トップページ > プレスリリース 2023年 > 航行中に常時回収可能な新型マイクロプラスチック回収装置「HQ」が日本海事協会のInnovation Endorsement認証を取得

航行中に常時回収可能な新型マイクロプラスチック回収装置「HQ」が日本海事協会のInnovation Endorsement認証を取得

2023年11月21日

株式会社商船三井
三浦工業株式会社

株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)と三浦工業株式会社(代表取締役:宮内大介、東京本社:東京都港区、以下「三浦工業」)は、マイクロプラスチック(以下「MP」、註1)回収装置の共同開発を進めてきましたが(註2)、 この度、商船三井が運航する自動車船“EMERALD ACE(エメラルド エース)”(以下「本船」)に搭載されたMP回収装置「HQ」(註3)が審査を受け、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)の革新的な取り組みを評価するInnovation Endorsement認証(註4)を取得しました。

Innovation Endorsement 認証ロゴ

Innovation Endorsementは、日本海事協会の「第三者認証・評価・格付」に基づく、新しい価値創出に向けた認証機関としての取り組みで、「①船舶」「②製品・ソリューション」「③プロバイダー」の3つのカテゴリーに分類されます。今回「HQ」は、常時海水を処理することや取扱いが容易なこと、閉塞する構造がなく既存システムへの影響がないことが評価され、革新的な機能を有する機器やソフトウェアなどが対象となる「②製品・ソリューション」のカテゴリーにて認証を取得しました。

「HQ」は2022年6月より試験的に本船に搭載し機能実証を進めてきましたが、機能の安定性が認められ、MP回収能力においても効果が確認できたため商用化が実現し、2023年7月より三浦工業が販売を開始しております。

商船三井は、MPを回収するだけではなく、昨今、海中のMP浮遊量データがMPの動静調査や、各分野で実施されているMP削減活動の効果測定に活用できるため、同データの需要が研究機関の間で高まってきており、今後、本装置で回収されたMPの成分・量・場所・時期といったデータを提供することで同研究分野に活用していきます。


商船三井の海洋環境保全への取り組み
商船三井グループでは、事業を通じて優先的に取り組むべき社会課題を「サステナビリティ課題」(註5)として特定しています。世界中の海からMPを削減することを通じて、サステナビリティ課題の一つに挙げている「海洋・地球環境の保全」に更に貢献していきます。

三浦工業の海洋環境保全への取り組み
三浦工業は、今回販売を開始したMP回収装置を通じて世界の海洋環境保全へ貢献するとともに、熱・水・環境のベストパートナーとして、企業活動を通じ、環境に優しい社会の創造とサステナブルな社会の実現に貢献します。

(註1) マイクロプラスチックとは、海へ放出されたプラスチックごみが紫外線や波による劣化によって5㎜以下の微小サイズになったプラスチック粒子を指します。

(註2) 商船三井と三浦工業のMP回収装置の共同開発については、以下過去リリースをご参照ください。
2020年11月24日付新造木材チップ船に搭載したマイクロプラスチック回収装置で試験採取を実施 ~一般商船を活用して、海洋環境の持続可能性に取り組む~
2021年3月24日付丸住製紙向け新造木材チップ船にマイクロプラスチック回収装置を搭載 ~一般商船を活用して海洋・地球環境保全を加速させる~
2022年7月5日付航行中に常時回収可能な新型マイクロプラスチック回収装置を試験搭載 ~世界中の海からマイクロプラスチックを回収し、広海域での海洋環境保全に貢献~

(註3)【HQの特長】
サイクロンセパレータにより海水中のMPを遠心分離させることで、配管を閉塞させることなく、効率よくMPを回収します。常に取水している海水ラインから常時MPの回収が可能になり、従来型では一部の処理に留まっていたバラスト水処理装置の逆洗排水も全量処理することが可能になりました。冷却海水ラインへの設置も可能で、処理後の海水は原水ラインに戻すことができるため、既存システムへの影響はほとんどありません。本船での日常作業はMP回収用ストレーナの清掃のみで簡単です。また、サイクロンセパレータの内面処理は耐腐食性に優れたポリエチレンライニングの採用により、耐久性、メンテナンス性が向上しました。
今回は以下「HQ-100」および「HQ-100B」の両タイプでClassNKの審査を受け、Innovation Endorsement認証を取得しました。
HQ-100:定格100m3/h処理の標準タイプ。
HQ-100B:MP回収ラインにブーストポンプを追加し、安定したMP回収量の確保とプラントへの影響を最小限にする仕様。

【施工例】
船内の冷却海水ラインやバラスト水処理装置の逆洗ライン、造水器エゼクタラインなど様々な配管に適用可能です。

HQの本船設置フローイメージ図

(註4) 詳細は以下日本海事協会ウェブサイトをご参照ください。
業務サービス>Innovation Endorsement Approach
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/activities/techservices/dgd2030/iea/index.html

(註5) サステナビリティ課題
商船三井グループでは、事業を通じて優先的に取り組むべき社会課題として特定した「サステナビリティ課題」への対応を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献します。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Environment 海洋・地球環境の保全」「Innovation 海の技術を進化させるイノベーション」にあたる取り組みです。