天然ガス(Natural Gas)を
液化(Liquefy)した
LNG(液化天然ガス=Liquefied Natural Gas)
を運ぶタンカーがLNG船です。
超低温輸送のための特殊な材質のタンク、
荷役における事故を防ぐ緊急遮断装置、
気化したガスを燃料として使用する
タービンエンジンなど、
LNG船には多様な技術が
駆使されています。
拡大する
クリーンエネルギーの
安定輸送をめざして
LNG(液化天然ガス)は、SOx(硫黄酸化物)を発生させず、NOx(窒素酸化物)やCO2(二酸化炭素)の排出量が、石油や石炭に比べて30%から40%少ないため、環境に優しいクリーンなエネルギーとして世界各国で需要が急増しています。
日本においては、邦船3社で共同保有し、商船三井が運航した1983年就航の「泉州丸」が最初のLNG船です。以来、LNG輸送における多くのノウハウと実績を積み重ね、高度な輸送技術と熟練した人材で安全運航を実現しています。当社は、世界首位の97隻(2023年現在)のLNG船を運航しているほか、2018年には砕氷LNG船の運航を開始するなど、LNG船の分野において世界に先駆けた最先端の取り組みを行っています。
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LNG船
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LNG船
天然ガスの輸送は、パイプラインによる陸上輸送から始まりましたが、海外への大量輸送を実現したのがLNG船です。気体のまま運ぶには膨大な容積が必要な天然ガスですが、マイナス161.5度で液化することで容積が約600分の1になり、効率的な輸送が可能になりました。1984年に就航した商船三井初のLNG船「泉州丸」は貨物タンクの容量が125,562m3でしたが、現在では15-17万m3クラスが主流となっています。
メタンを主成分とする天然ガスは、燃焼時の二酸化炭素(CO2)と窒素酸化物(NOx)の排出量が少なく、硫黄酸化物(SOx)の排出はまったくありません。さらに天然ガスをLNGにする際に、硫化水素や二酸化炭素、水分などを除去できるので、さらにクリーンなエネルギーになります。また、空気より軽いため、万が一漏れても低いところにたまることがなく、自然発火温度も比較的高いので、クリーンであると同時に安全性も高く評価されています。
LNG船の荷役は、陸上側の設備にパイプをつないで行います。積み地には、天然ガスを液化するLNG液化基地、揚げ地には、LNGを天然ガスに戻すLNG受入基地があります。
LNGは沸点がマイナス161.5度と非常に低いため、貨物タンクには、ニッケル鋼、ステンレス鋼、アルミ合金など超低温に耐えられる材質を採用し、外側は厚い断熱材で包まれています。貨物タンクは、さながら魔法瓶のようですが、外気温度の影響を受けて貨物の一部は輸送中に自然に気化します。タンク内で気化したガスは、船の推進エネルギーとして利用します。また、荷役中のLNGの流れを止める緊急遮断装置など、万が一に備えた高度な技術も行きわたっています。
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大型エタン輸送船
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エタン輸送船
エタンは天然ガス中でメタンの次に多く含まれる成分です。体積当たりの発熱量はメタンの約1.75倍で常温・大気圧下では気体、マイナス90度で液化します。主に重要な基礎化学品であるエチレンの精製原料として利用されています。
21世紀に入り米国でシェールガスの採掘が盛んになると、その副産物であるエタンの輸出が増加し、エタン輸送船は活躍の場を広げてきました。これまで、エタン輸送船の貨物倉容量は20,000〜30,000m3クラスの中型船が主流でしたが、2016年、世界初87,000m3クラスの大型エタン輸送船(VLEC:Very Large Ethane Carrier)が誕生しました。
LNGやLPGと同様、エタンは液化して輸送され、また推進のための燃料としても使用できます。カーゴタンクは、本船によって異なりますが、概ねLNG船やLPG船と同じ仕様となっています。
3つのタンク方式
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モス型LNG船
船体から独立した球形タンクで、個々のタンクが自分自身の構造によって内圧を支えています。他の方式に比べてLNGの蒸発ガスが少なく、 溶接箇所が少ないことから品質管理が容易などの長所があります。
また、2014年に球形のタンクを連続カバーで覆う「連続タンクカバー型(通称:さやえんどう型)」も登場しました。
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メンブレン型LNG船
タンクの内部を薄くてしわがあるステンレス鋼「メンブレン」で覆うことで、低温を保ちガスの膨張を吸収する方式です。船倉のスペース効率が高く、甲板上の突起部を最小に抑えられるので、船前方の視界が良いのが特長です。エタン輸送船もこの方式です。
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SPB型LNG船
SPB(Self-supporting Prismatic shape IMO type B)と呼ばれる、独立した方形タンクによる様式です。タンクには、アルミ合金あるいはステンレス鋼を使用し、外面には防熱を施しています。球形タンクに比べて船体の形状に収まりやすく甲板上に突き出た構造体がないため、甲板を広く利用できるという優位性があります。