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もくじ

私たちの日常生活において、物流は非常に重要な役割を果たしています。その中で、国内の貨物輸送のうち約55%はトラックなどの自動車による輸送、約40%は船舶による海上輸送(内航海運)が担っています。
物流業界では、深刻なドライバー不足が続いており、通称「物流の2024年問題」を抱えています。私たちの生活への影響も懸念され、問題解決に向けた取り組みが推進されています。

「物流の2024年問題」の解決に役立つフェリーによる海上輸送

2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が年間で960時間に規制されます。それにより、ドライバーの人材不足、トラックの稼働時間減少、輸送コストの上昇などが生じ、結果的に貨物輸送できる量の減少や、配達の遅延といった現象が起こることが懸念されており、「物流の2024年問題」としてニュースなどでも取り上げられています。物流業界だけの問題ではなく、貨物の輸送を依頼している企業(荷主)や、最終的に荷物を受け取る私たち一般消費者の生活にも直接的な影響がおよぶ問題です。
トラック輸送事業を行う企業や荷主となる企業は、2024年4月までにさまざまな対策を講じて、「物流の2024年問題」による影響の軽減や解決を図っています。

車止めとワイヤーで固定されます

トラックドライバーの時間外労働削減や労働環境の改善などで注目されているのが、大型長距離フェリーなどの船舶による海上輸送の活用です。首都圏~北海道、関西~九州の国内4航路で運航している「さんふらわあ」は、各船舶とも120台以上の大型トラックを積載することができ、ドライバー専用の部屋や共有スペースを設けています。トラックを「さんふらわあ」に乗せて移動することで、その間ドライバーは運転する必要がなく、休息を取れるため、労働負担軽減や労働環境の改善に役立つのです。

メリット豊富な、海上輸送と陸上輸送の組み合わせへの転換「モーダルシフト」

トラックなどの自動車だけで貨物輸送を行っているものを、船舶や鉄道といった環境負荷が少ない輸送手段を組み合わせた輸送に切り替えることを「モーダルシフト」と言います。モーダルシフトについては、「大量の貨物も輸送する「さんふらわあ」。社会にも環境にもやさしいモーダルシフトでCO2削減に効果的!」の記事で詳しく紹介しています。

船舶を使った海上輸送のメリットは、一度に大量の貨物を載せて長距離運べること。安定した定刻輸送も可能です。また、エネルギー的なコストが低いほか、環境への負荷も抑えられるという特徴があります。
一方で、トラックなどの自動車での陸上輸送は、海上輸送に比べて速度や柔軟性に優れており、細かな物流網を構築することが可能です。

車両甲板内
トラックが積載される前の「さんふらわあ さっぽろ」の車両甲板。最大で大型トラック154台を積載できます。

海上輸送と陸上輸送を組み合わせることで、それぞれのメリットを活かした物流ネットワークがつくれます。最寄りの港まではトラックによる陸上輸送、港から港へは船舶による海上輸送、港から目的地までは再びトラックで運ぶという方法を取ることで、コストや速度、安定性、柔軟性などのメリットが期待できます。
ただし、目的や運ぶ貨物によっては、陸上輸送のみで行う方がメリットが大きい場合もあります。荷主となる企業は、海上輸送と陸上輸送の組み合わせによるメリットを活かせるかどうかを考慮して判断することになります。

物流業界の課題改善に挑む商船三井グループ

2023年10月1日、商船三井グループの商船三井フェリー株式会社と株式会社フェリーさんふらわあが事業統合し、株式会社商船三井さんふらわあが誕生します。これにより、フェリー10隻・RORO船(Roll-on Roll-offの略で、トラックや乗用車を自走で積み下ろしできる船)5隻を運航する、国内最大規模のフェリー・内航RORO船事業会社となります。
航路は、旅客と貨物を運ぶフェリー「さんふらわあ」が運航している大洗(茨城)~苫小牧(北海道)、大阪~別府、神戸~大分、大阪~志布志(鹿児島)の4航路のほか、RORO船が運航する東京~博多、東京~苅田(福岡)です(RORO船は途中寄港地あり)。フェリー・RORO船での海上輸送だけでなく、トレーラーを利用した海陸一貫輸送にも対応。
商船三井さんふらわあの誕生により、ひとつの会社で北海道から九州まで、日本を縦断した海上輸送と陸上輸送の組み合わせが可能になり、多彩なモーダルシフトを実現できます。

また、2023年1月および4月に大阪~別府航路に投入された新造船「さんふらわあ くれない/むらさき」は、フェリーとしては日本初のLNG燃料船です。LNG燃料船「さんふらわあ くれない/むらさき」は、重油のみの従来船と比べ、CO2を約25%、NOx(窒素酸化物)を約85%、SOx(硫黄酸化物)はほぼ100%排出削減する効果が見込める、環境に配慮した機関を採用しています。2025年には大洗~苫小牧航路にも2隻のLNG燃料船が就航予定です。
「さんふらわあ くれない」は、2023年6月に日本物流団体連合会による「第24回物流環境大賞」を受賞しています。

船体後部に設置されているLNG燃料タンク。
「さんふらわあ くれない」の後部に設置されているLNG燃料タンク。

「さんふらわあ」各船には、トラックドライバーがしっかり休息できるドライバー専用エリアが設けられています。ドライバー専用のレストランやドライバー仲間同士で談話ができる娯楽室などを備えた船もあり、運転の疲れを癒していただけます(船舶によって仕様が異なります)。
中でも、「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」には、ドライバー専用浴場にサウナを完備。心身ともにすっきりして翌日の運転に臨めると人気です。また、「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」「さんふらわあ さつま/きりしま」「さんふらわあ くれない/むらさき」のドライバーズルームは完全個室。ベッドやテレビに洗面台まで付いており、まるでホテルに宿泊しているかのように快適に過ごせます。
ドライバーズエリアの紹介は「トラックドライバーのお仕事に密着。「さんふらわあ」のドライバー専用エリアにも潜入!」の記事で詳しく紹介しています。

くれないのドライバー専用スタンダードシングル
トラックドライバーの皆さまからの人気が特に高い、新造船「さんふらわあ くれない/むらさき」のドライバーズルーム。

関西物流展に出展し、物流業界での認知度を向上

第4回関西物流展

2023年4月12日~14日にインテックス大阪で開催された「第4回 関西物流展」に、商船三井グループは共同で出展しました(商船三井、フェリーさんふらわあ、商船三井フェリー、さんふらわあエクスプレス)。展示会では、「モーダルシフト」の受け皿として物流業界のニーズに応え、社会と環境にやさしい輸送手段としての責務を果たす商船三井グループのフェリー・内航RORO船事業について紹介。LNG燃料船「さんふらわあ くれない/むらさき」の就航による注目度の高さも相まって、多くの物流関係者の方々に海上輸送を利用した「物流の2024年問題」への対策をご提案しました。

第4回関西物流展商船三井グループブース2

さまざまな輸送ニーズの変化に柔軟に対応し、一層の輸送サービス向上を目指して2023年10月1日に誕生する新会社商船三井さんふらわあ。国内で最大規模のフェリー・内航RORO船事業会社として海上と陸上の一貫輸送にも対応。国内物流のモーダルシフト推進や環境改善に向け、商船三井グループは新たな挑戦を続けてまいります。

物流の主要インフラでもある「さんふらわあ」。
「物流の2024年問題」解決のお役に立ちます。
首都圏~北海道航路「さんふらわあ」はこちら
関西~九州航路「さんふらわあ」はこちら
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