もくじ
- 01-「さんふらわあ きりしま」に乗って、大阪・南港から鹿児島・志布志へ
- 02-行きはちょっと贅沢して「スーペリアルーム」で寛ぐ船旅
- 03-船旅そのものを楽しむ時間が、大切な思い出に
- 04-志布志到着。目覚めれば大雨…めげずに桜島を見に行こう!
- 05-桜島を眺めながら浸かれる露天風呂温泉「天テラス」
- 06-「霧島神宮」で前途の無事を祈る
- 07-甘めの出汁が優しい「霧島うどん」
- 08-星空を楽しむ宿「南阿蘇ルナ天文台オーベルジュ森のアトリエ」に到着!
- 09-熊本ならではの素朴さを体験しよう!
- 10-日本百名道のひとつ阿蘇「やまなみハイウェイ」の絶景を楽しむ
- 11-日本一の大吊橋で根性試し!
- 12-旅の締めくくりは泥温泉でひと皮むけよう!
- 13-帰路は別府から南港へ「さんふらわあ こばると」で
※最新の営業状況については、各店舗・施設ホームページ等にてご確認ください。
子供の頃の原体験が、大人になってからの生き方やライフスタイルに大きな影響を与えることは、みなさんご存じのとおりです。だからといって、なにも贅沢をさせる必要もなく、子供にとって大切なことは、まだたくさんある未知の世界をひとつでも多く見せ、聞かせ、感じさせることなのではないでしょうか?
そこで筆者は、息子と二人で大阪・南港から「さんふらわあ」に乗って鹿児島・志布志に上陸し、九州の大自然を巡りながら別府まで走る「フェリーde親子ドライブ」を思い立ち、実行してみました(自分自身こそ日々原稿に追われ子供との時間を持てていない反省を込めて…)。
大阪では見ることのできない雄大な自然を眺めながら、普段できない男二人でのメンズトークをたっぷり楽しもうと気合いを入れて家を出ましたが…、結果はいろんなハプニングに見舞われることに。しかしこれもまた旅の楽しみであり、子供にとっては忘れられない思い出になることは間違いありません!
それでは、リアルに親子旅を追いかける渾身のルポルタージュをぜひご笑覧くださいませ。
「さんふらわあ きりしま」に乗って、大阪・南港から鹿児島・志布志へ
まず最初に、九州への親子旅には断然フェリーがオススメだと断言しておきましょう。「さんふらわあ」を利用することで、クルマで走ると遥か彼方にある九州が一気に身近になり、愛車で九州の大自然を楽しむドライブがラクラク実現します。もちろん船内でも非日常的な時間を味わえますし、パパとしては不慣れな子供との時間による疲れも軽減できることでしょう(苦笑)。
今回は、大阪・南港から鹿児島・志布志まで「さんふらわあ きりしま」で九州へ向かい、志布志から桜島を眺めながら霧島〜阿蘇とドライブして一泊。さらに、やまなみハイウェイを経由して大分までのドライブを楽しみ、別府から「さんふらわあ こばると」で帰阪するというルート設定です。
ドライブルートには紅葉スポットも点在し、天気さえ良ければ間違いなく写真映えするドラマティックな景色を存分に楽しめることでしょう。それを予感させてくれるプロジェクションマッピングが、船内のアトリウムに映し出されます。
行きはちょっと贅沢して「スーペリアルーム」で寛ぐ船旅
初めての息子との二人旅ということで往路の船内泊はちょっと贅沢して「スーペリアルーム」を予約しました。「さんふらわあ きりしま」は個室全室にシャワー・洗面台・トイレがあるので、小さい子供と一緒だと何かと助かります。ちなみにスーペリアはメインベッドの他にソファーを引き出すともう1名分のベッドが出現します。でも一つのベッドでも小さな子供と利用するなら添い寝で十分な広さがありますよ。
船旅そのものを楽しむ時間が、大切な思い出に
「さんふらわあ」の船内で過ごす時間は、単なる移動手段としての味気ないものではなく、さまざまな愉しみが用意されています。例えば食事は、小さな子供と一緒に旬の美味しいものが味わえるバイキング料理。栄養バランスもバッチリで、上陸前にいろんな九州の味覚にも出会えます。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、食事の提供方法が変更となる場合がありますのでご了承ください。
ほかにも船内ショップやゲームコーナーに展望大浴場など、親子旅の楽しい思い出を演出してくれる施設があります。これってもはや大型ホテルですよね。自分が子供の頃のフェリー旅の話なんかをネタにしながら、イマドキの快適過ぎる「さんふらわあ」を実感しました。
志布志到着。目覚めれば大雨…めげずに桜島を見に行こう!
