公益信託 商船三井モーリシャス自然環境回復保全・国際協力基金:サンゴ礁研究に関するプロジェクトの研究発表会を開催

2022年12月8日(木)、公益信託 商船三井モーリシャス自然環境回復保全・国際協力基金(以下、「基金」)(註1)の助成を受ける国立大学法人静岡大学(以下、「静岡大学」)は、共同研究機関のモーリシャス大学(以下、「UoM」)と共に、「海洋温暖化におけるサンゴ礁」に関する最新の研究発表会をUoMにて開催しました。

当日は、静岡大学カサレト・ベアトリス・エステラ特任教授、鈴木款特任教授、藤原健智教授等の研究者、ならびにUoM理学部ボウォン・ミヌ学部長、バゴーリ・ランジート博士、カウリシング・ディーピーカ博士他多くの教育機関関係者に加え、ブルーエコノミー・漁業水産省ディレクター、クンジュル・ミーラ・サティシャンドラ氏、在モーリシャス日本国大使館職員など、総勢約100名が参加しました。

本研究発表会では、モーリシャスのサンゴ礁も世界各地のサンゴ礁と同様に、温暖化や人間の活動による影響を受けているが、サンゴが環境に適応し、サンゴ礁自身が回復するメカニズム等の最新の研究成果が報告されました。(註2)

参加者からは、科学的知見に基づく今回のような研究発表会は、多くのステークフォルダーに最新の情報を共有するにあたり効果的で、本基金による共同研究の有意義性や、今後の活動内容に期待を寄せる声が多く聞かれました。

当社は、今後も、基金による助成を通じ、サンゴ礁の保全など、モーリシャスの環境保護に向けた活動への支援を続けていきます。

発表を行うカサレト・ベアトリス・エステラ特任教授。(正面左)
研究発表の後には参加者同士の交流の場も持たれました。

(註1) 認定特定公益信託「公益信託 商船三井モーリシャス自然環境回復保全・国際協力基金」の詳細については、以下ウェブサイトをご参照ください。
公益信託商船三井モーリシャス自然環境回復保全・国際協力基金 (mol-mauritius-fund.jp)

(註2) 当日発表された研究成果の概要

  • カサレト・ベアトリス・エステラ特任教授(プロジェクトリーダー)より:ハマサンゴによくみられるピンク色の変色は感染症ではなく、塩分の低下や海水温の上昇等の環境要因で発生するものであり、サンゴ自身が酸化ストレスから身を守るための色素タンパク質の色である。このタンパク質は組織全体に遍在し紫外線や強光ストレスを軽減するサンゴの防御反応のひとつと考えられる。またサンゴは褐虫藻からの光合成産物の供給以外に0.002mm以下のサイズのプランクトンを捕食して有機物を摂取しているが、白化したハマサンゴは枝状サンゴと比較して高水温下でのプランクトンの摂取量が多いことがわかり、より高温ストレスに強い可能性があることを報告。
  • 鈴木特任教授より:サンゴの温暖化等の環境への適応にあたり、ストレス下で生成する様々な化学物質(蛍光タンパク質やグリセロール等)がサンゴのストレス下での生命維持を支えていることを報告。
  • 藤原健智教授より:ハマサンゴにおいて抗酸化物質であるアスタキサンチンを生産する特殊な微生物の存在を確認し、これがサンゴの健全性の維持をしていることを報告。
  • バゴーリ・ランジート博士より:褐虫藻の光合成能力を測定する機器を紹介。

【商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、事業を通じて優先的に取り組むべき社会課題として特定した「サステナビリティ課題」への対応を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献します。
本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Environment 海洋・地球環境の保全」「Human & Community 人の活躍と地域社会の発展」にあたる取り組みです。

PAGE TOP