もくじ
旅行が趣味、旅行が仕事、という方でも、船に乗って目的地に向かう機会はなかなかないそうです。そこでそんな旅の達人たちを「さんふらわあ」にお誘いして「カジュアルクルーズ」の魅力に触れていただくことにしました。 今回の旅人は10代の頃からバックパッカーとして世界を回った後、旅行雑誌の編集者、ライターとして働きつつも、古神道、修験道の修行や、古今東西の様々なセラピーを研究。それが高じて現在は気功や美容整体などの施術師として活躍する磯部さんです。現在、開運旅行作家としても活躍中の磯部さんの目に「さんふらわあ さっぽろ」の旅はどう映ったのでしょう。
シチリアへのフェリーは列車ごと船中に
あれはローマからシチリア島のパレルモへ列車で行った時のことだ。
この列車の面白いのは、イタリア本土の先端、ヴィラ・サン・ジオバーニでフェリーの中へそのまま入っていく。列車を乗せた船が海峡を渡りシチリアへ。メッシーナ港でまた連結し、パレルモを目指し走っていく。
日本でもかつて宇高連絡が貨物列車をフェリーで四国へ渡していたのを思い出す。船に乗っている時間より、連結を解たり、再び連結するのにえらく時間がかかった気がする。その様子を列車内から見ていたり、船内におりてウロウロしたり…。普通の旅とは違う魅力があった。
他にも、下関から釜山への関釜フェリー、大阪から上海の鑑真号、オーストラリアのケープ・ジェービスからカンガルーアイランド、スコットランドのケナクレイグからアイラ島など海外でも意外と船に乗っている。
国内でも、10代はサイクリストだったので、地元、明石から播但フェリーで淡路島、淡路島からフェリーで四国の鳴門、そして四国を自転車で回った。20代の頭、バイクで日本一周した時は、それこそ、青森から北海道、鹿児島から沖縄などなど船旅、フェリー旅は数知れない。最近も、福岡から壱岐へフェリーで渡ったばかりだ。
そもそも、20代後半までバックパッカーだったのと、その後は旅行雑誌の編集者だったので、乗る機会が多かったのもある。
「さんふらわあ」も大洗もパワースポットだ
さて、2017年に新造された「さんふらわあ さっぽろ」。最近アニメの聖地としても名高い大洗(茨城)から、北海道の苫小牧まで約18時間の船旅だ。
船体に半分描かれた太陽は、海に写って、丸く大きな太陽となる。この「さんふらわあ」の太陽は、日本を東から照らし続け、長年、元気を与えてくれている。まさに、日出ずる国を象徴する船で、移動するパワースポットといえる。
大洗には、「大洗磯前(おおあらいいそさき)神社」がある。この神社の神が降り立ったという岩礁に鳥居があり、東から昇る太陽がこの鳥居の間をくぐり、神社を朝日で照らす。
この鳥居を「神磯の鳥居」という。日の昇る「東」は、陰陽五行のエネルギーでいうと、「始まり」の意を持つ。公私共々、これから何かを始めようと考えている人にとっては、素晴らしい船出の場所となる。
こちらの神社の祭神は、大巳貴命(オオナムチノミコト=オオクニヌシノミコト)と少彦名命(スクナヒコナノミコト)。これは、次回、「札幌編」の北海道神宮ともつながる。
「さんふらわあ」夕方便は、大洗から19時45分発。
「雑魚寝部屋」もずいぶん進化した
「さんふらわあ さっぽろ」には、個室である「スーペリア」のほか、ワンランク上のバルコニー付きの「プレミアム」や、最上級の「スイート」まで備えられている。
海をゆくホテルのようで、フェリーというよりカジュアルな客船と言える。ちなみに私は、バックパッカー時代を偲び、「ツーリスト」部屋へ。ここは、昔でいうところの「雑魚(ざこ)寝部屋」。
ただし進化している。男女は部屋が別だ。まずは、個人のスペースが指定されていて、そこはカーテンで仕切ることができる。折りたたみのマットレスとシーツや上にかけるブランケットも用意されている。マットレスは意外と厚く、寝た時に床からの振動を和らげてくれる。
初見時は、「肩幅くらいしか幅がない」と思ったスペースも実際寝てみると、カーテンで仕切られていて、かなり落ち着く。頭上に大きめの荷物置きがある他、外にコインロッカーも完備されている。
雑魚寝だと人によって占有する面積が違ってくるが、これだと不公平感もなく、スペースを効率的に活用できる。人間、「立って半畳、寝て一畳」というが、なるほど、この程度の広さで十分なのがわかる。それが再確認できただけで儲けものだ。なかなかよくできている。
部屋からしょっちゅう外へ出る場合は、簡単なスリッパを持参すると便利だろう。ちなみに船内ショップならさんふらわあマーク入り使い捨てスリッパを買うことができる。
大きな風呂から大きな海を眺める
この船でなにより最高なのは、船内に大風呂が付いていること。海が見える風呂は数あれど、海上を走りながら、海を眺められる風呂はなかなかない。広々と脚を伸ばして浸かるので、疲れの取れ方が違う。
乗船時間から浸かれるのも良いし、朝風呂もまたご機嫌だ。
食事は旅のスタイルに合わせてレストランでも、ショップでも
綺麗なレストランがあり、セットの料理もいただける。北海道の食材を活かした料理やワインなど、なかなか旅気分を演出してくれる。営業時間はやや短い(18:30~20:30、L/O20:00・大洗発便の場合)のでご注意を。
自分で好きなディナーを持ってくるのもいい。ワインを始め酒類は船内のショップや自動販売機で買える。
※ショップの営業時間はこちら
≫https://www.sunflower.co.jp/route/facilities/twilight/shop/
プロムナード部分に椅子と机があるので、そこで食べることもできる。個室の人はゆっくり部屋で楽しもう。
昼の海、夜の海、朝の海
いつも船に乗ると、甲板に立ち、海を眺める。夜は、闇が深く、空と海の境目もわからない。じっと見つめているとなにか巨大生物が首をもたげてくるような錯覚に襲われたりする。
昼の海は、船の白い航跡が波の間に間に流れ、いつ果てるともない。海は生命の源であり、その底知れぬ深さ、恐ろしさ、豊かさを船旅は感じさせてくれる。
日の出のエネルギーが集まる、大洗の港を経て、北の大地の玄関口、苫小牧までは、意外とあっという間だ。 (続く)
開運旅行作家/施術家 磯部 極楽堂(いそべ ごくらくどう)
1963年、神戸市生まれ。早稲田大学、北京中医薬大学 気功整体科卒。10代後半から20代はバックパッカーとして世界を回る。
その後、旅行雑誌「じゃらん」創刊時から編集者、ライターとして参加。以降、数々の旅行雑誌の創刊、編集に加わる。並行して、古神道、修験道の修行や、古今東西の様々なセラピーを研究し「麻布サラ・クリニコス」を設立、代表となる。
国内を始め、パリ、シチリア、NYで、気功や美容整体などの施術と教育を行なう。風水八卦気功 家元。開運旅行作家としても活躍中。小顔美肌術(ISOBÉ-BEAUTÉ)は、フランスの多くの雑誌でも絶賛されている。
▼著書
「さわるだけ!なでるだけ!小顔美肌術」(講談社)
▼サロンのWebサイトはこちら
≫kokokara-happy.com
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