朝9時頃に志布志港へ到着。船の外を眺めてみたら、まさかの大雨~!これってもしかしてだけど桜島とか見えないパターンじゃないの?!
あまりのショックに7時~8時の船内朝食を食べ損ねてしまいました! なので志布志港から霧島方面へ向かう途中のお弁当屋さんで朝ご飯を買って食べることに。まあ、いつものかっこいいパパだけではなく、たまにはイケてない感じを見せるのも、息子にはいい反面教師になるのではないでしょうか、苦しい言い訳ですが。
鹿児島へ来た以上、仮面ライダーが大好きな息子には必ず桜島を見せてやろうと思っていました。そう、伝説の1号ライダーが再登場した桜島。パパ世代なら幅広くご存じのことでしょう。だから、とにかく桜島を眺められる温泉に行こうと思い、東側に位置する霧島温泉を目指しました。
霧島へ向かう国道沿いは、紅葉の季節はキレイな景色が続く…はずですが、この日は九州南東部に警報が出るほどの大雨でそれどころではありませんでした。雨さえなければこんなステキな景色なのです。
桜島を眺めながら浸かれる露天風呂温泉「天テラス」
大雨の山道を走ること約2時間。桜島を目の前に望みながらの露天風呂に入れるという「天テラス」に到着しました。この天候の中で露天風呂に入れるのか不安でしたが、“案ずるより産むが易し”ということわざを息子に教え、いざ入店。
ここでも奮発して貸切でゆっくりできる露天風呂付きの家族風呂へ。分厚い雲のおかげで、念願の桜島は見えなかったけど、息子は二人で温泉に入れただけでも満足してくれたようです。ものは考えようで、「リベンジにまた二人で来よう」と次に息子を誘う口実ができた、と捉えるべきでしょう。
ちなみにお天気が良ければこんなステキな景色が見えるんです。この写真見たら我ながらホント運のないパパだなぁ、と一瞬弱気になった筆者。でも、仮面ライダー1号の桜島バージョンが誕生したのも、ロケ中に不慮のバイク事故が起こったことがキッカケになった伝説であり、やはり何事も前向きに考えようと思い直したのでした。
天テラス
- 住所
- 鹿児島県霧島市牧園町高千穂3761
それにしても道中、恐ろしいほどの大雨に自然の猛威を目の当たりにしました。息子にも良い教育ができましたね。自然をなめたらえらい事になるぞ、と。ちなみにこの取材のすぐあと大阪でも台風が吹き荒れましたが、このときの経験が生きたのか息子は怖がることなく、さっそく成長を実感しました(筆者は台風が内心とても怖かったのは秘密です)。
「霧島神宮」で前途の無事を祈る
とはいえ、あまりの天気の悪さに表情が曇り気味な息子。『お天道様にあらがうことはできない。よし、こんな時は神頼みしよう!』と息子を勇気づけ、「霧島神宮」へ。南九州最大の規模と歴史を誇り、建造物のほとんどが重要文化財という古社で、親子一緒に手を合わせました。
霧島神宮も本来、上の写真のように紅葉の季節はかなりフォトジェニック。境内だけでなく周辺も鮮やかな色に染まるそうです。
霧島神宮といえば、国歌・君が代でも歌われている“さざれ石”があることでも有名。ここで君が代の歌詞の意味などを息子に説ければパパの威厳が保てるというもの。しかしそんなことより、今はとにかく雨が止んでくれればそれで良いのです。ひたすら神頼み!すると…
「パパ~!本当に雨が止んだよ!」と明るい表情の戻った息子。おぉ!やっぱり効果あるじゃないか、神頼み!そう、日頃ちゃんと真面目に生きていたら、いざという時には神様がお願いを聞いてくれるのだと息子に自慢げに話をしていたら、ちょっとお腹が空いてきました。そりゃそうだ、すっかり忘れていたけど、もうとっくにランチ時を過ぎてました。
甘めの出汁が優しい「霧島うどん」
遅めの昼食は霧島神宮近くの「神宮亭」で名物の霧島うどんを食べることに。
こちらのうどんは、霧島の名水と枕崎産のカツオ節からとった出汁が少し甘めで子供ウケも良かったです。そしてご当地ならではの『さつま揚げ』がのっていました。値段も手頃で美味しかったなぁ~。
