いざ、北海道スノートリップへ(後編)アイキャッチ

もくじ

良い波を追い続けるサーファーたちの旅を描いた映画「Endless Summer」のように、良い雪を求め、そして旧友との再会を果たす。最近では世界中のスキーヤーやスノーボーダーにとっても憧れの地となった北海道を舞台に、フェリー&マイカーで巡るスノートリップの後編。まずはニセコを後に300km彼方の旭岳を目指します。
※最新の営業状況については、各店舗・施設HP等にてご確認ください。

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29年目は北海道スノートリップ2

写真左:(滑る係&書く係)小早川昌弘 57歳。パウダースノーの大好きなスノーボーダー。本職はヨットの先生だが好きな分野だけライターもこなす。通称「こばさん」
写真右:(写真係)馬弓良輔 52歳。スノーボードを仕事にしたくて仕方ない旅行&自動車系の編集者兼カメラマン。通称「まゆーん」

Day 4 ニセコから旭岳へ

昔のヒラフを思い出すニセコモイワを楽しんだ日の夕方、明日からの天候を考え「旭岳」へと移動することにした。

準備を終えたら、世話になった順くん一家にお礼を言って出発。ニセコから旭岳までは約300km、4時間半は掛かるだろう。

Day 4 ニセコから旭岳へ1
Day 4 ニセコから旭岳へ2

倶知安の街に入る頃にはすっかり夜の帳も降りてしまった。北海道のナイトドライブには細心の注意が必要だ。

途中で小腹を満たすために小樽でラーメンを食べることにした。小樽も相当雪が降った様子。

Day 4 ニセコから旭岳へ3

これが「小樽ラーメン」。コクのあるスープと焦がしネギが、体を一気に温めてくれる。スープも残さずごちそうさまでした。

Day 4 ニセコから旭岳へ4
Day 4 ニセコから旭岳へ5

小樽からは高速道路で一路、旭川へ。遠くからでも夜空を明るく染める札幌の街は今回素通り。

旭川に近づくにつれ気温が下がり、交通量も減る。たまにすれ違う対向車のライトになぜかホッとする。

Day 4 ニセコから旭岳へ6
Day 4 ニセコから旭岳へ7

インターを降りて旭川の街に入った。積雪量はニセコほど多くはないようだ。ただし、気温は-10℃以下。除雪車が通った直後の露出したアイスバーンがおっかない。

そして22時過ぎ、ようやく今夜からの宿「ホテル ベアモンテ」に到着した。自分の車の後ろ姿を見てびっくり。こんなことになっているとは!

Day 4 ニセコから旭岳へ8

部屋は広々としたツインベッドルーム。間接照明が温かい。

「MOIWA」での滑りと車での移動に疲れて、温泉の大浴場でさっぱりしたらすぐに睡魔が。おやすみなさい。

旭岳温泉 ホテル ベアモンテ

所在地
北海道上川郡東川町旭岳温泉
アクセス
苫小牧港より車で約3時間30分
電話
0166-97-2321

Day 5 旭岳

Day 5 旭岳1

おはよう、旭岳!

「ホテル ベアモンテ」のエントランスの奥に見える雪の量、半端ない。山への玄関口である「旭岳ロープウェー」の乗り場まで徒歩3分のロケーション。夕食、朝食もブッフェで食べ放題。何より天然の水(豊かな天然水のおかげで北海道で唯一上水道のない町なのだとか)が蛇口から出てきておいしいのが最高。

朝、窓から天気を見ていたら、ホテルのスタッフが駐車場の除雪中。なんとお客様の車も雪下ろしをしてくれていて、感謝感激。

Day 5 旭岳2

まずはホテルの目の前にある「旭岳ビジターセンター」にて情報収集。初めての山、そう、ここはスキー場ではないのです。ロープウェーで上がった「姿見駅」から圧雪車でコースは設定してあるものの、パトロールもいない本当の「雪山」。自己責任で行動しなければならない厳しい「雪山」。

旭岳ビジターセンター

所在地
北海道上川郡東川町旭岳温泉
電話
0166-97-2153
Day 5 旭岳3
Day 5 旭岳4

いよいよ「旭岳ロープウェー」の「山麓駅」へ。期待半分、不安半分で日本最高のパウダースノーに挑戦だ。

この日のコンディションは、写真の通り。南西の風にもかかわらず気温はマイナス17℃。視界不良が気になるところ。

Day 5 旭岳5

ここも外国人比率がかなり高くて、びっくり。ヨーロッパからなのかスペイン語やイタリア語らしき言葉も。気がついたのは圧倒的にスキーヤーが多いこと。もちろんみんなパウダー用の太い板持参だ。

