2010年6月公開
これまでにご紹介した技術の集大成として、私たちが今、5年後技術的に実現可能と考える大型船とそのエンジンの未来像をここにご紹介します。
(1) 排熱エネルギー回収:推進力を最大限にアシスト
(2) 通常航海中に加え、低速航海中もCO2排出量削減
(1)(2)の導入と新技術の複合採用で、CO2排出量30%削減を達成する。
CO2削減項目1~7の要素により、CO2排出を30%削減することが可能となります。
1~7合計30%削減、1~8合計50%以上削減
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維新から名づけたこの船名のアルファベットには、「Innovations in Sustainability backed by Historically Proven, Integrated Technologies」と、「どんな経済環境にあっても、企業の成長持続と地球環境保護との両立を目指す当社の、歴史に裏付けられた技術革新」との意味をこめています。
“未来への鍵は歴史に”をキーワードに、商船三井は更なる技術革新を目指し邁進していきます。
1. 排熱エネルギー回収:推進力を最大限にアシスト
技術進歩による排熱エネルギー回収効率の向上を更に追求。
大型主機の排気ガスから熱エネルギーを最大限に回収して電気変換する。
こうして得た大量のエネルギーを推進力として利用し、環境負荷の大幅低減を図る。
これらの技術を可能とする主な構成機器は、排気ガスタービン(P/T)、蒸気タービン(S/T)および低圧・高圧に分けた2つの排熱回収ボイラー(*1)となる。
P/Tは排気ガスで直接タービンを回転させ、S/Tでは排熱回収ボイラーで発生させた蒸気を供給することでタービンを回転させる。
その回転力は発電機に伝えられ、高効率に電力を発生する仕組みとなっている。
(*1) No.1排気ガス熱回収ボイラー(低圧用)
既存船にも採用されているような排熱回収ボイラーとほとんど変わりなく、主に蒸気タービン駆動や燃料加熱用の低圧蒸気を発生させる。
No.2排気ガス熱回収ボイラー(高圧用)
排気ガスがパワータービンに入る手前に設置し、通常より高温の排気ガスを流すことで、熱エネルギーを高効率に高圧蒸気へ変換する。
2. 通常航海中に加え低速航海中もCO2排出量削減
主機にかかる負荷が低い領域で給気量を最適にコントロールできる可変ノズル過給機(*2)と電子制御エンジンを採用することで、低速航海中もCO2排出量を削減。
(*2) 主機の出力に応じて、過給機のタービン側に装着したノズルの開口面積を変化させ過給効率を上げることで、最適な過給圧を発生させることが可能な装置。ターボチャージャー性能劣化や熱帯域通過時などにも有効。
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当社技術研究所と株式会社タイホーコーザイが共同開発した舶用燃料油添加剤「タイクラッシュHD」を使用する。
(1) 「タイクラッシュHD」は燃料油中のスラッジ(*)分散性を高める効果に加えて、重質燃料油などにおける着火性能を向上。
着火遅れや後燃え時間を、最大30%以上改善させる。これまでの大型船舶用燃料油添加剤に比べ、燃焼促進効果に伴う燃費向上性能が優れている。
(*) 溶けにくい炭素化合物や沈殿物
(2) 船舶の燃費向上およびCO2排出量抑制により環境負荷の低減が可能。
【添加剤「タイクラッシュHD」の特長】
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塗料を塗ると対象物には、目視では確認できない微細な凹凸が発生する。この塗膜表面に水を捕捉させること(ウォーター・トラッピング)により凹凸部分を減少させ摩擦抵抗を少なくするというメカニズムの塗料を採用する。
このウォーター・トラッピングメカニズムの効果により自己研磨した塗膜表面は更にスムーズな表面になる。
この超低摩擦型船底塗料の効果を実船実験により検証し、大幅な燃費削減効果が確認された。
今後更に実船検証を進めていくことで更なる燃費削減効果が期待できる。
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船体の運航状況をモニタリング。
最新の海気象データを利用して、船型毎に異なる性能特性を考慮しながら最短時間航路・最少燃費航路の探索が可能。
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当社が開発し多くの船舶に採用されている省エネ装置のPBCF(*)を改良させた次世代型PBCFと船体船型の流れに最適な高効率プロペラを装備することで、燃費削減効果の向上をさらに追求する。
(*) PBCF
プロペラ・ボス・キャップ・フィンズの略。
プロペラ後流中のハブ渦エネルギーを回収し、5%の燃費削減効果が確認されている。
平成12年度国土交通省の「エコシップ」プロジェクトでも5%の省エネ効果カウントが認められた。
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水面下の形状を大幅に見直すことで、船体最適設計を追及し更なる燃費削減効果を追求する。
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太陽光発電
太陽光パネルをブリッジ上部、及び居住区後部に約900m2貼り付け、発電量最大150kWhの電力を確保する。
2次電池
合計10,000kWhの2次電池(リチウムイオン電池)をユニット化し積載する。
太陽光パネルで得られた電力は、2次電池への蓄電、船内電力や、推進力加勢へ使用可能。
停泊中、陸上電源の供給が可能な場合、2次電池との併用により港内航行及び停泊中の発電機排気ガスゼロエミッションが可能。
遮熱ペイント
当社グループ運航船への実証試験を行い、効果を確認した遮熱ペイントを居住区に塗装。
居住区内部の温度上昇抑制並びに冷房機運転電力を削減する。
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風力推進船へのビジネスモデルが確立されれば・・・
(*) ウインドチャレンジャー計画詳細
東京大学 プレス発表内容
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