まだお箸の持ち方もぎこちない息子を励ましながら、男二人のランチタイムは静かに終了。ママがいないと寂しいのかな?と気になりながら、本日宿泊する南阿蘇方面へ走ることに。
神宮亭
- 住所
- 鹿児島県霧島市霧島田口2458
- 電話番号
- 0995-57-3153
あぁ…お昼ごはんでお腹いっぱいになって油断したせいか?また雨が酷くなってきました。本当は高千穂河原やえびの高原を経由して、えびのJCTから高速を走る予定でしたが、急遽変更して国道223号線を北上し、宮崎自動車道の高原ICから高速へ。もはや雨もへったくれもない!こんなときのためのヨンクで阿蘇へひた走りました。
星空を楽しむ宿「南阿蘇ルナ天文台オーベルジュ森のアトリエ」に到着!
本日泊まるのは、某メディアで『星空を楽しむ宿』全国一位に選ばれた「南阿蘇ルナ天文台オーベルジュ森のアトリエ」。その名のとおり、宿泊施設と天文台が一体になった珍しいスタイルが話題のお宿です。大阪では見ることのできない、満天の星を見せてあげたくて予約したのですが、万が一の悪天候でもフォローできるプラネタリウムも備わっており、今回はその恩恵にあずかることができました(涙)。
しかし常にポジティブに過ごす親子旅です。気持ちを切り替えてディナータ~イム!ご当地・阿蘇の旨いもんを存分に味わうとしましょう。
食事の後は、星空散歩のプロフェッショナル “星のコンシェルジュ”に案内してもらう4つの星空ツアーを体験。なかでも巨大天体望遠鏡で見る生の星は感動以外の言葉が見つかりません!
高精細4Kプラネタリウムは、ゆったり寛ぎながら星空を仰ぎ、コンシェルジュのわかりやすい解説のおかげで興味深く見入ることができました。息子もかなり宇宙に興味を持ってくれたようです。
ほかにも、アウトドアベッドに寝そべって星が眺められる「星見ヶ原」や、お茶しながらカジュアルにプラネタリウムを楽しめる「天象儀喫茶」など、星空を思う存分楽しめる工夫が凝らされていました。
長距離ドライブと悪天候で二人ともちょっと疲れたけど、美味しい料理と星空を満喫して元気になったね!今夜も早めに就寝して明日のドライブに備えるとしましょう。
南阿蘇ルナ天文台オーベルジュ森のアトリエ
- 住所
- 熊本県阿蘇郡南阿蘇村白川1810
熊本ならではの素朴さを体験しよう!
翌朝、雨は止んでいませんでした。息子には、「人間そう思うようにはいかないもんなんだよ」と教え聞かせつつ、きっと喜びそうだなぁとチェックとしていた乗馬体験施設「ブルーグラス」へ行くことにしました。
ところが残念なことに、こちらも雨天により乗馬は中止とのこと…。でもお馬さんをナデナデさせてもらって息子はご機嫌。生き物を愛する心をほんの少しだけ伝えられたような気がしました。
乗馬クラブ ブルーグラス
- 住所
- 熊本県阿蘇郡高森町高森2814
道中に見つけた「田楽の里」で少し休憩を。雑木林に囲まれた茅葺き屋根のお店には、食事処と雑貨店が併設されていました。
明治時代の家屋や囲炉裏は、大阪でなかなか見ることのできない風景。これもまた非現実的な世界感で、息子は大喜びでした。
地元特産の芋や豆腐に、山椒味噌や柚子味噌を塗って囲炉裏でゆっくりと焼き上げる、阿蘇・高森田楽をいただきました。素朴で懐かしい味は、きっと息子の舌にまたひとつ思い出を増やしてくれたことでしょう。
高森 田楽の里
- 住所
- 熊本県阿蘇郡高森町高森2685-2
日本百名道のひとつ阿蘇「やまなみハイウェイ」の絶景を楽しむ
熊本・阿蘇から大分・別府へ向かうルートのハイライトは、九州屈指の絶景ドライブコースである「やまなみハイウェイ」。標高1000mを超える山々のくじゅう連山を眺めながら、ワインディングを楽しんだ先には、日本一の歩行者専用吊り橋「九重“夢”大吊橋」が現れます。
ちなみに紅葉の時期に「やまなみハイウェイ」を走ると、こんな景色が広がっています。長者原をはじめビュースポットも点在し、走り好きなドライバーやライダーなら一度は訪れて欲しいコースです。
日本一の大吊橋で根性試し!
