやドラッグストア、カフェ、コンビニなど、この上ないほどの充実ぶりで、サイクリングに必要なものはほぼ揃えられ、食事に困ることもありません。
さて、今回のような旅のプランの場合、理想的なのは前泊で宿泊し、翌朝からサイクリング。もう1泊して体を休めてから帰宅するもよし、もう1日サイクリングするもよし、できるだけ長期滞在した方がより楽しめます。
土浦駅の真上のサイクリングホテル
星野リゾートBEB5土浦

初日の宿泊施設として選んだのは、その『プレイアトレ土浦』の3~5階に位置する『星野リゾートBEB5土浦』です。ホテル内や個室に、自転車とともに入れてしまうというこのホテル。気になるゲストルームは、自転車を室内に入れられる「サイクルルーム」のほか、上段がベッドで下段にソファーを備えた、まるで秘密基地のような「ヤグラルーム」、大きなソファーとダブルベッドに加え、ビジネスユースもできるデスクを備えた「ダブルルーム」の3種あり。利用客は気軽に自転車を楽しむ若者から、本格的なサイクリングを楽しむ上級者まで幅広く、アクセスの良さからビジネスマンやファミリー層も利用しているそうです。



ちなみに『TAMARIBA』では「メロンまるごとクリームソーダ」を1日10個限定で販売中(販売時間は9:00~21:00)。野外フェスで1日に3,000食が売れた伝説の逸品で、茨城県産のメロンを使用しています。
※写真提供:星野リゾートBEB5土浦
星野リゾートBEB5土浦
- 住所
- 茨城県土浦市有明町1-30
- 電話
- 0570-073-022(予約)/10:00~18:00
- チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 11:00
おお、ここがりんりんロードなのか! ~前半~

愛車とともにゆっくりと英気を養った翌日は、早朝からりんりんロードへ向かいます。スタート地点はホテルから約20分の距離。実は、りんりんロードにはいくつかルートがあり、もっともハードなのが日本第二位の面積を誇る湖、霞ヶ浦1周コース(約125㎞)。初心者にもフレンドリーなのが、今回、走る旧筑波鉄道コースです。1987年に国鉄が民営化されるまで筑波鉄道が走っていた路線を自転車道として整備したもの。コースは鉄道時代の路線と同じく、土浦駅と岩瀬駅を結ぶ約40㎞で、ほぼフラットではあるものの、風が強い日は適度に休憩して進むのがよいでしょう。見どころは多数あるのですが、なかでも筑波山の見え方に注目。眺める位置によって形が変わる不思議な感覚もぜひ味わってください。

土浦駅を出発し、周辺を見渡すとりんりんロードの標識があちらこちらにあります。スマホに頼らずに完走できるほど充実しており、これなら迷子になる心配もありません。

旧筑波鉄道コースは、土浦駅の北東が起点。ところどころで地元の人が散歩していたり、通勤・通学の道だったり、生活道としての一面もあるので、むやみにスピードを出すのはNG。土浦ならではの生活風景を楽しみながらキープレフトで、安全第一で走ってくださいね。

少し疲れを感じたら、かつての駅のホームがそのまま残されているところや休憩所としてリニューアルされている場所で休息を。どこか懐かしい雰囲気で、サイクリング中は映画『スタンド・バイ・ミー』のようなノスタルジックな気分を味わえます。

ちょっと街を出ると田園が広がり、遠くに筑波山が眺められます。地元の人の話では、筑波山にモヤがかかると雨が近いとのこと。防寒はもちろん、簡単な雨具などを装備しておくことをおすすめします。


コースの途中にある史跡『小田城跡歴史ひろば遺構復元広場』は、鎌倉~戦国時代に常陸国南部の最大勢力だった小田氏の居城跡。さらに進むと歴史ひろばの案内所があります。また高架下には色鮮やかな筑波山が描かれているなど、いろいろな見どころがあります。

取材時は工事中のエリアもありましたが(2021年2月頃完成予定)、平行して走る県道14号と41号を進み、この看板からりんりんロードに復帰できました。
芳醇でヘルシーな鴨肉をいただく

土浦から岩瀬方面に約25㎞。ほどよくお腹が空いてきた頃に、昼食で立ち寄った『鴨亭』があります。りんりんロードから東方向に外れること500mほどなので、迷うことはまずないでしょう。創業46年にも及ぶ名店で、自然飼育の鴨を使ったメニューを揃え、店主自ら腕をふるった蕎麦も絶品。全室個室なので予約は必須です。道中の休憩時間にでも電話で確認を。
今回いただいたのは、鴨南蛮そば(税抜1,000円)。豊かに香る鴨出汁。贅沢な鴨油が口の中いっぱいに広がり、旨味たっぷりなのにさっぱりとした後味。満足感もありつつ、後半のサイクリングでもそれまで通りに動きやすく、胃もたれしない絶品でした。



