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緑いっぱいの初夏、吹き抜ける風も爽やかな初夏!そんな気持ち良い季節の九州を歩いて楽しむのはいかがでしょう。今回は鹿児島県観光連盟の日髙さんに、この時期にぜひ体験したい姶良(あいら)市の「フットパス」を紹介してもらいます。
皆さん、おやっとさあ。(「おやっとさあ」は、鹿児島弁のあいさつです。)鹿児島県観光連盟の日髙です。
前回*は、さんふらわあが寄港する志布志港から大隅半島を南下しつつ、ちょっと足を伸ばして指宿まで、つい写真を撮りたくなるスポットをご紹介しました。
≫*Vol.4 鹿児島・大隅半島から指宿へ、フォトジェニックなスポット巡り
今回は「歩く」がテーマです。皆さんは日頃歩いていますか?私は、運動不足が気になっているので、知り合いから面白いアプリを紹介してもらい、歩くことを意識する生活を心がけています。
車や公共交通機関を利用する旅ももちろん楽しいですが、風や温度、香りを感じながら歩く旅もおすすめです。
実は、鹿児島県には「歩く」をテーマにした観光素材が豊富にあります。その1つ、姶良市の「あいらフットパス」を、先日体験してきました。
美しい錦江湾と緑豊かな山々に囲まれた街を「歩く」
まずは、姶良市についてご紹介しましょう。
薩摩半島と大隅半島の結節点、鹿児島県のほぼ中央に位置しています。鹿児島県大隅半島の志布志港から東九州自動車道を利用して約1時間20分程度で着きます。
活火山である桜島を眺めることができ、美しい錦江湾と緑豊かな山々に囲まれた街です。
さて、「あいらフットパス」について、話を戻しましょう。「フットパス」と聞いて、どんなものを想像されるでしょうか?
何かパスがもらえるのかしら?とか、スパ体験?とか、おっしゃる方もいました・・・。
「フットパスとは、イギリス発祥の、森林や田園地帯、古い街並みなど、地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩くこと(Foot)ができる小径(こみち・Path)のこと」
「あいらフットパス」のMAPにはそう書かれています。
姶良市では昔から残る街並みや自然を楽しめるウォーキングコースを「あいらフットパス」と銘打って、5コース設定しています。かわいいMAPを片手に、自然や史跡等に触れながら、自由に歩くことができるのです。
大河ドラマロケ地や絶景をめぐる「龍門浪漫コース」に挑戦!
私が体験したのは、「龍門浪漫コース」。メインコースの所要時間は3時間30分ですが、今回は時間がない方や、長時間歩くことが困難な方のために、MAPに掲載されている短縮コースを歩きました。
スタート地点は龍門滝駐車場。第1のスポット「龍門滝」へ向けてスタート。
田んぼを抜けるとすぐに見えてきます。
幅43m、高さ46m。日本の滝百選にも選ばれる名瀑です。特に雨の後の水量は半端なく、圧倒されます。梅雨の時期にはアジサイが咲いて、とてもきれいです。
龍門滝から民家の脇にある石畳の遊歩道を抜けると、「龍門司坂」に到着します。ここは、大河ドラマ「篤姫」や「西郷どん」などのロケ地として使われたスポットです。
苔むした石畳の坂に、歴史とロマンを感じます。坂の前方から西郷どんが歩いてきそうな、幕末にタイムスリップしたかのような雰囲気を味わえます。こういう場所を歩いていると、行き交う人と自然と挨拶ができてしまうんですよね・・・不思議だけど、なんだか晴れやかな気持ちになります。
雨が降った後は滑りやすいので、ご注意ください。坂の入口には竹でできた杖が準備されています。
石畳の坂は約500m、20分ほど歩けば歩道に戻ります。歩道に出て、坂道をのぼると、「さえずりの森」に到着。その名のとおり、鳥のさえずりがするバードウォッチングのスポットであり、キャンプ場です。
実はここ、とてもおすすめの展望台があるのです。姶良の町並みと、錦江湾、そして桜島が一望できる、「桜島七十七景」の1つ、「高倉展望台」。抜けるような景色に、思わず息を飲みました。ウッドデッキにしばらく腰かけて、桜島を眺めながら一息つくと、それはもう最高の気分です。
