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三等機関士として船に乗り始めて3年目(取材時)。「瀬戸内海に面した港町で生まれ育ったこともあり、海が大好きでした」と答えてくれた柳生さん。はにかんだ笑顔がステキです。 お客様が安心して楽しめる、安全な航海を実現するため、日々責任感と緊張感を持って仕事に携わっている柳生さんに、仕事の内容や船・海の魅力について語ってもらいました。

瀬戸内の海に誓う「船乗りに、俺はなる!」

出身は広島県の三原。物心つく前から、穏やかで美しい瀬戸内の海を眺めて育ったそうです。
「遊ぶのも海。釣りをしたり、泳いだり、海に囲まれた生活を送っていました。漁師の親戚がいたので、中学生くらいになると、漁船に乗って海へ出て、手伝いすることもたびたびありました。小型船でしたけど、楽しくてずっと乗っていましたね」
小さな船から大きな船まで、さまざまな船が頻繁に航行する瀬戸内海。行き交う船を見ながら、将来自分が進む道を考えていたとのこと。

「実は、祖父が船乗りなんです。外航船の甲板手で、小さい頃からよく船での仕事の話や、船上での生活の話などを聞いていました。パナマ運河の話などは印象に残っていますね。祖父の話には、大きな影響を受けました」
船乗りを目指すにあたって、もうひとつ大きな影響を受けたことがある、と柳生さん。「漫画の『ONE PIECE』(ワンピース)が大好きだったことも、船の仕事をしたいと思った理由のひとつです。学校は広島商船高等専門学校に入学したのですが、同級生の多くも私と同様に『ONE PIECE』ファンでした(笑)」

快適な航行に欠かせない、電気や空調の点検・整備を担当

柳生さんは、普段どんな業務を担当されているのでしょう。
「各客室をはじめ、船内全体を快適な温度・湿度に調整するエアコンや空調設備と、送電線などの電気系統についての点検・整備が、三等機関士である私の主な担当業務です」

空調の点検。船内の快適さに直結するだけに、気が抜けません。

機関長や先輩機関士の方々から「お客様は、船が揺れることよりも、電気が点かない暗い船内で過ごさなければならないことのほうが不安なんだよ」と教えられ、トラブルの発生原因を見逃さないように気を張って点検することを心がけているそうです。
「温度計測や点検箇所の確認など、決められた箇所を異常がないかチェックするという作業です。毎日、毎回繰り返し続けなければならない地道な作業ですが、きちんと行わなければ、多くのお客様にご迷惑がかかります。地味ですけれども、常に責任感と緊張感を持って実行しなければいけない業務です」

“いつもと違う”を見逃さない。日々の勉強を怠らない

万が一異常が見つかったら、電源を落としてテスターを使って原因を探します。

航行中のほとんどを機関室(エンジンルーム)内で過ごし、定期点検のために船内に6か所ある“関係者以外立入禁止”の電気機器室に入り、空調や電気系統に異常が無いことを確認して回るという柳生さん。
「分電盤だけでもいくつもあり、船内の各電源がどの分電盤とつながっているのかを頭に入れておく必要があります」

船内の電源の中には、家庭用と同じ100Vのほかに、440Vの電源もあるそう。
「もし、電気ケーブルが濡れていた場合、そのまま放っておくと漏電などのトラブルに発展してしまう恐れがあります。なぜ濡れているのか、どこか水漏れしている箇所があるのではないかと、しっかり調査して原因を追究し、適切な処置を迅速に行わなければなりません。例えば、圧力計の数値がいつもと違うなど、何か違和感を覚えることがあったら、それも何らかのトラブルにつながるかもしれないので、すばやい対処を心がけています」

電気機器室の主要な電源ケーブルは上部に配線してあります。

ちょっとした異常や変化を、柳生さんたちが早期に発見し、迅速に的確な調整や修理を行っているから、お客様は安心して快適な船旅を楽しめるのですね!
「電気の知識はもちろん、いろいろな機械の仕組みを理解していないと、いざというときに対応できません。ですから、空いた時間には勉強が欠かせません」

「非日常」を味わえる、デッキから見る海原や星空

海好きな柳生さんに「さんふらわあ きりしま」へご乗船されるお客様に、どんな船旅を楽しんでいただきたいかを尋ねてみました。

見渡す限り広がる太平洋。眺めていると心が洗われます。

「ぜひデッキに出て、雄大な海原を眺めてほしいですね。大阪と志布志(鹿児島)を結ぶ航路は、四国の太平洋側を航行するルートです。この海が外国にもつながっていることを想像したり、彼方まで広がる大きな海を見ていれば、日ごろ感じている悩みなんて小さなことだと思えたり、気持ちや考え方がプラスに働くと思います。また、雲が少ない夜間には、日常では見ることができないような満天の星を眺められますよ」

さらに「船内で行われるプロジェクションマッピングも、豪華客船で過ごすような雰囲気や“非日常”が楽しめるおすすめのイベントです」と教えてくれました。

「フェリー旅の良さは、景色を見ながら大浴場に入ったり、レストランで好きなものを食べたり、ゆったりくつろいで過ごせること。寝て、起きたら到着するので、旅の時間を効率良く使えます。私たちは、全力を挙げて、皆様に安心して快適に過ごしていただける船内環境づくりに努めていますから、ぜひ『さんふらわあでの旅の思い出』をつくってほしいですね」
そう話す柳生さんの表情からは、大好きな海で、なりたかった船乗りとして仕事をしているという充実感が伝わってきました。
「さんふらわあ」は快適で安全な船旅をお客さまに提供するため、今回インタビューした柳生さんのような船のハード面を担当するクルーと、お客さまに身近な船のソフト面を担当するクルーがいます。動画では、そんなソフト面を担当しているアテンダントクルーが、船内のさまざまな設備を紹介しています。

お客さまに癒しと感動のひと時を。
船員一同心を込めた船旅をご提供します。
関西~九州航路「さんふらわあ」はこちら
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