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船上生活品質向上を目指し、船員向け決済サービス「MarTrust」導入を決定

2023年10月30日

株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、モバイルアプリケーション上での電子決済サービスによる給与支給等を通じた船員の生活品質向上を目指し、当社グループの船舶管理会社が管理する船に乗る全船員向けに、海運に特化した決済サービスMarTrust(読み:マートラスト)の導入を決定しました。2024年度中に対象の全船員が利用できるよう導入を進めます。

MarTrustは、海運業界向けに特化したDXソリューションプロバイダーであるマルクラ・グループ(本社:アラブ首長国連邦・ドバイ)のMarTrust社(所在地:英国・ロンドン)が提供する船員給与向けの国際送金サービスです。MarTrustの導入により、船員にe-Walletアカウントと国際ブランドの付帯デビットカードが付与され、モバイルアプリケーションを通じた銀行口座への送金やe-Wallet間の送金が可能となります。また、ほぼ全世界のATMからの現金引き出しにも対応しているため、電子で受け取った分をキャッシュに変えることも可能です。

船員の給与は、国際条約によって銀行口座への振り込みが義務化されていますが、給与の一部を船上で受け取れるようになっており、これまではその分が現金で支給されていました。MarTrustの導入によって、現金で受け取っていた分を電子で受け取り、また、国際ブランドの付帯デビットカードも合わせて支給されるようになることで、以下のような変化・メリットがあります。

<MarTrustの導入による変化・メリット>

  • これまで、現金で受け取った給与を親族などに送金する際には、船員配乗会社を通じて送金手続きをしなければならず、送金先に制限があった上に、送金まで約1か月要していました。
    MarTrustの導入により、現金支給されていた給与分をモバイルアプリケーション上で受け取ることができ、希望する送金先へ直接 数日で送金することが可能となります。
  • 船員の国籍によっては、全世界で使用できるクレジットカードを保有していない場合もあります。その場合には、オンラインショッピングの利用に制限があったり、寄港地での買い物は現金のみで行う必要があり、両替の手間も発生していました。
    MarTrustの付帯デビットカードはほぼ全世界で利用できるため、オンラインショッピングや寄港地での買い物が容易となります。
  • これまで、給与の一部が現金支給されていたため、主に船長が船上での収支管理や船舶管理会社への報告を行っていましたが、電子化によりこの作業の手間と時間が省かれるようになります。
  • 現金支給分を全てモバイルアプリケーション上で受け取ることで、現金紛失のリスクもなくなります。

当社は2023年4~7月にかけ、当社グループの管理船にてMarTrustの導入トライアルを行い、トライアルに参加した船員からの本サービスに対する必要性、メリットを感じる多くの声も受け、本格導入決定に至りました。

2023年10月17日に実施したMarTrust社長との打ち合わせ時の写真
(左より当社常務執行役員 木村 隆助、MarTrust社 Director Domenico Carlucci氏
当社常務執行役員 遠藤 充、当社エネルギー輸送船船舶管理戦略統括部長 山内 章裕)

当社は、船員の利便性やエンゲージメント向上および船舶管理会社の業務効率化を図り、海上のデジタル・トランスフォーメーションを推し進めます。


商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題 (マテリアリティ)」を特定しています。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Human & Community -人の活躍と地域社会の発展-」、「Innovation -海の技術を進化させるイノベーション-」にあたる取り組みです。