
船の大きさってどれくらい?
どんな燃料で進んでいるの?
知っているようで意外と知らない
船の豆知識をご紹介します。

船の燃料の歴史と未来
船を用いる海運は古来より続いてきた歴史ある輸送手段のひとつです。近代化に伴い燃料を見直すことで輸送能力の向上が図られてきましたが、現代では環境負荷低減に向けた取り組みが加速しています。ここでは燃料の変遷を見ていきましょう。



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船を動かす力の源として燃料が使用される以前、船の主な動力源は“風”でした。15世紀にはスペインやポルトガルを中心に、キャラック船と呼ばれる大型の帆船が建造されるようになり、1492年にはコロンブスが「サンタマリア号」で大西洋横断を果たします。また、1519年から22年にかけてマゼラン艦隊の「ビクトリア号」が世界一周を達成するなど、風を推進力とする帆船が発達し大航海時代が幕を開けたのです。
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1800年代に入ると、産業革命により蒸気機関が発達し、石炭を燃料とする蒸気船が徐々に普及します。1807年には外輪式の蒸気船「クラーモント号」が、ハドソン川のニューヨークとオルバニー間で乗客を乗せた営業航海を開始しています。商船三井は黒船来航から25年後、1878年に当社初の蒸気船「秀吉丸」を竣工させ、三池炭鉱で産出される石炭の輸送を行っていました。
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1900年代に入ると船の燃料は石炭から石油へと転換していきます。石油は石炭よりもエネルギー密度が高く、より多くのエネルギーが同じ容量から得られます。そのため船内の燃料貯蔵庫を小さくして荷室を広げることが可能となり、さらに石炭の積み込みやボイラーへの投入に必要な船員を削減することも可能になりました。1950年代以降は舶用重油と呼ばれる、石油精製の過程で発生する残渣を中心とする燃料が普及し、現在に至るまで多くの船の燃料として使用されています。
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舶用重油は安価で利便性の高い燃料ですが、エンジンで燃焼させると硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)をはじめとする大気汚染物質、CO2などの温室効果ガスが発生してしまいます。そのため自動車の排気ガス規制と同様に、海上でも船舶の排気ガス規制が段階的に強化されてきました。船舶のゼロ・エミッション化に向けて、海運業界や造船業界では、新たな次世代舶用燃料を使用できるようさまざまな取り組みを行っています。
いま再び風の力で地球の未来に挑む
ウインドチャレンジャー

ウインドチャレンジャー
「ウインドチャレンジャー」は、帆を利用し、再生可能エネルギーである風力を船の推進力に活用します。帆の設置により、風力を直接推進力としてプラスすることで、スピードを変えることなく、化石燃料の使用量を抑えることができます。帆の設置、つまり、かつての帆船の技術を、現代の最新技術により最大進化させ有効活用することで、大型貨物船の燃料消費を抑え、GHG排出量を大幅に削減します。
ウインドハンター

ウインドハンター
「ウインドハンタープロジェクト」とは、「ウインドチャレンジャープロジェクト」で活用される洋上風エネルギーを用いた帆の技術と、風エネルギーで造った水素による安定エネルギー活用技術を組み合わせた事業です。本プロジェクトの推進により、ゼロエミッション船の運航や陸上消費向けの水素供給を検討しており、脱炭素・水素社会の実現に貢献することを目指しています。
船の大きさってどれくらい?
「大型商船」と呼ばれる船の大きさは、東京タワーや東京駅と同じくらいの長さです。
また、船の一番底からファンネルの先端までは約65mで、18階建てビルに相当します。


何人の乗組員で動かしているの?
ここまで見てきたように、巨大で大量の貨物を輸送する商船ですが、実際に運航を行う乗組員は約20人~25人。
船の上ではどのような仕事をしているのかをご紹介します。

※ 船の種類や契約形態によって乗組員の数は異なるものの20~30人程度が主流となっている

巨大な船舶を巧みに操り安全に荷物を届ける
甲板部
●航海士(一等〜三等)、甲板手など
主な業務
操船・航海当直/航海計画/貨物管理/船体整備/船外との通信




巨大なエンジンを操り良好な運航を維持する
機関部
●機関士(一等〜三等)、操機手など
主な業務
操船・航海当直/航海計画/貨物管理/船体整備/船外との通信




乗組員の生活を支える
事務部
●事務部員ー司厨手
主な業務
乗組員の食事作り


