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社外取締役からのメッセージ(2013年)

松島 正之
取締役
(ボストン コンサルティンググループ シニア・アドバイザー)(肩書きは当時のもの)

 商船三井の社外取締役に就任して、2年が経ちましたが、就任前にイメージしていた「世界の海運をリードする企業」との認識に今も変わりはありません。歴代経営陣の強力なリーダーシップ、ベストソリューションに向けた果敢な行動、非常に風通しのいい企業文化、社員が真摯に仕事と向き合う様は、むしろ就任前のイメージを超えるものです。
そうした商船三井ですが、近年にない海運不況下で非常に厳しい航海が続いています。ドライバルク、タンカー、コンテナなどの海運市況が一度に低迷するような状況は、言わば大嵐と竜巻が同時にやってきたような印象を受けます。社外取締役の立場にあっても、市況の長期低迷に対峙しなければならない現場のご苦労がひしひしと伝わってきます。それでも、海運業界のリーダーたる商船三井は、果敢に舵を切り、前進を続けています。

リスクから退くのではなくて、リスクという風に対し「風に向かって、風とともに」ある、というのが経営です。

 当面する市況にどう対応するかは極めて重要な問題ですが、同時に海運業のあり方をもっと長い歴史の中に置いて見つめ直す好機でもあると思います。オイルショックやプラザ合意、海運同盟の崩壊など、外部環境の変化によって商船三井は常にその競争力改善を余儀なくされ、二度にわたる海運集約など、大規模なリストラを行いながら生き抜いてきました。将来、今回のような不況もあるでしょうし、同様に好況もあるでしょう。このようなボラティリティの高い経営環境の中で、商船三井が常に学び、常に考えておくべきこと、それはリスクを「リスク」としてどう認識し、そのリスクをいかにコントロールしていくかであると、私は考えています。
もちろんこれまでも、商船三井は財務体質改善や船隊整備など、外部環境の変化に応じた経営施策を打ってきましたが、どのようなことが起こっても商船三井を沈没させないためには、リスクから目を逸らさず、真正面からこれに取り組んでいく覚悟が必要です。
海運業界が抱えている大きなリスク自体は変えられない性質のものです。世界的な景気動向の問題や船腹供給の問題など、大きな流れの中で発生するリスクが常に存在しています。このリスクに真剣に取り組まないのであれば、海運事業を続ける意味はないとすら思います。常にあるリスクを正しく把握し、どのようにそのリスクと向き合っていくのか、全社的な目線で常に考えなければならないのです。
例えば、現状フリー船の規模圧縮を図っていますが、それならば、ひたすらフリー船の規模を縮小し、中長期契約の比率を上げていけさえすれば良いかと言えば、それはそうではないでしょう。安定収入と機会費用とのバランスを考える必要があります。リスク許容度を念頭に置きながら、今ある船隊ポートフォリオをいかにマネジメントしていくか。船隊ばかりではありません。市況はどの船種も同じ方向に動くのか、反対方向に動くものはないのか、あるいはどの船種はどの位のタイムラグがあるのか、あるいはまた中立・独立的なのか、というように船種ごとに直面している市況の性質が異なるため、リスク感応度が異なる点を考慮しなければなりません。
リスクを避けるため、全てヘッジするのであれば、それは経営とは言えません。リスクから退くのではなくて、リスクという風に対し「風に向かって、風とともに」ある、というのが経営です。海運は、その風の吹き具合の差が途轍もなく大きいのです。この点を、全社的に共有することがとても大切です。不況の時だけでなく、好況の時にも収益極大化とリスク許容度について、たえず感覚を研ぎ澄ましていくことが求められます。
商船三井は、今回、大出血しました。市況リスクをどう捉え、それを経営にどう取り込んでいくか、その教訓をしっかり胸に刻んでいかなければなりません。

商船三井に期待することは、これからさらに一段と質・量の両面で深化した、真のグローバルな企業になってほしいということです。

 今回の大治療により黒字化を実現した後の商船三井に期待することは、これからさらに一段と質・量の両面で深化した、真のグローバルな企業になってほしいということです。既にグローバル化は相当程度進んでいますが、それでもなお更なるグローバル化の余地は残されていると思います。その中でも特に、アジアの著しい成長を捉えていくべきだと思います。これまでもコンテナ船は香港に、タンカーの多くはシンガポールに拠点を移すなど、アジア・シフトを行ってきました。今回の改革で、ドライバルクのフリー船ビジネスもシンガポールに移管しました。営業の側面だけでなく、例えば船員に関しても、フィリピンを中心に様々な国からの人材活用が進んでいます。今後は、各拠点の整備拡充ということではなく、アジア全体で一つの有機的な大商圏を構築していくことが望ましいように思われます。アライアンスの積極化、人材の交流、営業面の内外連携強化、さらにビデオ・コンファランスの活用など、ありとあらゆる手段を尽くす価値があります。
企業である以上、利益追求が大きな目標とはなりますが、利益規模だけではなく、様々なステークホルダー間のバランスが適切に保たれているか、また、情報が的確に開示されているか、ということも非常に重要です。さらにまた、5年、10年後の社会に求められる企業の役割や責任という面にも考慮しなければなりません。このようなポイントを踏まえて、商船三井の発展にいささかなりとも貢献できればと考えています。

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