船の専門家が回答!船員についての「なぜ?なに?」~船員編~

もくじ

快適な海の旅を楽しめる「さんふらわあ」ですが、あらためて考えてみるといろんな疑問が浮かんできませんか? 船に関する「なぜ?」「なに?」「どうなっているの?」といった疑問に、「さんふらわあ」が答えるシリーズ。今回は、「さんふらわあ」の乗組員についての質問にお答えします。

Q1. 「さんふらわあ」には、どんな仕事をする人たちが乗っているの?

A. 船長をはじめ、航海士、機関士、甲板手、マネージャー、司厨長、アテンダントクルーなどが、各担当の仕事を行っています。

乗組員は大きく分けて、甲板部、機関部、事務部の3部門のいずれかに所属しています。

「さんふらわあ」の乗組員組織図
運航業務上、上下関係がしっかりしていて、命令・指示系統が確立しています。

船長
船の最高責任者。船の操船および指示のほか、乗組員の管理・監督業務を担います。安全に運航する責任がありますから、乗組員や場合によっては乗船客に対しても命令を下すことができるよう、法律によって強い権限が与えられています。
優れた操船技術と船に対する十分な知識を持ち、リーダーシップやコミュニケーション能力も兼ね備えているのが船長です。

■甲板部

船を安全に航行させるため、交代制でワッチと呼ばれる航海当直業務(見張りや操船など)を行います。
一等航海士、二等航海士、三等航海士が乗船しており、それぞれ国家資格である「海技士(航海)」を取得しています。

航海士
一等航海士は、船長のサポート業務や出入港時や荷役(貨物の積みおろし)の作業指揮などを行います。二等航海士は、海図の記入や航海計器および救命設備などの備品の管理。三等航海士は、船内の衛生管理や航海日誌の記入などを担当します。

甲板部員
船長および航海士の指揮により、見張りや舵取り、甲板機器の整備などを行います。甲板長、甲板手(操舵手)、甲板員(セーラー)がいます。

■機関部

船が進むためのプロペラを回す動力となるメインエンジンのほか、発電装置や電気系統、ボイラー、空調設備など、「さんふらわあ」船内のさまざまな機械の管理を担当し、安全で快適な航行ができるように整備を行います。
機関長、一等機関士、二等機関士、三等機関士が乗船しており、それぞれ国家資格である「海技士(機関)」を取得しています。

機関長
機関長は機関部の責任者です。エンジンや電気などの豊富な知識と、長年の経験で蓄積した技術やノウハウを持って、各機関士へ指示を出し、船の安全を守っています。

機関士
メインエンジン、発電機や操舵機、空調設備や電気系統など、各職それぞれの担当機器をメインに、管理、点検、整備を行います。限られた人員なので、横断的にどの機器でも助け合いながら点検や整備を行っています。

機関部員
機関士の指揮により、エンジンの点検や整備、修理などを行い、操機長、操機手がいます。「さんふらわあ」では、三等機関士が操機手の役割を担うケースもあります。

■事務部

事務部は、お客さま対応や船内の事務業務全般、売店やレストランの運営、売り上げの管理などを行います。

マネージャー
事務長であるマネージャーは、旅客サービスやお客さまの安全確保、乗組員の勤務体制管理、売上管理など、船内の事務全般のマネジメント業務を統括する責任者で、「さんふらわあ」の支配人です。

司厨長
厨房やレストランを統括(火の元管理)する司厨長は、マネージャーの補助も行います。

アテンダントクルー
接客業務がメインのアテンダントクルー(AC)は、乗船時にお客さまをアテンドするほか、客室案内、船内放送、売店商品の販売、在庫管理、納品、発注、レストランでの接客、清掃後の点検など、お客さまサービス全般を担当します。さっきまで売店のレジにいた人が、数分後にはレストランで接客している、といったこともよくあります。

司厨手、司厨員
船内レストラン(一般のお客さま用)で提供する食事と乗組員の賄い食を、ギャレー(調理場)でつくる仕事です。

Q2. 「さんふらわあ」には何人の船員さんが乗っているの?

A. 30名くらいのスタッフが乗船しています。

船の大きさ(総トン数)や旅客の搭載人員数、船を動かすエンジンの出力などによって、乗船しなければならない人数が法律で決められています。それぞれ必要な役割を果たし、船を安全に運航するために欠かせないスタッフが乗船します。
商船三井さんふらわあが大洗港~苫小牧港間で運航している「さんふらわあ」の場合、夕方便である「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」(旅客定員590人)は27人、深夜便である「さんふらわあ しれとこ/だいせつ」(旅客定員154人)は21人が法定の最低人数です。しかし、実際にはどの船にも30人前後のスタッフが乗っています。また、乗船されるお客さまが増える繁忙期には、お客さまに快適なサービスを提供できるよう、さらに人数を増やして対応することもあります。
「さんふらわあ さっぽろ/ふらの」の場合、船長1人、甲板部10人程度、機関部7人程度、事務部12人程度といった構成です。

Q3. 船員の方の制服は、人によって肩の線の数が違っていますが、何を意味していますか?

A. 線の数は等級を表しています。船長は4本です。甲板部、機関部、事務部で色が異なります。

「肩章(けんしょう)」という階級章で、金色の刺しゅう線(金筋)の数は図のように決まっています。

これは、国際的に決まっている船舶ルールなので、どのフェリー会社でも同じ。フェリーに限らず、外航コンテナ船やタンカーなどでも一緒です。
冬服(長袖のジャケット)には、袖部分に「袖章」が付きます。
なお、飛行機の操縦士の肩章・袖章も4本線です。これは、船長の4本線が基となっているため。副操縦士は3本線です。

Q4. 真夜中でも船は動いていますが、船員さんの勤務体系ってどうなっているの?

A. 安全な航行のために、交代制で対応しています。

船を安全に航行させるのは航海士の重要な仕事です。真っ暗な夜中でも、海上があれている場合でも、「さんふらわあ」の航海士たちは4時間おきの交代制で、見張りや点検の航海当直業務を行っています。“パーゼロ・ゼロヨン・ヨンパー”と呼ばれる20時~0時・0時~4時・4時~8時の時間割です。船が進行する航路上に障害物や他の船がないか、機関に問題が発生していないかなどを、夜を徹して確認し、お客さまの安全を確保しています。
ちなみに「さんふらわあ」の乗務員は、20日間連続して乗船勤務し、10日間連続して休暇を取るという勤務体系を基本としています。乗船勤務中は自宅に帰らず、寝泊まりは船内。港に停泊している間も船内で荷役作業や機関整備作業、客室清掃作業や厨房での仕込み作業などの次にご乗船されるお客さまの受け入れ準備、といったさまざまな仕事を各部門で協力、分担して行っています。

乗組員のことがわかっていただけましたか? 乗組員全員が安全な航海とお客さまの快適な船旅を願い、乗船して一生懸命業務にあたっています。
今度「さんふらわあ」に乗船されたときには、ぜひスタッフにも注目してみてください。
また、公式Youtubeチャンネル「さんふらわあだいありー」では、船内のウラ側や船員たちの仕事ぶりなどを動画で紹介しています。合わせてご覧ください!

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