実は無類の温泉好きだった! 鹿児島〜宮崎『西郷どんゆかりの温泉』を巡ろうアイキャッチ

もくじ

2018年に放送されたNHK大河ドラマ「西郷どん」。ドラマ終盤で頻繁に登場したのが温泉の入浴シーンです。実は西郷どんは無類の温泉好き。明治政府を追われるようにして故郷へ戻った後、鹿児島や宮崎の温泉地に頻繁に足を運んでいます。確かな史料に裏付けられた温泉もあれば、単なる伝承による温泉もありますが、ゆかりの温泉は今もまだたくさん九州南部に残されているのです。
※最新の営業状況については、各店舗・施設ホームページ等にてご確認ください。

 

もっとも足しげく通った「日当山温泉」(鹿児島県霧島市)

もっとも足しげく通った「日当山温泉」1

西郷どんがもっとも足しげく通ったと言われるのが、現在の鹿児島県霧島市にある「日当山(ひなたやま)温泉」です。鹿児島市街からは、最寄りのJR日当山駅まで電車で約40分。鹿児島市街で西郷どんの生まれた家や、非業の死を遂げた城山などを観光した後に、訪ねてみてもいいでしょう。「さんふらわあ」が入出港する志布志港からのアクセスは、車で1時間半ほどの場所です。

日当山温泉には、「西郷どんの湯」と呼ばれる共同湯があり、西郷どんが滞在した旧家も復元されています。旅館部の建物の壁には、西郷どんのイラストが描かれています。

大河ドラマのおかげで、「お客さんもけっこう増えた」(取材当時)とおっしゃるのは、温泉組合の勝目理事長。西郷どんの時代は、石で囲っただけの野天湯だったようです。

もっとも足しげく通った「日当山温泉」2

西郷どんがこの地に来る度に身体を癒やしていたお湯が、いまもこんこんと湧き立ちます。泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。源泉掛け流しのお湯が贅沢です。

入浴料はわずか250円というのも嬉しいですね。しかも1,800円で素泊まりもできるのですから、さすが西郷どん、太っ腹!と言いたくなります。

日当山温泉 西郷どん湯

住所
鹿児島県霧島市隼人町1462-2
問い合わせ電話番号
0995-43-3870
料金
大人250円 子供100円 素泊まり1,800円
営業時間
6:00〜21:00(立ち寄り湯)
定休日
第4月曜日

<編集部コメント>
日当山温泉の歴史は古く、鹿児島県内最古の温泉といわれており、鎌倉時代の1293年に開湯したと伝えられています。坂本龍馬と妻のおりょうが新婚旅行(日本初の新婚旅行といわれる)で訪れた温泉のひとつとしても知られ、かつては長期間滞在する湯治客が多く訪れていた温泉地です。周辺には温泉宿のほか日帰り温泉、立ち寄り温泉がいくつも点在しており、貸切で入浴できる家族風呂を備えた施設も多数あります。
「西郷どんの湯」は、昔から地元の方に愛されたお湯で、地下約400mから汲み上げた源泉を利用しているため、日によって湯量や温度に差が出ることがあるそう。また、源泉かけ流しの贅沢な温泉です。飲泉場もあり、飲料用として飲むこともでき、泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉。宿泊施設は温泉施設の向かいにあります。

明治6年、帰郷した年の暮れに過ごした「鰻温泉」(鹿児島県指宿市)

明治6年、帰郷した年の暮れに過ごした「鰻温泉」1

明治維新後の明治6年、征韓論に破れ、政府を追われるようにして帰郷した西郷どん。その年の暮れに足を向けたのが、鹿児島県指宿(いぶすき)市山川町の「鰻温泉」です。

JR山川駅から車で約15分。四方を山に囲まれ、火口湖である鰻池の湖畔にたたずむ江戸時代からの静かな湯治場です。現在、区営の共同浴場があります。

明治6年、帰郷した年の暮れに過ごした「鰻温泉」2

泉質は単純硫黄泉。源泉温度は88.8度と高いですが、肌ざわりがやわらかく、皮膚病に効果があるといわれています。

入浴料は大人200円と格安です。ひなびた温泉地で、のんびりと過ごしてみてはいかがですか。

区営鰻温泉

住所
鹿児島県指宿市山川成川6517
問い合わせ電話番号
0993-35-0814
料金
大人200円 小学生100円 乳幼児50円
営業時間
6月-9月 8:00~13:00、15:00~20:00(受付終了 19:30)
10月-5月 8:00~20:00(受付終了 19:30)
定休日
第1月曜日

