資源を運ぶバルカーや
エネルギーを運ぶタンカーとは違い、
加工した製品を運ぶ船もあります。
このページでは、
自動車を運ぶ自動車船と、
衣類や生活雑貨など
多種多様な貨物を運ぶ
コンテナ船を紹介します。
海上ネットワークで
世界をつなぐ
海上輸送の担い手
これまでのばら積み船やタンカー、LNG船など資源やエネルギーではなく、実際の製品を大量に運ぶ代表的な船が、自動車船とコンテナ船です。
日本の自動車輸出は1950年代後半から本格化し、現在は年間約400万台が輸出されています。増大する自動車輸出に呼応して、貨物(主に完成車)を安全かつ効率的に輸送するために開発された専用船が、自動車専用船(Pure Car Carrier = PCC)です。
また、世界の物流にイノベーションをもたらし、20世紀最大の人類の発明と言われることもあるコンテナ船は海上輸送の根幹を支える重要な船。最大船型の場合、20,000個以上のコンテナを一度で輸送可能にするなど、製品輸送の効率化が進んでいます。
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自動車船
PCC(Pure Car Carrier)またはPCTC(Pure Car and Truck Carrier)と呼ばれ、自動車や建設機械など自走できる貨物を専門に輸送するために設計された船です。1965年に日本初の自動車専用荷役装置を設けた専用船「追浜丸」を就航させたのは商船三井です。
船内は何層ものデッキ構造になっており、立体駐車場のようになっています。その独特の船型から風圧を受ける面積が大きいので、風にあおられ斜めに進む「斜航」の発生率が他の船型より大きくなっています。これを軽減し燃費効率を上げるため、商船三井の自動車船は、船首を斜めにカットしてラウンド状とし、船側部には全長にわたって段差を設け、横風による影響を軽減しています。
貨物デッキは、乗用車だけでなく、大型バスやトラックなどの車両や建設機械なども積めるように、一部は車高に合わせて高さを調節できる「リフタブルデッキ」になっています。できるだけ多くの車を積めるよう、車と車の間隔は前後30センチ、左右10センチほどに積載し、輸送中に動かないように固縛します。
「追浜丸」就航時は1,200台積みでしたが、現在では8,500台積みもあります。この積載できる台数は、長さ4.125m、幅1.55mの乗用車を基準として換算しています。2018年に竣工した、商船三井のFLEXIEシリーズは6,800台積みで、多様化するさまざまな車両にフレキシブルに対応できる自動車船です。デッキ数は14層で、そのうちの6層が高さの調整可能なリフタブルデッキを採用し、デッキを調整することで高さ5.6mまでの貨物を積載可能です。また、「ランプウェイ」の耐貨重は150トンで、自動車船で輸送されるほとんどの大型貨物に対応できます。
ドアツードア輸送を実現
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コンテナ船
国際規格の海上コンテナに貨物を収納して運ぶ船です。路線バスのようにあらかじめルートとスケジュールを設定して、定期的に決まった港に寄港します。コンテナ化された貨物はトラックや鉄道への積み替えが容易なため、荷役の迅速化とともに海陸一貫によるドアツードアの輸送を実現しています。
荷役設備のあるコンテナターミナルに寄港するため、一般的に船にはクレーンなどの荷役設備を装備していません。船倉には、コンテナを効率良く積載し、かつ固縛して安全を保つための垂直なレール「セルガイド」があります。甲板上には、固縛などの作業を行うための足場とする「ラッシング・ブリッジ」を設けています。また、安定した寄港スケジュールを維持するために、他の船種より高速航行が可能です。
1950年代に登場した「コンテナ」は物資の輸送トレード、そしてグローバルサプライチェーンの構築に非常に大きな影響を与えました。当時、海上輸送に関する荷役は人手のかかる非効率な貨物の積み下ろしが主流で、物流コストの大半は人件費といわれていましたが、「コンテナ」という規格化された箱を使うことにより大量の雑貨物を安価に、安全に輸送することが可能となったのです。
- コンテナのサイズは、長さが20フィートのコンテナと
40フィートのコンテナに大別されます。 - コンテナ本体に付けられた番号から、
コンテナの所有者、タイプ、サイズがわかるようになっています。 - コンテナ船の積載能力や輸送実績などは「TEU」で表します。
TEUは、Twenty-foot Equivalent Unitの略で、20フィートコンテナを1TEUと数えます。40フィートコンテナは、1本を2TEUとカウントします。
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さまざまな車両にフレキシブルに対応する
FLEXIEシリーズの自動車船 -
荷役を待つ車が並ぶターミナルに着岸する自動車船
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クレーンで船から降ろされたコンテナは、
そのままシャーシーに積まれる -
ラッシング・ブリッジで乗組員が積荷のコンテナを確認