専門分野で活躍する船

さまざまな船を紹介してきましたが、
さらにそれぞれの目的に特化した船もあります。
ここではその一部をご紹介します。

専門分野で活躍する船
重たい貨物、長い貨物、何でも運ぶ力持ち
大型船の入出港になくてはならない作業船
高速通信を支える光海底ケーブルを敷設・保守
  • ケーブル敷設船(写真提供:KDDIケーブルシップ㈱)
  • ケーブル敷設船

    光海底ケーブルの敷設・修理・回収などの作業を行うための船です。作業中は船を定位置に保つ必要があるため、波や風で常に動く船を一定の位置に留めるダイナミックポジショニングシステム(自動船位保持装置)を搭載しています。

    船内には、ケーブルを収容するための「ケーブルタンク」、ケーブルの巻き上げと繰り出しを行う「ドラムケーブルエンジン」、ケーブルを高速で敷設する「リニアケーブルエンジン」、光海底ケーブルの修理や調査、埋設に利用する「水中ロボット」などを備えています。甲板上のスペースは、作業スペースとして活用します。また、作業を常時監視し、安全に最適な状態で作業が進行するように、モニター画面で常時確認できる「ケーブルコントロールルーム」を設けています。

洋上風力発電のバリューチェーンにおいて幅広く貢献
風力発電は比較的安価に大量導入が可能な自然エネルギーとして普及が進んでいます。その中でも洋上風力発電は沖合に設置されるため、設備の設置やメンテナンスにおいて、設備の輸送のみならず技術者の派遣も必要になるため、さまざまなタイプの船が必要になります。当社グループでは各ステージでの需要に細かく対応できるように、以下の船隊を整備しています。
  • Service Operation Vessel (SOV)

    洋上風力発電所のメンテナンス技術者を複数の洋上風車に派遣するために多数の宿泊設備を持ち、一定期間洋上での活動が可能なオフショア支援船です。本船と洋上風車の距離を常時安全に保つため、ダイナミックポジショニングシステム(DPS:自動船位保持機能装置)を搭載、また本船から洋上風車プラットフォーム上に技術者を安全に渡すため、波等による船体動揺を吸収するモーション・コンペイセイション(Motion Compensation)機能をもつ特殊なギャングウェイ(Gangway) も搭載しています。

  • Crew Transfer Vessel(CTV)

    比較的離岸距離の近い洋上風車に対して、洋上風力発電所のメンテナンス技術者を、拠点となる港から送り届ける交通船(乗客定員12-24人)。船首部分に取り付けられたフェンダーを洋上風車に押し付ける形で船体を安定させたうえで、メンテナンス技術者が洋上風車に移乗します。アルミ製の双胴船(Catamaran)が主流船型です。

エネルギー輸送(海洋事業)でご紹介したSEP船も洋上風力発電分野で活躍する船の一つです

砕氷LNG船<ヤマルLNGプロジェクト>

ロシアのヤマル半島には、ロシア国内でも最大量の天然ガスが埋蔵されています。ロシア語で「地の果て」という意味を持つヤマルは、モスクワから約2500キロ離れた北極圏の孤立地域であるうえ、一年の大半は氷に覆われ気温は氷点下40度にまで低下します。このヤマル半島からのLNGの大量輸送を実現したのが砕氷LNG船です。

2018年、商船三井が運航する世界初の砕氷LNG船が竣工しました。船首は水面下の氷を割りやすい特殊な形状「アイス・バウ」とし、甲板上の機器には着氷凍結防止策を施すなど、最大2.1mの厚い氷海を航行可能な仕様で、通年にわたって世界各地へLNGを輸送します。夏季には北極海航路を経由して東アジア向けに運航し、冬季はヨーロッパ経由でLNGを供給します。

砕氷LNG船。タンク容量は、172,000m3