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大分県の臼杵市は、「さんふらわあ」が到着する大分港から車で約40分(東九州自動車道経由)、別府国際観光港からは同様に約1時間の距離。臼杵城(丹生(にう)島城)の城下町として、南蛮貿易やキリスト教布教の地として栄えました。町並みには当時の面影が残されていて、写真映えするエリアが多数あり、年々人気が高まっています。

大分臼杵で、国宝の磨崖仏と新鮮な海の幸に出会う旅」に引き続き、ここでは臼杵中心部の散策・観光のおすすめスポットをご紹介します。

※最新の営業状況については、各店舗・施設ホームページ等にてご確認ください。
 

レトロな雰囲気が漂い、風情ある石畳の商店街『八町大路』

八町大路は、JR臼杵駅から徒歩で10分ほど、市街地の中心部に位置した直線で約320メートルの商店街です。かつてはアーケード商店街でしたが、2003年のリニューアルを機に石畳を敷設し、電線を地中敷設化するとともに、各店舗が城下町にふさわしい外観に改装。景観を維持するため、チェーン展開するスーパーや駐車場のロゴ色なども、周辺の町並みに合ったものに変えられています。
リニューアルのタイミングで、商店街に愛着を持ってもらいたいという想いから愛称を一般公募したところ1,000通近い応募があり、その中から『八町大路』の名称が選ばれました。『八町』は、城下に8つの町が形成されて活発な商業活動が行われていたことに由来しています。現在、約50の店舗があり、中小企業庁の「がんばる商店街77選」にも選ばれています。

レトロな店構えが連なる商店街の中心に位置する、創業400年を超える「カニ醤油」。臼杵には、九州を代表する醤油メーカーであるフンドーキン醬油、富士甚(フジジン)醤油、そして「カニ醤油」があります。中でも「カニ醤油」は、臼杵の醤油産業発展に寄与した老舗です。店の歴史は、美濃藩主だった稲葉家が岐阜から臼杵に移る際に帯同して「鑰屋(かぎや)」という屋号の店をこの地に開いたことに始まります。
安土桃山時代から続く伝統を感じさせる店構えで、八町大路を訪れるほとんどの観光客が足を止め、買い物をしたり、写真を撮ったりする人気のスポットです。SNSウケしやすい洒落っ気のあるネーミングの商品もあり、お土産を購入することもできます。
店頭販売されている「みそソフト」がおいしいと、SNSや地元の口コミなどで大評判。ソフトクリームにサクサク食感の味噌クランチとサラサラの味噌パウダー、甘じょっぱい味噌ソースをまぶしたスイーツで、後引くおいしさが特徴。食後のデザートにもピッタリです。興味のある方はぜひご賞味ください。

八町大路の中ほどに、臼杵の観光情報や歴史・文化がわかる交流ホール『サーラ・デ・うすき』があります。建物は臼杵に実在したとされるノビシャド(修練院)を模して造られています。中に入って展示を見れば、臼杵とポルトガルの関係がよくわかるでしょう。その敷地内の裏手には、醤油蔵を改装した『ポルト蔵』が併設されており、食事やお酒を楽しめます。ランチでは、臼杵の伝統的な郷土料理である「黄飯(おうはん)」や「きらすまめし」なども堪能することができます。
「黄飯」とは、くちなしの実で色付けされ黄色に染まった水で炊き上げられたごはんのこと。白身魚(エソ)とごぼうや大根、人参などを煮込んだ「かやく」もセットで提供されます。黄飯の由来は、臼杵藩が財政難に陥った際に赤飯の代わりにつくられるようになったという説や、かつて南蛮貿易が盛んに行われたことから、スペインのパエリアの影響を受けたという説などがあります。
「きらすまめし」とは、ブリやアジなどの刺身を醤油ベースのタレに漬け込み、おからをまぶした料理。大分名産のカボスの風味がさわやかで、お酒のつまみとしても好適です。臼杵地方の方言で、おからのことを「きらす」、まぶすことを「まめし」ということから、おからをまぶした料理の意味で「きらすまめし」と呼ばれています。「きらすま・めし」ではないのでご注意を。

臼杵は当時、ポルトガルのほか、明(かつての中国)との交易も盛んな国際都市であり、その名残なのか、沖縄でよく見かける「石敢當(いしがんとう)」がありました。

八町大路(臼杵市中央通り商店街)

住所
大分県臼杵市臼杵本町5組
問い合わせ電話番号
0972-63-8525(臼杵市中央通り商店街振興組合事務局)
営業時間
店舗により異なります

映画のワンシーンのような写真が撮れる『二王座歴史の道』

八町大路から南側の路地へ入ると、石垣や白壁に囲まれた重厚感のある瓦葺きの武家屋敷や寺院が並ぶ『二王座歴史の道』があります。臼杵城のお膝元に位置する二王座は、阿蘇山の火山灰が固まってできた凝灰岩の丘で、あちらこちらの岩を削り取って道を通したといわれています。起伏のある狭い石畳の小路は、ノスタルジックな世界そのもの。重厚感のある門構えの武家屋敷跡や、白壁の土蔵、歴史のある寺院がいくつも残っており、城下町としての当時の面影を今なお感じることができます。