熊本から大分へ繋がる「やまなみハイウェイ」を走りきる手前で、日本一の大吊橋「九重“夢”大吊橋」へ立ち寄りました。高さ173m、長さ390mというスケール感を目の前にすると、パパも若干ビビっちゃったのは息子には秘密です。
こ、怖いやんか…。案外、息子のほうが平気な様子。渓谷の空中散歩って感じのパノラマビューはホント最高でした!
紅葉の時期はこんな景色になります。超絶景ですね!
九重“夢”大吊橋
- 住所
- 大分県玖珠郡九重町大字田野1208
旅の締めくくりは泥温泉でひと皮むけよう!
やまなみハイウェイを走り抜け、大分自動車道で別府まで。高速のICを降りると、辺り一面が温泉の香りに満たされていました。温泉天国と言われる大分には、湯布院と別府の二大人気スポットがありますが、今回は「さんふらわあ」に乗る前の立ち寄り湯を求めて別府をチョイス。なかでも、このあたりでしか入れない泥湯を目指して来ました。
明礬(みょうばん)温泉にある「別府温泉保養ランド」は、紺屋地獄から湧き出す鉱泥と硫黄分を含んだ鉱泉の泥湯が自慢。まるで池のような露天風呂は、底が鉱泥なので手にとって顔面泥パックも可能です。親子でお肌ツルツルになりましたよ!
別府温泉保養ランド
- 住所
- 大分県別府市明礬5
帰路は別府から南港へ「さんふらわあ こばると」で
楽しかった親子旅もいよいよ終盤。別府観光港で「さんふらわあ こばると」への乗船を待ちます。その間に今回の旅で船に興味を持った息子を連れてロビーでさんふらわあの歴史を勉強。夕暮れとともにようやく雨が上がってきて、夕日がキレイです。私の普段の行いが良いのでしょう(笑)。
帰りの「さんふらわあ」は、あえて「雑魚寝」の「ツーリストルーム」を選択しました。
※現在ツーリストルームは、1区画ごとに飛沫対策のためのカーテンが設置されています。
関西~九州航路には「舟遊(しゅうゆう)割引」という、九州縦断にうってつけのお得な割引があります。行きは大阪から志布志へ、帰りは別府から大阪へ(逆ももちろんOK)というドライブプランにすごく便利なのですが、行き帰りの船室を同クラスにしなければなりません。
それを使うかとても迷ったのですが、息子に社会性を身につけさせるためにフェリー旅ならではの「雑魚寝」を体験させることにしました。
しかし!実際に乗り込んでみるとパパが子供の頃とは違って、ゆったり寝られて快適そのものではないですか。少々拍子抜けです(笑)。しかもファミリーだけが入れる「ファミリー・ツーリストルーム」を指定したので周りにも気を使うことなく、なんだかストレスフリーです。
息子に社会性を!と言いながら甘いパパは2名分の布団を予約していたけど、これなら添い寝で十分だったかもしれません。
朝6時半頃に南港到着。これからパパは仕事へ、息子は幼稚園へ。金曜夜~月曜朝のスケジュールなら、会社や学校も気にせずに気軽に九州へ出かけられるのだと改めて実感しました。
今回の男二人の親子旅では、息子はいろんな体験ができたし、船内でも車内でもいろんな話をたっぷりできました。季節と天候が良ければ紅葉も楽しめたかもしれませんが、大雨でもそれはそれで一生忘れられない思い出ができたと思います! 今度はまた北海道にも、「さんふらわあ」で親子旅に行きたいね!
桑野 将二郎/ライター
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