手打ち蕎麦と鴨料理 鴨亭
- 住所
- 茨城県桜川市真壁町椎尾2575
- 電話
- 0296-54-1122
- 営業時間
- 11:00~15:00 17:00~21:00(夜は予約のみ)
- 休み
- 水曜日 第二火曜日 祝祭日は営業、後日代休あり
筑波山麓にひっそり広がる「はにわ」の世界

土浦から岩瀬方面に向かって約27㎞。右手に「大関ストアー」の看板が見えてきたら東へ進み、県道41号線をほんのちょっと走ると、沿道に「はにわ」が立ち並んでいる異質な空間が「はにわの西浦」です。店頭や店内に大小無数に並ぶ「はにわ達」は地元でとれた粘土を独自配合して作ったもの。サイクリストのお客さんも多いそうで、持って帰れる小さな商品が人気とのことです。
屋外のスペースには3mを超える「おどるはにわ」(左の大きな2体)がどどーんと展示されていました。どことなくユニークな表情はゆるキャラのよう。聞けば商品とのことでお値段は200万円。敷地内にある窯で焼く際には分割をして入れるという、こだわりの「はにわ」です。



さらに園芸ブームの時に爆発的に売れたのが、はにわの鉢。これに花や植木を生けたら、ほっこりした気持ちになれるはず?持ち帰れない大物は配送も手配してくれるので、お気軽に相談を。

はにわの西浦
- 住所
- 茨城県桜川市真壁町東山田1414
- 電話
- 0296-55-0283
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 休み
- 無休
筑波よ!おいしい道をありがとう ~後半~

りんりんロードを筑波山から北側に進むと、休憩施設の充実度が高まります。各駅のホームは残っているものの、隣接するトイレはキレイで、フリーWi-Fiが設置されているところまでありました。たいして走ってもいないのに、つい立ち寄ってしまいます。これだけの数があれば、お子さまでも休みながら「走破する」達成感を味わえるでしょうし、筑波鉄道の駅の名残りを観察するのも面白いかもしれません。もちろん大人も田園と変わりゆく景色を眺めながらリラックスしたサイクリングを楽しめるはず。カップルやファミリーにも優しいりんりんロード。一度、訪れてみてはいかがでしょうか?

筑波休憩所では公共の空気入れも設置されていました。目印は可愛らしいご老公キャラ。没後300年経ってもなお愛され続けている、常陸水戸藩の第二代藩主・徳川光圀なのでした。


筑波休憩所で猫駅長(?)に会いました。ちなみに田園区間でイタチが道を横切ることも。
フリーWi-Fiまで用意されていた真壁休憩所。ほかにも公衆トイレ付設備が、旧筑波鉄道コース沿道には10か所も設置されています。




各休憩所には前後の休憩所との距離が書かれていて、なんとなく自転車でオリエンテーリングをしているような気分になります。
旧筑波鉄道コ―スのゴール、岩瀬まではあともう一息です!




撮影しながらのノンビリペースでしたが約3時間半で岩瀬側終点に到着。ビギナーが仲間とわいわいと走るには、ちょうど良い距離かもしれません。
岩瀬駅の北側にある国道50号線は「石匠のみち」区間があり、地元の作家のモニュメントが並んでいます。気になる方はお立ち寄りを。


つくば霞ヶ浦りんりんロード 旧筑波鉄道コース
気軽にサイクリングを楽しめる場所や施設が増えたことで、旅の幅が一層広がりました。目的地でのレンタサイクルはもちろんですが、輪行スタイルならば自由度の高い旅を楽しめるのではないでしょうか。
愛車と一緒に「さんふらわあ」に飛び乗り、さまざまな出会いと三密を回避した新しい旅を満喫しに出掛けましょう!
自転車と一緒に北海道から茨城へ。
サイクリングの旅を楽しむなら、
「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」で!
※商船三井フェリーのWebサイトへ移動します
やまだあきお/編集者・ライター

茨城県出身。自転車やオートバイ、アウトドア誌などで編集・執筆に25年ほど携わってきたが表に出たがらない業界のつちのこ的存在。自転車では『ホノルルセンチュリーライド』や四国八十八か所、カナダ『ウィスラー・マウンテン・バイクパーク』などを経験。各種レースに参加する傍ら、イベントスタッフなどで食いつなぐ。ここ数年は趣味のSUPに心酔している。
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