無料の休憩所がいくつかあるので、歩き疲れても安心。特に、かつて寺院だった建物を改修した休憩所である旧真光寺は、畳敷きの広々とした部屋でくつろげます。

旧真光寺の二階の窓から見下ろす「切り通し」と呼ばれる道は、国の都市景観100選にも選ばれており、思わずカメラやスマホで写真や動画に残したくなる臼杵の“映えスポット”のひとつ。取材時は晴れていて、これはこれで魅力的な写真になりましたが、雨にしっとりとそぼ濡れて黒くコントラストを増した石畳は、いっそう魅力的な表情を見せてくれるでしょう。夕日に映えてオレンジ色を帯びた色合いの切り通しも絵になります。季節や天候、時間によっても表情を変える切り通し。あなた好みの情景を探してみてください。

二王座歴史の道

住所
大分県臼杵市大字二王座
営業時間
8:30~17:00(旧真光寺=無料休憩所)

旧臼杵藩主が里帰りするために建てられた『稲葉家下屋敷』

幕藩体制期の1600年(慶長5年)、美濃(岐阜県)から稲葉貞通が移封され、初代臼杵藩主となりました。以降、明治維新期まで15代・およそ270年にわたって稲葉家が臼杵藩を統治。廃藩置県後、稲葉家は東京に居を移しましたが、臼杵に里帰りする際の別邸として建てられたのがこの屋敷です。
敷地と庭園で3,500平米の広さ。外堀には鯉が泳ぎ、風情を感じます。

建築されたのは1902年(明治35年)と近代になってからですが、江戸末期の格式高い武家屋敷の様式が色濃く残っています。杉や檜といった上質な素材を使用した数寄屋造りの5棟からなり、式台のある玄関や書院造の奥座敷など伝統と品位が漂うその構造から、国登録有形文化財に指定されています。
屋敷を訪れた客人は、千鳥破風屋根の玄関を入ると、大きな書院で丁重に迎えられていたそう。旧藩主の住まいとしてふさわしい格式のある建物ですが、現在では離れの棟は市民の文化活動の場などとして開放されています。

広々とした美しい日本庭園は手入れが行き届いており、部屋からの眺めに四季折々の趣を与えてくれます。
庭園の奥には、1859年に建てられたとみられる、稲葉家に仕える上級武士の居宅として使われていた「旧平井家住宅」が残されています。こちらは大分県の指定有形文化財です。

旧臼杵藩主稲葉家下屋敷

住所
大分県臼杵市大字臼杵6-6
問い合わせ電話番号
0972-62-3399
営業時間
9:00~17:00(最終入館は16:30)
定休日
なし

天然の要塞を持つ“海城”として築かれた『臼杵城跡』

臼杵城は、戦国時代の1562年(永禄5年)にキリシタン大名として知られる大友宗麟が築城しました。当時この土地は海に囲まれた丹生島と呼ばれる島だったため(のちに埋め立てられ陸続きに)、天然の要塞を持つ“海城”でした。
城内には礼拝所が設けられ、城下にはキリシタンの修練所があったといわれています。また、石垣にはアルファベットのような文字が刻まれていました。
廃藩置県後に廃城となり天守は取り壊され、現在は復元された大門櫓のほか、二の丸にある畳櫓(現存建築)、本丸にある切妻造(切妻屋根)の卯虎口門脇櫓(現存建築)などが残るのみで、二の丸は臼杵公園として市民の憩いの場となっています。
臼杵公園は大分県内有数の桜の名所でもあり、春になると県内はもちろん県外からも大勢の人が花見に訪れます。毎年、開花シーズン中は『臼杵城址桜まつり』と題して、さまざまなイベントが開催されるので要チェックです。

古橋口から、畳櫓を右に見上げて石段を登ると、二の丸の正門にあたる立派な大門櫓に到着。大門櫓をくぐって進むと、護国神社や臼杵公園があります。

キリスト教信者だった大友宗麟がポルトガル人宣教師たちから仕入れた、日本最初の大砲といわれる「フランキ砲」(複製)が展示されています。当時は「国崩し」と呼ばれて恐れられた大砲でした。

本丸跡地から東側を眺めると、大分県と愛媛県の間にある豊後水道が見えます。豊後水道でとれる有名な魚と言えば「関さば、関あじ」。関さば、関あじをお手軽価格で楽しむなら、こちらの記事で紹介した『臼杵みなと市場』に行きましょう。臼杵城跡から臼杵みなと市場までは徒歩10分ほどです。

臼杵城跡

住所
大分県臼杵市臼杵丹生島91-1

「さんふらわあ」が到着する大分港・別府国際観光港の最寄り駅であるJR西大分駅・別府駅からJR臼杵駅までのアクセスは、日豊本線を利用して1時間前後です。臼杵駅から八町大路までは徒歩約10分、臼杵城跡の卯寅口までなら駅から徒歩約5分。車やバイクはもちろん、電車移動でも訪れやすい立地です。関西から「さんふらわあ」に乗って、臼杵の城下町を散策しに出かけてみませんか?
ご紹介した八町大路、二王座歴史の道、旧臼杵藩主稲葉家下屋敷、臼杵城跡をすべて回るなら、半日~1日の観光コース。「大分臼杵で、国宝の磨崖仏と新鮮な海の幸に出会う旅」の記事で紹介した臼杵石仏や臼杵みなと市場もあわせて回るなら、臼杵のホテルや旅館に1泊するのがおすすめ。1日で観光するなら、あらかじめ旅行プランを立てて車やバイクで巡るとスムーズです。

訪れればきっと好きになる臼杵。「さんふらわあ」で大分・別府に来たら、ぜひ足を延ばしてみてください。

訪れればきっと好きになる、
情緒あふれ歴史を感じさせる町、大分・臼杵。
関西から「さんふらわあ」で出かけよう。
関西~九州航路「さんふらわあ」はこちら
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