<編集部コメント>
指宿市といえば砂むし風呂で知られる指宿温泉が有名。砂むし風呂の多くが海沿いにあるのに対して、鰻温泉は内陸の山あいにあり、温泉街の賑わいとは違った秘湯感漂う温泉地です。1901年に開設された区営鰻温泉は、昔から地元の方の憩いの場として親しまれています。
鰻温泉エリアには、「スメ」と呼ばれる温泉蒸気を利用して野菜や玉子などを蒸す天然のかまどがあり、地元では毎日の調理に利用されています。300円の使用料を払えば、観光客も使用できます。約90度の蒸気なのでやけどに注意。葉野菜は2分、玉子は6分、さつまいもは45分で食べごろに蒸し上がるそうです。
また、路面にハートの形が隠された箇所があり、見つけると良いことがいるかも?しれません。

明治7年に3ヶ月滞在した「白鳥温泉」(宮崎県えびの市)

明治7年に3ヶ月滞在した「白鳥温泉」1

鰻温泉に足を運んだ翌年の明治7年には、宮崎県えびの市(当時は薩摩藩領)の白鳥温泉を、西郷どんは訪ねています。この「白鳥温泉」には心身を癒すため、約3ヵ月も滞在したそうです。

明治7年に3ヶ月滞在した「白鳥温泉」2

JRえびの駅から車で約15分、志布志港からは車で2時間弱。現在その場所に、宿泊もできる入浴施設「白鳥温泉 上湯」※があります。敷地内には西郷どんが来たことを記念した「南洲曽遊之地」の碑があります。
※白鳥温泉 上湯は2023年2月現在、休館中です(下湯は営業中)。

明治7年に3ヶ月滞在した「白鳥温泉」3

泉質は単純酸性泉。内湯と露天風呂からのえびの市(加久藤盆地)の眺めは絶景です。

母屋から少し離れた場所には、天然の温泉蒸気を利用した蒸し風呂もあります。薄暗い小屋の中でじっと熱さに耐えていると、足元からゴボッゴボッと温泉が湧く音……西郷どんも同じような体験をしたのでしょうか。

上湯から歩いて5分の「温泉地獄」も見学可能です。

白鳥温泉(上湯・下湯)

住所
宮崎県えびの市末永1470
問い合わせ電話番号
0984-33-1104(上湯)・0984-33-3611(下湯)
料金
大人500円(市外在住者)・310円(市内在住者)、小学生250円(市外在住者)・220円(市内在住者)※下湯の料金
宿泊料金は電話でお問い合わせ。
営業時間
7:00〜20:00(日帰り入浴)
定休日
第3火曜日

<編集部コメント>
白鳥温泉 上湯は、2022年4月からメンテナンスのため長期の休館となっています。下湯は営業中で、大浴場(内湯)のほか、庭園風露天風呂や貸切風呂があります。貸切風呂は2室あり、利用時間は9:00〜20:00で、1室60分 1,520円(延長30分ごとに750円)。湯上りには、休憩施設やケビンでくつろぐこともできます(有料で入浴料・入湯税を含みます)。
ケビンは、木の温もり感じるロッジ風外観の戸建てで、宿泊が可能。ミニキッチンやトイレ、エアコン、テレビが備えられています。素泊まりのほか、朝食付き、夕朝食付きのプランもあります。
宮崎県のえびの市にある白鳥温泉は、霧島神宮や鹿児島県と宮崎県の県境にある韓国岳・えびの高原からさらに九州内陸に進んだところに位置します。交通手段としては車やバイクを利用するのがおすすめです。

