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コーポレートガバナンス

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担当役員からのメッセージ(2014年)

高橋 静夫
常務執行役員(肩書きは当時のもの)

“ 規律と同時に成長のダイナミズムをもたらす、透明性の高い経営基盤を作り上げていきます”

成長のダイナミズムを支えるコーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスには、社会規範や企業倫理に則した経営を行い、リスクを排除するという「守り」の側面と、収益機会を追求する過程で正しく潜在リスクを評価し、取るべき合理的なリスクについては積極的に取り企業価値を最大化していくという「攻め」の二つの側面があると当社は考えます。分かりやすく言えば、規律をもたらすガバナンスと成長のダイナミズムをもたらすガバナンスの両輪があってはじめて、企業は顧客、株主、取引先、従業員、地域社会といった多岐にわたるステークホルダーの信頼を得て、事業活動をサステイナブルに行うことができるのです。
 当社は2002年に至る5年間に経営体制を大きく改革し、社外取締役の招聘、執行役員制度の導入など、当時の日本企業としては先進的でかつ透明性の高いコーポレート・ガバナンス体制を整えました。今はその収穫期にあると言えますが、現在に至るまで改善と進化を続け、企業価値の向上に努めています。
 数次にわたる中期経営計画の遂行を通じて実現してきた成長は、その成果です。また2011~12年前後の逆風の経営環境を乗り越え、2012年の事業改革を経て成長軌道に回帰することができたのも、コーポレート・ガバナンスが適切に機能していたが故であると評価することができます。
 とは言え、リーマンショック以前の市況高騰時に過度な市況エクスポージャーを積み上げてしまったこと、自動車船輸送に関するカルテル行為が存在したことについては深い反省が必要であり、新中期経営計画「STEER FOR 2020」でトータルリスクコントロールとコンプライアンスの強化を最重要課題として取り上げ、全社一丸となってその実践に取り組んでいます。

競争力の源泉としての安全運航

当社がグループ企業理念に掲げているように「安全運航を徹底し、海洋・地球環境の保全に努める」ことは私たちの事業活動の大前提であり、安全運航の徹底にはゴール(到達点)はなく、改善に向け不断の努力を傾けていかなくてはならないということは当社グループ全員の共通認識です。この観点から当社は、社長を委員長とする安全運航対策委員会を設置し、安全運航に関わる重要案件をトップが自ら率先して検証・議論しています。
 一方で、安全運航の徹底はそのまま私たちが顧客に提供するサービスの品質にも直結します。このため当社は、「4ゼロ(フォーゼロ)」(重大海難事故、人身事故、油濁による海洋汚染事故、重大貨物事故を起こさない)を恒久的な目標として掲げ、労災事故発生件数、運航停止時間、運航停止事故率といった、業界の標準的な客観的指標(KPI) をモニターすることによって「見える化」を図り、ステークホルダーに当社の輸送品質の実態を積極的に開示することによって、顧客に選ばれる船会社となるよう努めています。
 今後、中期経営計画「STEER FOR 2020」でLNG船輸送・海洋事業に注力していくにあたり、顧客や社会からの安全運航に対する要求水準はますます高まり、その実力の差がマーケティング上の強力な差別化要因になるものと予想されます。当社は今日まで培ってきた実績に甘んじることなく、安全運航を常に究極のコア・コンピタンスと位置付け、LNG船事業拡大に伴うヒューマンリソースの確保においても積極的に優秀な海・陸要員の確保と育成を進め、顧客から選ばれる会社になることを目指します。

世界的な環境規制強化はビジネスチャンス

国際海運の世界では、21世紀は環境規制の時代と言われており、地球温暖化防止、生物多様性の維持、海洋・大気保全のための環境規制が順次導入されます。当社はこれらの環境規制に着実に対応していくとともに、当社の育んできた「地に足の着いた」環境技術とノウハウを活かし、規制をむしろビジネスチャンスと捉え、競争優位を確保し、成長へとつなげていこうと考えています。このため「船舶維新」プロジェクトを発足させ、環境技術の導入目標を定め、着々とその実現に向けて取り組んでいます。例えば2012年に竣工したハイブリッド自動車船「EMERALD ACE」は、製品のライフサイクル全体での環境負荷低減に取り組む自動車メーカーから高い評価を得ています。

本業を中心に据えた社会貢献、そしてグローバルな価値観の共有

社会貢献については、事業領域とシナジーのある貢献活動を中心に進めています。例えば、当社の船舶の乗組員の過半数はフィリピン人が占めていますが、フィリピンは台風の進路上に位置し、しばしば災害に見舞われます。こうした際には現地で速やかに災害救援活動を行い、支援物資や生活再建のための資金の提供を通じて復興を後押しします。また、ソマリア周辺海域の海賊問題に関しては、国連開発計画による支援プロジェクトに参画し、ソマリア国内で若者が健全な就業機会を得られるように、陸上の社会インフラの整備を通じて問題解決に向けて取り組んでいます。今後成長が期待されるアフリカ諸国に対しては、海上輸送の特色を活かして、学校で使用する机や椅子の無償輸送や移動図書館の輸送への協力など、地道な活動を続けています。こうした取り組みは長い目で見れば当社の持続的成長の礎になり、またこれらを通じて、全世界の当社グループ従業員は、我々の事業活動が海上輸送を通じた民生の向上に貢献していることを実感することもできます。
 また、グローバルに展開する企業として、普遍的な価値観を共有し、当社がそのような価値観に基づいて行動する企業であることを示すことは大切です。その一環として、当社は2005年に国連が提唱する「グローバル・コンパクト」にいち早く参加し、「人権・労働・環境・腐敗防止」の4分野にわたる10の原則の支持・実践に努めてまいりました。

チャレンジ精神がMOLのDNA

 以上で述べてきたガバナンス、安全運航、CSR・環境に関する考え方は、当社が130年に及ぶ歴史の中で培ってきた企業文化に基づいていますが、その中でも当社のDNAになっていると私が考えるのは、「飽くなきチャレンジ精神」です。サステイナブルな企業活動を可能にしているのは弛まぬ挑戦である、という考えです。サステイナブルであり続けるためには目標を高く掲げ、常に挑戦し続けていく必要があります。合理的なリスクであれば、積極的にリスクを取っていくことも、サステイナブルであるためには不可欠です。
 「STEER FOR 2020」では、市況エクスポージャーを大きく減らすとともに、LNG船・海洋事業を中心に長期安定利益を追求する方向性を打ち出しています。全社で7,000億円もの巨額の資金をLNG船と海洋事業に傾斜配分する意思決定は、すぐれて挑戦的な決断だと言うことができます。
 しかしこうした決断は、当社がガバナンスの重要な構成要素であると考えるビジネスインテリジェンスの成果物に基づいて行われています。全社員が、足で集めた現場の情報をはじめ、様々な角度から収集した情報を知恵を絞って分析し、この結果について、社外役員を含む経営陣が検討を加え、議論を深めました。定量的・定性的なリスク評価を含むこのようなガバナンスのプロセスを経て至った意思決定が「STEER FOR 2020」であることを強調したいと思います。
 今年130周年を迎えた当社が歴史の流れの中で先輩が営々と受け継いできた風通しの良い社風と、そこから生まれてくる新たな挑戦を大切にしながら、単に「タガをはめる」ガバナンスではなく、時代のトレンドと顧客ニーズを先取りし価値創造を続けていくことができるように、規律と同時に成長のダイナミズムをもたらす透明性の高い経営基盤を作り上げていきたい、と考えています。

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