Day 5 旭岳6
Day 5 旭岳7

ロープウェーに乗り込み、標高1000mの「山麓駅」から、1600mの「姿見駅」へ10分の空中散歩へと出発。

眼下には巨大なスノーモンスター(樹氷)が幻想的な景色を作り出している。晴天時に見てみたいものだ。

Day 5 旭岳8

「姿見駅」はすべてが凍り付いて真っ白。以前行った青森県の「八甲田山ロープウェー」と比べると、雪が軽く気温が低いため着氷は少ない。

Day 5 旭岳9

いよいよ待ち焦がれた極上のパウダースノーとご対面。寒すぎてボードにも雪が付かない。視界が悪いのもちょっと気になる。

Day 5 旭岳10

エリアの上部は視界が悪く、撮影は断念。とりあえず1本、ルートを探しながら降りてきた。間近で見るスノーモンスターは迫力満点。美しさと力強さに圧倒され、自然の偉大さを感じる。

Day 5 旭岳11

「山麓駅」近くには野鳥の写真を撮る人たちが。ここも外国人がほとんどだった。

Day 5 旭岳12

続けて2本目。我々以外はみんなスキーヤー。新雪用のスキーはもちろん、雪崩用のエアバッグを着けた強者も。

Day 5 旭岳13

少し下ったら視界が良くなってきた。撮影場所を探して滑っていく。こんなに斜度があるのに雪が深すぎて止まると膝まで埋まってしまう。とにかくスケールの大きさとアスピリンスノーに、撮影を忘れてどこまでも滑っていきたくなる。

Day 5 旭岳14

40度近い斜面でもこんなに快適。今日は174cmのボードだが、もっと浮力の大きなパウダー用ボードが必要だ。

Day 5 旭岳15

この写真からも雪の深さと軽さが伝わるだろうか?滑っていても腰まで埋まっている。ボードを外したら一番深いところで肩まで雪に埋まった。初めての経験だ。

これで今日は下山。温泉と夕食が待っている。そろそろトリップの疲れも出てきたか?

Day 5 旭岳16

「ホテル ベアモンテ」の夕食。地元の食材を使った料理がブッフェ方式でずらりと並ぶ。和洋中とバリエーションも豊富。たっぷり食べて明日への活力にしよう。50代のオヤジ2人の量とは思えない。

最後にデザートとコーヒーもしっかりいただいた。

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Day 6 旭岳

Day 6 旭岳1

旭岳2日目。いよいよ愛用のパウダーガン(新雪専用ボード)の出番だ。1972年にデザインされたこのボードは現在も若干の変更はされたものの、アウトラインに大きな変更もなく作り続けられている。35cmのノーズ幅は圧倒的な浮力を、184cmの長さを感じさせないテールの切込みは一度パウダーで味わうと病みつきになる。私もこの板を手に入れてから4シーズンくらいは相当手こずったが、今では最高の相棒だ。

Day 6 旭岳2

ロープウェーはやはり外国人が多い。彼らはバルセロナから来たそうだ。近くにヨーロッパアルプスがあるのに、わざわざここ「旭岳」に来るのは、世界最高とも言われるこの山のパウダースノーの魅力なのだとか。

Day 6 旭岳3
Day 6 旭岳4

今日は昨日に増して視界が悪い。スキーヤーの団体を追いかけるも途中で見失ってしまう。昨日の土地勘を頼りに視界が良さそうな下部に滑り込む。

滑り出すにはこの腿の深さの新雪をかき分けて、斜度の十分あるラインを選ばなければならない。

Day 6 旭岳5

そして、ついにその時が来た。この斜度とこの雪質。この日のためにある特別なボード。最高の瞬間が今現実となった。

Day 6 旭岳6

このスピード感、浮遊感。他のスポーツでは味わったことがない、ストレスフリーな状態。アイスクリームスプーンでアイスをすくっているように浮かび上がってくるボード、前足に加重して加速。減速は後足に加重してテイルを沈めて。

Day 6 旭岳7

それでもボードがどんどん浮かび上がってくる。この最高の感覚が味わいたくてここまで来たんだ。

Day 6 旭岳8

今回のスノートリップを象徴する1枚。厳しい自然が作り出す壮大な景色と、そこで我々人間が遊ばせてもらうために考え出した道具。満足しきった表情に感謝の気持ちが浮かんでいる。

