〔現在の仕事内容〕
現在は海上人事チームに所属し、海上職の人事・労務に関する業務を担当しています。具体的には、乗船・下船時のフライト手配や各種ビザ・乗船に必要な免状の申請・管理、研修の案内・調整、乗船中の日本人船員への連絡・オンライン面談など、海上で働く社員を陸上から支える役割を担っています。
特に女性海上職社員の相談窓口として、勤務環境やライフプランに関する悩みを聞き、必要に応じて配乗や勤務形態の調整につなげることも大切な仕事です。海上での機関士経験を生かしながら、人事の立場から現場を支えています。
幼い日の“フェリー体験”がすべての原点。
船と機械に魅せられ、機関士への道へ。

船との出会いは、小さい頃にフェリーに乗った経験でした。その時に「船っておもしろい」と強く印象に残り、自然と船に関わる道を意識するようになりました。機械系の分野も好きだったことから、「船」と「機械」の両方に関われる機関士という職種は、自分にとってごく自然な選択でした。その思いを形にするため、大学ではマリンエンジニアリング学科に進学し、いわゆる「船の機関士になるための学科」で学びました。
就職活動でも、第一志望は一貫して「船に乗る機関士」でした。一般的な陸上エンジニアではなく「船の上で働くこと」にこだわり、軸は常に「船」に置いていました。その中でも、より大きな船・大きな機関を扱える外航船の海運会社を中心に見ていました。
大手外航3社の説明会にはすべて参加しましたが、その中で商船三井を選んだ決め手は、社員の方々の雰囲気でした。経営層に近い方と若手社員が一緒に登壇した場面では、上司が若手をきちんと見守り、適切に指導しながらも、場の空気は和やかで笑顔が多い。そのやり取りを見て「この会社なら自分も安心して成長していけそうだ」と感じ、人の魅力と会社の雰囲気に惹かれて志望を固めました。
商船系大学出身ということもあり、在学中から練習船での乗船実習を重ね、内定後に商船三井の運航船に乗船する機会がありました。「乗船実習科」の学生として、内定後の乗船も含め合計で約1年間の乗船履歴を経験。10月に入社後、3級海技士(機関)の試験に合格し、その年の12月には次席三等機関士として最初の船に乗船しました。その後、三等機関士、二等機関士、次席一等機関士としてさまざまな船を経験。入社9年目に現在の人事部に異動しました。
三等機関士から次席一等機関士へ。
多様な船で磨いた経験を海上人事に活かす。

機関士として海上勤務をしていた頃は、主にエンジンや発電機などの機関設備の整備・運転・点検に携わってきました。大きな機械をチームで分担しながら計画どおりに安全に整備をすすめ、性能や状態を改善できたときの達成感は、この仕事ならではの面白さです。
手順書はあるものの、注意すべきポイントや作業の「勘どころ」は経験から学ぶ部分も多く、先輩方から受け継いだ知恵に自分なりの工夫を加えながら、より効率的で安全な方法を模索してきました。
現在の海上人事チームでの仕事は、そうした現場経験を背景に、海上職の社員たちが安心して働ける環境を陸上から整えることです。乗船・下船に伴うフライト手配やビザ、各国の免状更新などの実務に加え、乗船中の日本人船員とオンラインで面談を行い、メンタル面のフォローに携わることもあります。
特に女性乗組員は1隻に数人というケースもあり、同じ立場の誰かにしか話しづらい悩みもあります。その受け皿として相談を受け、必要に応じたサポートを行っていくことは、大きなやりがいがあります。育児休職や陸上勤務への切り替え、海上復帰といった多様な選択肢を、「船に乗りたい」と思う人が性別に関わらず挑戦し続けられる環境づくりに貢献することも大切な仕事です。
海上勤務と陸上勤務では仕事の進め方や判断の軸が異なる場面もあり、人事部着任当初は戸惑いもありましたが、多くの部署と関わりながら多角的に「陸上から見た海上職社員の姿」を学べていることは、自分自身の視野を広げる良い機会になっていると感じています。
女性機関長を目指しつつ、
「船に習熟した人材」としてキャリアを広げたい

今後のキャリアとしては、まず海上勤務に戻り、一等機関士としての経験を積んだうえで、最終的には機関長を目指したいと考えています。船長が船全体の責任者だとすると、機関長は機関部の最高責任者として、船を前へ進めるために必要不可欠なメインエンジンを常に最良の状態に保ち、安全運航を支える要となる存在です。
当社にはまだ女性機関長はいませんが、先輩の女性機関士がすでに一等機関士として活躍されています。その背中を見ながら、自分も機関長を目指してその次に続いていきたいという気持ちがあります。
将来的には陸上でのキャリア展開にも興味があります。人事部だけでなく船舶管理を担当して船の運航・保守を陸から支える仕事や、技術研究所のような技術系部署で、機関士としての現場経験を生かしながら新しい技術の導入・検証に携わる可能性もあると感じています。
最終的には「機関士」という枠にとどまらず、「船に習熟した人材」として、海上・陸上の両方で価値を発揮できるキャリアを築いていきたいです。船を動かす現場とそれを支える仕組みの両方を理解していることが、自分ならではの強みになるよう、これからも経験の幅を広げていきたいと思っています。
