鉄鉱石、石炭、穀物、塩、アルミ塊、
銅鉱石などさまざまな資源を、
梱包せずに大量にそのまま輸送するのが
「ばら積み船」です。
大量・ばら積み貨物=バルク、
乾貨物=ドライカーゴといった言葉から、
「バルカー」「ドライバルカー」
「バルクキャリアー」
「ドライバルク船」とも呼ばれます。
「ばら積み船」にはさまざまなサイズがあり、
運ぶ貨物の量や、
寄港地の規模にあわせて利用します。
さまざまなサイズで
輸送ニーズに応える
ばら積み船
商船はその長い歴史の中で経済性を追求し大型化してきました。その中でもばら積み船にはさまざまなサイズの船があります。
「ケープサイズ」はその大きさからパナマ運河を通峡できず、喜望峰(Cape of Good Hope)やホーン岬(Cape Horn)経由で航行することから名付けられました。また、パナマ運河を通峡できる最大船型として「パナマックス」があります。長さ約274m以内、幅約32m以内と定められた通峡条件に合うように造られています。パナマックスより小さい船型として「ハンディ」と呼ばれる船型もあります。比較的小型で、世界中のほとんどの港に入出港できる便利さからこの名が付いています。荷役設備としてクレーンを装備しているのも「ハンディ」の特徴です。
標準的な 載貨重量トン |
LOA | 主な積載貨物 | |
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VLOC(Very Large Ore Carrier) | 250,000 | 約330m | 鉄鋼原料 (鉄鉱石) |
ケープサイズ | 180,000 | 約292m | 鉄鋼原料 (鉄鉱石・原料炭) |
パナマックス | 82,000 | 約229m | 鉄鉱石、原料炭、燃料炭、 穀物など |
ハンディマックス | 58,000 | 約190m | 燃料炭、穀物、塩、セメント、 鋼材など |
スモールハンディ | 38,000 | 約180m | 鋼材、セメント、 穀物、鉱石など |
船倉上部に傾斜をつけたトップサイドタンクという三角形のバラストタンク(船を安定させるための海水=バラスト水を入れるタンク)があり、貨物や船の偏りを防止しています。船倉の下部は両サイドに傾斜をつけたホッパー形状とし、貨物が隅に溜まって荷役効率が下がるのを防ぎます。
また、船の種類には荷役のためのクレーンを持つ船と、クレーンを持たず陸側の設備で荷役する船があります。一般的にパナマックス以上の船にはクレーンがありません。船倉の上部にはハッチカバーがあり、荷役をする時だけ開く仕組みとなっています。
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鉄鉱石船
鉄鉱石は比重が非常に大きく重いため、船倉を狭くして、船体中央部に貨物を高く積み上げる構造になっています。輸送効率を追求するため、クレーンを持たない大型船が主流になっています。
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石炭船
火力発電用の石炭を輸送します。着岸する発電所専用バースの深さや揚炭機の可動範囲に合わせて船を設計します。喫水が浅くても石炭を沢山積めるように船幅を広げた幅広船型(8〜9万重量トンクラス)が主流となっています。
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木材チップ船
紙の材料となる木材チップを専用で運ぶ船です。木材チップは比重が小さく軽いため、船倉の容積をできるだけ大きくしているのが特徴です。また、貨物の流動性がなく、偏りの心配がないため、トップサイドタンクもありません。
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鉄鉱石船の揚げ荷役
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石炭船の積み荷役
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木材チップ船の揚げ荷役