Day 6 旭岳9

この日は3時間かけて下りてきた。視界不良とルートミスによる上り返し、体力も使ったために「山麓駅」でゆっくりと回復を図るも、時間切れ。今日の挑戦は1本に終わった。

売店で見つけたステッカー。ミーハーなまゆーんも、海外からの方も喜んで買い求めていた。

大雪山 旭岳ロープウェー

所在地
北海道上川郡東川町旭岳温泉
アクセス
苫小牧港より車で約3時間30分
電話
0166-68-9111

Day 7 旭岳〜苫小牧

Day 7 旭岳〜苫小牧1

旭岳3日目、山は状況変わらず。前日にも増して視界が悪そうだ。フェリーの時間もあることだし体力も限界に近い。昨日、調子に乗って下りすぎて、延々と平らなところをラッセル(雪かき)したのは、なかなかこたえた。昨日の写真の出来栄えに満足していたまゆーんも異論はなさそうだ。

さよなら、旭岳!

苫小牧港へと向かうことにしよう。

Day 7 旭岳〜苫小牧2
Day 7 旭岳〜苫小牧3

ホテルから山道を下っていくと、そこは良い天気。でも振り返って山を見ると雲の中。下界は晴天、山は吹雪。いや地吹雪か?無いはずの後ろ髪(笑)を引かれつつも旭川を目指す。

ふと見上げると街灯がすごいことに。こんなふうに雪って積もるんだ。晴れて初めて気づいた不思議な光景。

Day 7 旭岳〜苫小牧4

旭川市内で少し寄り道してから、苫小牧西港フェリーターミナルに到着。道草をしているあいだに、だいぶ車の雪も落ちたようだ。

Day 7 旭岳〜苫小牧5
Day 7 旭岳〜苫小牧6

乗船前、フェリーターミナルの売店にて。苫小牧名物、北海道名物が並ぶ。うちの娘に「夕張メロンゼリー」を購入。

往路と同じで同乗者は徒歩で乗船。ドライバーは係員の丁寧な案内で車両甲板へ。船内のインフォメーション前には現在位置を表示するモニターが。各部屋のテレビでも確認できる。

Day 7 旭岳〜苫小牧7

復路はスーペリアインサイドの洋室。2段ベッドのシンプルなインテリア。乗船してしまえば、食べて、寝て、お風呂を楽しむ。船旅の余裕とリラックスできる時間が幸せだ。

Day 7 旭岳〜苫小牧8
Day 7 旭岳〜苫小牧9

夕食は2人とも往路で気になった「とんかつ」に決定。美味しい肉と、甘い脂身。トリップで疲れた身体にエネルギーが満ちていく。もちろん食後のデザートとコーヒーは欠かせない。

船内では、イベントも行われる。今回はバルーンアーティストが風船でアイテムを作って皆さんにプレゼント。子供たちは大喜び。時間のゆっくり流れる船旅ならではの楽しみ方かもしれない。

そしてそんな時間が非日常の旅から日常の暮らしへと、ゆるやかに気持ちを切り替えてゆく。

Day 8 そして東京へ

Day 8 そして東京へ1

翌朝、少し寝坊してギリギリの時間に朝食を済ませる。良い天気に誘われてデッキへ出てみると「さんふらわあ」は福島県いわき市塩屋崎灯台沖を通過中だった。

家内の実家がいわき市にあり、東日本大震災の前はこのあたりでよくサーフィンをしたものだ。震災直後に一度だけ訪れたが、カメラを向けるのも躊躇うほどの惨状だった。決して忘れてはならない記憶の一つ。大自然の前で人間は無力なんだと。雪山も同じだ。

Day 8 そして東京へ2
Day 8 そして東京へ3

大洗港フェリーターミナルが見えてきた。つい先日ここから旅立ったのにずいぶん時間がたったように感じるのは船旅のせいなのだろうか。

高速道路を順調に乗り継いで東京の自宅まで、最後の安全運転。旅は家のドアを出てから、ドアを開けて家に入るまで。

自宅前に着いたところで、トリップメーターはちょうど1000.0km。できすぎのような8日間のスノートリップは終わった。

Day 8 そして東京へ4

のんびりと楽しむ船旅。ゆったりと流れる船内での時間。
自分の車で走る北の大地。刻々と変化する路面状況。
旧友との再会。懐かしいスキー場とその変貌ぶり。
やっとたどり着いた憧れの聖地。極上のパウダースノーと厳しい自然。

Day 8 そして東京へ5

目的はスノーボードだったが、終わってみればもっとたくさんの収穫が自分を1つ上のステージへ上げてくれたようだ。また来シーズン、いやシーズン一回は、昔のようにスノートリップに出かけよう。そんな気持ちを取り戻したのも収穫だった。

スノーボードの聖地!北海道に行くなら
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