もくじ

乗船されるお客さまのお出迎えから、船内イベントでの司会進行まで、旅客サービスの責任者として幅広い業務を担当されている大島歩チーフパーサー。快適な“カジュアルクルーズ”を満喫できるよう、お客さまはもちろん、船内スタッフや陸上勤務の社員とも常に笑顔でコミュニケーションを取られています。 ユニークな経歴をお持ちの大島さんに、“カジュアルクルーズ”の魅力や仕事に対する情熱などをお伺いしました。

阪神・淡路大震災をきっかけに、船での仕事に興味

高校時代までを神戸で過ごされた大島さんは、大阪の大学に進学し、新幹線で車内販売のアルバイトをしていたそう。
「新幹線で車内販売のアルバイトをしていた頃、震災が起きたんです」
陸上交通網は大きな打撃を受け、大阪や神戸発着の人員・物資運搬にはフェリーをはじめとする船による海上輸送が活躍。その様子を大島さんは目の当たりにしました。

「新幹線が間引き運行になったことでアルバイトも減ったため、港でのアルバイトも掛け持ちで始めました。船に乗っての仕事ではありませんでしたが、物資を運ぶトラックの乗船手続きや物流業者からの積み込み予約対応など、港の窓口での業務を担当。やり始めたら、港での仕事のほうが面白くなって(笑)」
取材を行ったのは2020年1月17日。25年前の1995年、阪神・淡路大震災が発生したまさにその日。「今日、こうしてあの頃の話をするのも、何かのめぐり合わせかもしれませんね」と、感慨深げな表情で語ってくださいました。

フェリーに乗船した感想からパンフレットを自作

「港でアルバイトを始めて数年経ち、次第に『船の中での仕事ってどんな感じなんだろう。船内で仕事をしてみたいな』と思うようになりました。そんなある日、『九州まで乗客としてフェリーに乗って、感想を聞かせてくれ』と会社から言われたんです」
その当時は、サービスや設備が現在のようには行き届いていなかった頃。デラックスの客室に乗船した大島さんは“せっかくホテルのような客室があるのに、十分に活かしきれていない”と感じたそうです。

「乗船した感想を報告する際、もっとサービスや設備が充実していれば、“海の上を移動する優雅なホテル”のような打ち出し方ができるんじゃないかと考えて伝えました。そうしたら、『じゃあ、その考え方でパンフレットをつくってよ』と(笑)。苦手だったパソコンを使って、自分でつくりましたよ、パンフレットを。その当時、“非日常の船旅”や“贅沢に過ごす自分だけの時間”“ホテルのような船の客室に宿泊する”といった、実際に自分か感じたフェリー旅の印象やそれにふさわしい必要なサービス内容を盛り込んでね。
「その後、機会があり社員として入社することになったんです。パンフレットの制作が、入社試験だったのかもしれませんね(笑)。それから、船に乗って仕事をするようになりました」
移動だけでなく、フェリーでの旅そのものを楽しんでいただけるようなサービスを。パンフレットに込めたその想いは、現在までの大島さんの仕事に息づいています。

旅客の責任者として、「楽しんでいただきたい」という心のこもった接客

チーフパーサーのお仕事とは、具体的にどのような内容なのでしょう?
「船内における旅客部門の責任者です。接客は当然のこと、売店やレストランのサービスや運営マネジメント、客室保全、あらゆる旅客サービスの計画・実行など、多岐にわたります。船内イベント実行のために社内の営業企画部門と折衝することもあり、お客さまとも社内ともやり取りすることが多い立場です」

事務室のモニターに映し出される船内各所の様子。状況に応じて人員配置やアナウンスを行います。

インタビュー時の応対も、非常に物腰が柔らかく丁寧な印象の大島さん。それは接客でも同様で、リピーターの中には、「大島さんに会いに来たよ」とおっしゃるほどの“ファン”もいらっしゃるとのこと。船内イベントでは流暢な喋りでお客さまとコミュニケーションを取ったり、時には歌を披露したりすることもあるそうです。

