船の不思議船内1

もくじ

快適な船旅を楽しめる大型フェリーですが、あらためて考えてみるといろんな疑問が浮かんできませんか? 船に関するさまざまな「なぜ?」「なに?」「どうなっているの?」といった素朴な疑問に、「さんふらわあ」が答えるこのシリーズ。第1弾の今回は、船内の電気や水周りについてです。

Q1. 海に垂れ流し!?船内のトイレやお風呂などの排水って、どうしているの?

A. 船内に設置した排水を浄化処理する装置できれいに分解・消毒して船外排出しています。

皆さんのご家庭から出た排水は、下水道を通って下水処理場に運ばれ、水質をきれいにするバクテリア浄化装置などによって処理・消毒された後、河川や海に放出されています。
「さんふらわあ」船内にも同様の仕組みを取り入れており、バクテリアを活用して固形物をすべて分解し、塩素などで消毒してサラサラのきれいな水分だけの状態に処理した後で、海へと放出しているのです。

汚水処理装置
汚水処理装置のイメージ図。

なるほど!だからトイレにトイレットペーパー以外のゴミなどを流してしまうとダメなんですね。パイプ詰まりを起こすのはもちろん、浄化処理装置が適切に作動しなくなったり、処理されずに河川や海に放出されて自然を汚したりする恐れが出てきます。フェリーの中でも、誤って不要物を流すことのないよう気を付けましょう!

Q2. 大浴場やシャワーの水は、海水から造られるのか!?

A. 約500トンの飲料水を船底付近のタンクに蓄えて航海しています。

船は、船底付近に大きなタンクをいくつも持っています。バランスを調整するために海水を出し入れするバラストタンクなどはよく知られているところです。「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」には、約250トンの容量の清水(※せいすい)用タンクが2つあり、最大で約500トンの水を積載しています。

「さんふらわあ」の清水タンク位置
「さんふらわあ」の断面イメージ図。「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」の中は7階構造。5~7階は客室で、1~4階は車両甲板、1~2階にエンジンや燃料、さまざまな機関、清水タンクなどがあります。

一般家庭で1日に使う水の量は1人当たり約200リットルと言われていますので、おおよそ2,500人が一日中生活できる計算です。「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」の乗客定員は590名ですから、満員状態でも4日間は水の心配は不要です。
タンク内の水は一般家庭の水道水と同じ水なので、もちろん飲んでも大丈夫。レストランの調理、展望大浴場や個室のシャワー、トイレの水など船内の生活用水全てに使用されます。これらの水は、港に停泊中、岸壁に設置されている供給施設(給水栓)から清潔な専用ホースで補給されています。なんと、一般家庭で使う水と全く同じものだったんですね!
※船舶業界では真水(飲料水)のことを清水(せいすい)と呼びます。

Q3. 大浴場やシャワーのお湯って、どうやって沸かしているの?

A. 航海中は船のエンジンが排出する熱エネルギーを再利用してお湯を沸かしています。

船内で使用するお湯は、機関室内にある「カロリーファイヤー」という大きな湯沸かし器で清水を沸かしてつくられており、温度は約60度。温水循環ポンプを使用して船内各所へ供給されており、展望大浴場や客室のシャワーのお湯は、適温になるよう調節して供給されます。

カロリーファイヤーの熱源は、蒸気(さんふらわあ しれとこ/だいせつ)や熱媒油(熱い油)(さんふらわあ ふらの/さっぽろ)です。特に「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」の航海中は、エンジンから排出される排気ガスのエネルギー(熱)を利用して油を温め(排気ガスの通り道に、油が入ったパイプを設置して中の油を温めます)、燃料を節約し、CO2(二酸化炭素)排出量の削減に努めているのです。

Q4. 海の上なのに電気が使えるのはなぜ?

A. 船の中に発電装置があり、船内で電気をつくっています。

電子海図(チャート)やレーダーに代表されるように、現代では船の運航に必要なほとんどの機器が電気でも稼働する仕組みになっています。「さんふらわあ」のように大きな船の錨(アンカー)や係船索(ホーサー)などは非常に重たく、人力で扱うことは不可能です。また、フェリーのような旅客船の乗客が、船内で陸上と同じように快適に過ごせるのも、すべては十分な電力が供給されているからなのです。では、いったいその電気はどこからやってくるのでしょうか?
「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」の場合、電気をつくり出すディーゼル発電機3台、補助ディーゼル発電機1台、軸発電機2台、非常用発電機1台の合計7台のうち、非常発電機を除く6台をエンジンルームに搭載しています。これら、ディーゼル発電機1~2台と軸発電機を駆動させて、通常航行中に使用する電力(1000~1500Kw/h)をまかなっています。

・重油を燃料にして稼働するディーゼル発電機
ディーゼル発電機は、ディーゼルエンジンを使って発電機を動かして電気を発生させる装置です。2台で十分な電力供給が可能ですが、万が一トラブルにより停止した場合でも、ブラックアウト(停電)状態から速やかに復旧できるよう、3台目の発電機が瞬時に自動で動く仕組みになっています。

発電機
写真中央に見えるのが、発電機原動機(ディーゼル機関)。その手前にある四角い装置が発電機。

・プロペラの回転を補助するモーターにもなる軸発電機
船尾にあるプロペラが回転することによって、船は進みます。主機(メインエンジン)でプロペラ軸を回転させ、その先についたプロペラを回しているのですが、プロペラ軸には軸発電機が取り付けられており、軸の回転エネルギーを発電に活かすことができるようになっています。軸発電機でつくられた電気は、ディーゼル発電機によってつくられた電気と同様に、船内電力の一部として利用されます。
また、軸発電機はプロペラ軸の回転を補助する加勢モーターとしての役割も果たします。ディーゼル発電機からの電力供給を受けてモーターを動かすことで、メインエンジンの負荷を軽減させ、排気ガス削減に寄与します。

加勢モーターは、電動アシスト自転車のモーターが、ペダルをこぐ力を軽減できるように、メインエンジンのアシストを行います。

非常用発電機は、ディーゼル発電機が4台とも使えなくなった場合に使用し、運航に最低限必要な電力を供給する役割を果たします。船の安全を確保するため、決して電力供給を止めることの無いよう、二重三重のバックアップ体制が整えられているのですね!

水や電気を中心に船内の不思議を紹介してきましたが、その快適さを強く実感するのは客室でテレビを見ていたり、大浴場の湯船で手足を伸ばしたりと、船内でリラックスしているタイミングではないでしょうか。そんな快適な船内空間はAC(アテンダントクルー)の仕事によるものでもあります。乗船されたお客さまに喜んでいただけるように働くACたちの普段の様子は↓でご覧いただけます。

快適な船旅を提供する「さんふらわあ」ですが、「いつからあるの?」という質問には↓の動画がぴったり。「さんふらわあ」の歴史や2023年誕生の新型フェリーをご紹介しています。

いかがだったでしょうか。皆さんが感じていた、「さんふらわあ」の電気や水周りの不思議は解明されましたか?
第2弾以降も引き続き、船に関する素朴な疑問に「さんふらわあ」が答えていきますので、お楽しみに!!

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