2004年4月1日

創立記念日 社長挨拶文

 当社は、本日創業120周年の記念日を迎えました。本日、挙行しました創立記念式典における社長 鈴木邦雄の挨拶をお知らせします。


商船三井グループ全役職員の皆さん、本日当社は創業120周年の記念日を迎えました。1884年に当社の前身である大阪商船会社が創業以来、今日までの長きに亘る歴史を刻み、苦難の時代や逆風の時期を乗り越え、当社グループは世界に冠たる総合海運企業グループへと発展してまいりました。 

皆さんご存知の通り、昨年度の業績は、史上最高益を達成する見込みであり、昨日をもって終了しましたMOL nextにおける数値目標は、その殆んど全てがクリアーされることは確実です。これは海運市況が順風に恵まれたことにもよりますが、関係役職員が、各担当分野で機を捕らえた営業活動を積極的に展開し、様々なコスト削減に弛まず取り組んでこられた成果でもあり、改めて、これまで努力を重ねられた皆さん一人一人に心から感謝したいと思います。

いよいよ本日より新3ヵ年計画「MOL STEP」がスタートします。商船三井グループが、この経営計画に沿ってさらなる成長ステージへと船出するにあたって、私の所信を申し上げると共に、皆さんとともに決意を新たにしたいと思います。

先に発表しましたMOL STEPの経営計画と数値目標は、執行役員、幹部職員に今後の経営の基本方針を説明し、理解して頂いた上で、各部門が自ら策定した計画に基づいて総括の上、策定したものです。決して「先に数値ありき」で掲げた目標ではありません。従って、これらの数値目標は十分達成可能と考えますが、一方でマーケット及び客観情勢は常に流動的であり、些かの甘い予断を許すものでないことを我々は過去の経験により熟知してところです。

客観情勢のひとつとして造船所の船台状況を申し上げますと、これからの3年間、すなわち2006年度迄、ほとんどの船台は埋まっています。当社は過去3年間MOL nextの成長と拡大戦略に沿って、すでに充分な新造船を直接ないし間接に発注していますが、2006年度以前に竣工する追加新造船を当て込んだ中・長期契約獲得を狙う営業活動はもはや終了していると言ってよいでしょう。今後展開するこれらの営業活動は、必然的に2007年・2008年スタートの契約を目指すものです。したがって、MOL STEPでは、今後の営業活動の目標を設定する意味を込めて2009年度の数値目標を計画に含めることと致しました。
過去機会のあるたびにお話して来ましたが、当社の単年度業績はこの数年間目覚しく改善して来たものの、利益の蓄積から形成され、企業の総合体力を数値で示すバランスシートについては、いわゆる一流企業と呼ばれるには未だ道遠しという状況です。

今後の3年間は、各年度で増収増益を図りつつ、MOL STEPの最終年度の数値目標の全てを達成することによって財務体質を一層強化し、それに続く3カ年計画での大きな飛躍に備えたいと思います。6年後にこの2009年度目標が達成できれば、当社も色々な意味で日本のエクセレントカンパニーと言えるようになり、世界の投資家や顧客からも高い評価を得ることができます。また、強固な経営基盤の上でスケールの大きなプロジェクトにも挑戦していくことができ、従業員にとっても、一層働き甲斐のある職場となり、また生活の安定に資することができると思います。

ここで、MOL STEPに取り組むに当たって、当社が直面している状況について申し上げたいと思います。

まず第一に、外航海運業は人類及び世界経済にとって必要不可欠な産業であり、また着実に成長し続ける産業であることを認識する必要があります。1970年からの30年間で世界の人口は約1.6倍となりましたが、海上物流は2.2倍に増加しました。コンテナ貨物については過去10年足らずで荷動きが倍増しており、今後も大きな成長が見込まれます。鉄鉱石、石炭、液化天然ガス等の資源・エネルギーの海上荷動きも世界の経済成長率を上回る伸びを見せています。 人口大国である中国・インドが経済的に大きく発展するであろう次の30年間には、世界の海上物流は更に大きく成長することが予測されます。このような状況認識の下、MOL STEPでは、本業である海運業へ積極的に経営資源を投入する成長戦略を策定しました。

次に20世紀末から21世紀初頭にかけて目立った経済・産業界の動きとして、グローバリゼーションと企業の寡占化・巨大化が挙げられます。

成長を続ける産業の中にあって、グローバリゼーションと寡占化が進むとき、外航海運業界のリーディング・カンパニーとして商船三井は何をなすべきか。それは自明と言うべきでしょう。 より一層グローバルに事業を展開し、国際競争力を高めて顧客から信頼され選択されるサービスを提供する、そのためにも営業規模の拡大は不可欠です。組織としてまた個人として積極果敢な行動が強く望まれます。但し、この積極性は深い洞察力と広い情報力に裏打ちされていなければなりません。深い洞察力は経済の大きな流れを間違いなく読み取ることであり、広い情報力は世界中の顧客との密接な関係の中から得ることができるものです。すなわち巨視的情報と微視的情報の組み合わせがビジネスチャンスを作り上げるのです。

昨年の創立記念日にも申し上げましたが、グローバリゼーションは消費者には大変便利で有難いことですが、生産者にとっては世界中の同業者を競争相手に世界中の顧客の千差万別の要求に応えていくことを意味します。それは生半可な覚悟では到底対応できません。

幸い商船三井グループは世界中に張り巡らせた優れたヒューマン・ネットワークを持っています。この人的・組織的資本を更に進化させ、有機的かつ効率的に機能させていくことが、先に述べた目的の達成には不可欠です。

以前より申し上げているように、企業発展の推進力の源は、我々常勤役職員の絶えざる業績向上への意欲とその実現に向けての日々の努力の積み重ねです。世界中の商船三井グループ全員が、顧客指向の営業力と、コスト削減・サービス品質向上による競争力の強化に全力を尽くして頂きたい。

最後になりましたが、成長戦略を実践して行くに当たって留意すべきは、経営資源には限りがあり、漫然とした総花的拡大はありえないということです。アンテナを高く張って得られる鳥瞰図的・巨視的な情報と顧客の懐に飛び込んで得られる個別的・微視的な情報を組み合わせて経営資源投入の優先順位をつけていくこと、すなわち選択と集中が必要です。羅針盤をしっかりと読んで方向を定め、強くしなやかな企業グループを目指して全力疾走していきましょう。

今回は新中期経営計画「MOL STEP」を中心にお話をしましたが、当社グループの企業理念にある通り、「企業倫理の遵守」と「安全運航の徹底と海洋・地球環境の保全」は全グループ企業が業務を遂行するに当たっての最重要課題です。コンプライアンスについては、当社グループの役職員一人一人が行動基準を認識し常に自らを節するという自覚が肝要です。 本船の安全運航、貨物の安全輸送こそは当社グループのサービスの基本であり、あらゆる努力と細心の注意を以って安全運航を徹底することが当社の使命であることを再確認して私の本日の挨拶と致します。



                                                          以 上