出港時に銅鑼(どら)を鳴らすもの大島さんの役割。

「お客さまが乗船されて、エスカレーターを上がってきて最初に目に入る位置で私がお迎えすることが多いのですが、やはり笑顔でなければ快適な船旅は始まりません。ご挨拶をしたり、お客さまの表情を見て声をお掛けしたり、“乗船中に困ったことがあっても、この人に聞けば大丈夫だな”という安心感を持っていただけるような接客を心がけています。せっかく“さんふらわあ”に乗船いただくわけですから、“乗ってよかった”“楽しかった”“また乗りたい”と感じていただかなければという想いが強いですね」

開放感のあるアトリウムは、写真映えするおすすめスポット

「さんふらわあ きりしま」の船内で一番好きな場所やおすすめスポットを伺ったところ、その場所へ案内してくださいました。
「乗船されたお客さまと最初に顔を合わせるアトリウムです。吹き抜けで天井が高くて開放感があり、これから出発するというワクワク感や期待感をお客さまに持っていただける場所だと思います」
「乗船されたお客さまの多くは、記念撮影用のパネルの前で写真を撮られます。もちろんそれもいいのですが、私がおすすめする撮影スポット・アングルから撮ると、このアトリウムの開放感が伝わります。お客さまに立っていただく位置と、写真を撮る位置と角度を、私の中で決めています」
立ち位置と撮影位置・アングルを教えていただき、大島さんを撮影しました。一見、フェリーの中とは思えないほど、ゴージャスな雰囲気があり、“非日常”の船旅として想い出に残る写真が撮れました。

普段はお客さまの写真を撮る側の大島さんをパチリ。“映える”写真が撮れる場所です。

「もう陸上には戻りたくない(笑)」それだけフェリーでの仕事が好き

「阪神・淡路大震災で人生が大きく変わりました。今こうして“さんふらわあ“に乗船して仕事をするとは、震災前には自分でもまったく予想をしていませんでしたから」とおっしゃる大島さん。実は高校3年生の時、学校の先生から商船学校への進学をすすめられたことがあるそう。
「その時は“船なんて興味ない”と思っていたんですけど、今では、もう陸での仕事はしたくない(笑)。多くのお客さまが“カジュアルクルーズ”を楽しんでいらっしゃる姿を見ると、モチベーションが上がりますね」
「旅客の責任者として、スタッフの手本にもなるよう、常に緊張感を持って接客にあたっています。お客さまの前では、もちろん笑顔。スタッフに“笑顔で”と言うのではなく、まず自分が笑顔でいることで周りも笑顔になると信じています」
その言葉通り、終始笑顔でお話いただきました。

乗船されたお客さまに任意でご記入いただくアンケートには、「大島さんに出会えてよかった」「大島さんのおかげで、楽しいフェリー旅になりました」といった感想が書かれていることもしばしばあるそうです。
「さんふらわあ きりしま」に乗船の際に大島チーフパーサーを見かけたら、ぜひとも“「カジュアルクルーズ さんふらわあ」の取材記事を読んだ”と声をかけてみてください。きっと、楽しくて印象深いフェリー旅になることでしょう。

~大島チーフパーサーから皆さまへのメッセージ~

現在、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で本来の「カジュアルクルーズ」を提供できない状況であり、またお客さまも不要不急の外出を自粛されている状況です。
しかし、大切なもの(家族・仲間・普段の生活)を失わないために、未来を「笑顔」で迎えるための取り組みです。
フェリーは、公共交通機関としての使命を果たし、皆様の生活物資の輸送やその輸送に携わる方々が毎日安心して移動していただける環境づくり(消毒をはじめとした衛生管理など)に努めております。
ご家族やお仲間と「非日常」の「カジュアルクルーズ」を通して絆を深めていただける日が早く戻ることを願い、さまざまな苦境を乗り越えるために一緒に頑張ってまいりましょう。
また皆さまのご乗船をお待ちしております。

今回お話を伺った大島さんをはじめ、「さんふらわあ」のクルーはお客さまの思い出に残る快適で楽しい船旅を目指して、日々の業務に取り組んでいます。下の動画で、常に笑顔で業務に励むAC(アテンダントクルー)やACマネージャーの働きぶりをご覧ください!

お客さまに癒しと感動のひと時を。
船員一同心を込めた船旅をご提供します。
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