そして、心地よい疲れとともにいただきたいのが、姶良市の郷土菓子「加治木まんじゅう」。「加治木まんじゅう」は、姶良市を代表する郷土菓子。私も幼い頃から大好きなおまんじゅうです。
戦国時代から安土桃山時代の頃、姶良の領土をおさめていた島津義弘公が、工事にあたっていた家来にお茶請けとして出したものがその始まりと伝えられているそうです。生地に甘酒が練りこまれていて、たっぷりつまった小豆あんの甘さが絶妙です。シンプルですが、地元では大変愛されていて、お土産に人気です。姶良市内7店舗で提供しており、出来たてがいただけますよ。
今回私が体験したのはここまででしたが、もう少し歩くと、「金山橋の水上様」や「滝見台の切通」を巡ることができます。「あいらフットパス」の5つのコースは、所要時間もさまざまで、自分に合った長さを選ぶことができます。また、「あいらフットパス」を活用したウォーキングイベントも開催されています。
せっかくなので、もう少し姶良市の魅力をご紹介しましょう。
日本一の大クスがある「蒲生八幡神社」も必見
樹齢1600年の日本一の大クスがあります。この木からパワーをもらうという人も少なくありません。
実は私もその一人。実家が近いこともあり、昔からよく訪れている場所です。見上げると、まるでいだかれているかのような錯覚を覚えるほど大きく、どっしりと構えています。
隣にある社務所はカフェになっていて、おすすめは2階。窓際の席では大クスと目が合っているような感覚を味わえます。
周辺には武家屋敷通りが残っています。ふらっとお散歩もいいですが、ボランティアガイドさんの話を聞きながら、地域の歴史に触れるのもおすすめです。観光の拠点である「観光交流センター」でガイドのお願いをすることができますよ。是非ご利用ください。また、武家屋敷通りの一角には、武家屋敷を利用したカフェやお食事処もあります。
美しい重富海水浴場で「ウェーダーウォーク」もおすすめ
白砂青松が数百メートルにも伸びて、干潟をとおして桜島を臨む雄大な景観を楽しむことができます。
この一角にあるなぎさミュージアムでは、錦江湾奥最大の干潟の貴重な生態系が学習できます(火曜は休館日)。
ここで是非体験していただきたいのが、8年ほど前から実施している「早朝ウェーダーウォーク」。干潟の研究をしているこの施設の生物学者さんが使用するウェーダー(胴長服)を自分の服の上に着用し、重富の海の中へ入って行こくことができます。素足では体感できない、強い水圧を感じることができます。体を支えるのも必死です。
おへそのあたりまで海水につかり、水圧に耐え海底を踏みしめると、海水の温度がひんやりと体に伝わってきて、すがすがしい気持ちになりますし、何より、目の前の桜島からパワーをもらった気がしました。
鹿児島県には、「あいらフットパス」の他にも、霧島山や開聞岳、屋久島の宮之浦岳などの登山ルートや、九州オルレコース*が3コース(霧島・指宿・出水)、出水・知覧などの武家屋敷のまち歩き、屋久島の里めぐり、奄美群島の奄美トレイルなど、「歩く」をテーマにした素材がたくさんあります。
*オルレは韓国の済州島で始まったトレッキングのこと。その姉妹版として九州にも現在21ルートが九州観光推進機構の手によって整備されています。
≫九州オルレ
是非、鹿児島へ「歩き」にきてください。ゆっくり歩いてみると、車だと見逃してしまう素敵な風景との出会いが待っているはずです。
日髙 公子
公益社団法人鹿児島県観光連盟 国内観光客誘致受入主任
SNSやパンフレットで気になったところには、時間を見つけて出かけるようにしています。趣味の雑貨屋・喫茶店巡りも兼ねて。住み慣れた町でも、まだまだ知らない魅力がいっぱいです。
鹿児島の旬の話題を季節ごとに紹介した特集ページをはじめ、観光スポットやモデルコース、イベント、グルメ、宿泊まで、鹿児島の魅力をまるごと紹介している観光情報サイト。
≫鹿児島県観光サイト どんどんかごしまの旅
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