水鏡
水田の春は忙しい。田起こしに水入れ、代掻きと田植えの準備を進める中で、表情が大きく変わる。
代掻きが終わってからの数日間、大きな水たまりのようになった水田は、風のない日には鏡のようになり、列車と空が映し出される。
大きな空がひときわ大きくなるとき。
間もなく忙しい田植えが始まる。
爽やかな夏の日
時には暑く感じる夏のころ。大地は緑に染まり、野外活動にも最適な季節。晴れれば心も踊るよい季節。北の大地はカラッと乾燥し、吹く風が心地よい時期だ。
晴天のこの日、青空はどこまでも広がり、大地の彩りもいつもに増して美しい日であった。
夏の北海道は、快適です。
湧雲
暑かったこの日。湿度もあがり北海道らしくない、快適とは言えない一日だった。
夕刻、東の空には大きな雲が湧き立ち、空を覆うばかりとなった。西日を浴びて走る列車の後ろにそびえ立つ山並みのようだった。
秋に駈ける
あんなに暑かった夏が終わり秋になると、一雨毎に気温が下がり、季節はどんどん進んで行く。
そして落葉松が色付くと秋は終わり、冬が近い。
ストーブやスタッドレスタイヤの広告が溢れ、冬支度を急かされる。
傾いた秋の低い夕日に照らされ、札幌への特急列車が高速で駆け抜けた。
急げ、冬はすぐそこだ。
夕暮れ
家路へ急ぐ列車の頭上には、大きな空。
日が傾くにつれて白い雲は茜色になり、青空は刻々と色を変えていく。
さあ、トワイライトタイムショーの始まり。
今日はドラマチックな色合いが楽しめそうだ。
シバレタ日
凍てつくような寒さとなったこの日。夜から夜明けにかけて雲がなく快晴となり、地表の暖かい空気が上昇する放射冷却が起きて冷え込んだからだ。
あまりの寒さで顔や手足が痛くなるので外には出たくなくなるが、このような日の空はどこまでも高く澄んだ色を見せ、美しい。
気候の厳しい日こそ、絶景が広がる。
日没
太平洋岸に走る日高線。西向きに展望が開く沿線では、車窓から夕陽が望める絶景路線でもある。
しかし災害で線路が被害を受け、2015年夏からこの撮影地には列車が運行されていない。自然は美しい光景を魅せてくれるが、時には人間には太刀打ちできない猛威を振るい、試練を与える。
大海原に落ちる夕日を背に、厚賀川に掛かる鉄橋を臨むこの絶景は、今も変わることなくそこにある。
ただ、列車は来ない。
丸山裕司(まるやまゆうじ)/鉄道写真家
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