明治9年、西南戦争前に過ごした「栗野岳温泉」(鹿児島県湧水町)

明治9年、西南戦争前に過ごした「栗野岳温泉」1

西南戦争の前年の明治9年には、現在の鹿児島県湧水町にある「栗野岳温泉」に西郷どんは滞在しています。JR栗野駅から車で約15分ですが、栗野岳のふもとにあり、豊かな自然にあふれています。志布志港から車で約2時間の道のりです。

明治9年、西南戦争前に過ごした「栗野岳温泉」2

西郷どんは、ここで愛犬とともに狩猟を楽しみ、温泉に癒されたのでしょうか。人生最期の安らかな時間を、栗野岳温泉で過ごしたと思われます。

こちらには、南洲館という一軒宿があり、宿の前のバス停では、パネルの西郷どんが出迎えてくれます。お風呂は3つ。それぞれ建物は離れています。
※栗野岳温泉 南洲館は、2021年12月をもって休館となっています。

明治9年、西南戦争前に過ごした「栗野岳温泉」3

酸性単純硫黄泉で薄白くにごっているのが「桜湯」。

明治9年、西南戦争前に過ごした「栗野岳温泉」4
明治9年、西南戦争前に過ごした「栗野岳温泉」5

黒く濁った「竹の湯」は酸性・含鉄-アンモニア-硫酸塩泉で、石造りの浴室は雰囲気抜群です。

明治9年、西南戦争前に過ごした「栗野岳温泉」6
明治9年、西南戦争前に過ごした「栗野岳温泉」7

そして3つ目が「蒸し風呂」です。

入浴料は1ヵ所300円。3ヶ所入ると700円ですから、全部入らない手はありません。

蒸し風呂の脇の道を、10分ほど山の中に入っていったところに「八幡地獄」があります。

明治9年、西南戦争前に過ごした「栗野岳温泉」8

地面からもうもうと蒸気が噴き出している様子は、確かにこの世のものとは思えない迫力。その蒸気で丸々一羽蒸しあげる「蒸し鶏」は同旅館の名物。
日帰り客も、お土産として購入できます(要事前予約)。

栗野岳温泉 南洲館 ※現在休館中

住所
鹿児島県鹿児島県姶良郡湧水町木場6357
電話番号
0995-74-3511

<編集部コメント>
残念ながら栗野岳温泉 南洲館は、2021年12月いっぱいで休館してしまいましたが、霧島温泉やこちらの記事で紹介した「ホテル ピコ ラナイ えびの高原」が車で1時間ほどの場所にあります。また、屋外展示もある美術館「霧島アートの森」は車で5分ほどの至近距離です。

他にも、鹿児島市の「有村温泉」、日置市の「吹上温泉」、薩摩川内市の「川内高城温泉」、指宿市の「二月田温泉」(以上鹿児島県)、えびの市の「吉田温泉」(宮崎県)なども、西郷隆盛ゆかりの温泉といわれています。

それぞれ広範囲に点在しているので、「さんふらわあ」舟遊プランを使って、鹿児島の志布志に上陸し、マイカーやレンタカーで湯巡りをしながら北上、別府や大分から帰途につく……なんてのも、オススメですよ。

<編集部コメント>
鹿児島県の源泉数は2,700以上を数え、別府を擁する大分県に次いで全国第2位を誇ります。桜島をはじめ活火山がいくつもあることから、100を超える温泉地が鹿児島県内に存在しています。煙を吐き続ける桜島が見られたり、錦江湾や太平洋を一望できたりする絶景温泉も少なくありません。
西郷隆盛が各地の温泉に足を運んだ理由は、温泉への入浴と運動によって健康を維持するためだったといわれています。皆さんも、大阪から「さんふらわあ さつま/きりしま」に乗船して西郷どんが愛した温泉を訪ねてみてはいかがでしょうか。鹿児島をはじめ九州各地には名湯・秘湯が多数あるので、お気に入りの温泉地や温泉施設を見つける旅をするのもいいですね!

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