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大型カーフェリーを用いた世界最長距離・最長時間の無人運航実証実験に成功!
~内航コンテナ船に続き、実商業航海ルートにおける無人運航に成功~

2022年02月07日


株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)、商船三井グループ二社および以下コンソーシアム企業(以下「当コンソーシアム」)は、公益財団法人 日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」(以下「MEGURI2040」、註1)の一環として、2月6日から7日にかけて北海道苫小牧港から茨城県大洗港に向けて、商業運航内航大型カーフェリーによる無人運航実証実験に成功しました。

今回の実証実験は、内航大型カーフェリー「さんふらわあ しれとこ」の実際の商業航海ルートで実験を行い、世界で実施された無人運航の中で最長距離となる約750km、かつ昼夜を跨いで最長時間となる約18時間を航行しました。開発要素である「自動離着桟技術」、「自動避航システム」および「物標視認画像処理・測距技術」が、このような長時間の航海においても、正常に機能することを確認したことも、今回の試験における意義となります。

今回の無人運航実証実験に使用した内航大型カーフェリー「さんふらわあ しれとこ」

2020年にMEGURI2040が開始されて以降、当コンソーシアムでは無人運航船の実現に向け、各種要素技術の検証実験に取り組んできました。2022年1月24-25日に無人運航 実証実験に成功した内航コンテナ船(註2)と同様に、内航カーフェリーにおいても、MOLマリン&エンジニアリング株式会社が所有するシミュレーターを使用した自動避航等の検証や実船での検証実験を経て、今回の実証に臨みました。

当コンソーシアムは、内航コンテナ船での実証実験に続き、内航カーフェリーでも実証実験に成功しました。この2隻の試験で無人運航に用いた構成システムは同仕様であり、今回の実証成功を受けて、必要な機器類を搭載することで、あらゆる船舶に対する無人運航技術の導入可能性を示唆するものと考えます。

現時点ではセンシング技術の向上や避航ルートをさらに乗組員の感覚に近づけること等の課題はありますが、MEGURI2040における無人運航船実現に向けた活動を通して得た知見と、コンピュータービジョン等のAI技術を融合していくことで、これらの課題を解決し、当社は引き続き安全運航強化と船員の労務負担軽減を目指します。

(コンソーシアムメンバーおよび主要役割)

会社名 主要役割
当社 全体コーディネーション、リスク評価
三井E&S造船株式会社
(社長:船津勇、本社:東京都中央区)
「判断」「操作」機能の開発 (避航操船、港内操船、離着桟操船の自動化)
古野電気株式会社
(社長:古野幸男、本社:兵庫県西宮市)
「認知」機能の開発(認知センサー統合、離着桟支援センサー)
井本船舶株式会社
(社長:井本隆之、本社:兵庫県神戸市)
実証船・船員提供、運航計画作成
株式会社A.L.I. Technologies
(社長:片野大輔、本社:東京都港区)
係船支援技術の開発(ドローンを用いたヒービングラインの岸壁投下)
商船三井フェリー株式会社
(社長:尾本直俊、本社:東京都千代田区)
実証船・船員提供、運航計画作成
MOLマリン&エンジニアリング株式会社
(社長:中島孝、本社:東京都港区)
自動避航操船・自動港内操船・自動離着桟のシミュレーション作成

(内航大型カーフェリー「さんふらわあ しれとこ」概要)
総トン数:11,410トン
全長:190m
全幅:26.4m
旅客定員:154名
車両搭載数:大型トラック160台/乗用車62台

(イメージ)無人運航時の本船と機器画面

(註1) 2020年6月15日付プレスリリース「始動!自律化実現への実証航海~日本財団と無人運航船の実証実験にかかる技術開発助成契約を締結~」をご参照ください。

(註2) 2022年1月25日付プレスリリース「世界初、商業運航コンテナ船の無人運航実証実験に成功!」をご参照ください。