入社動機

商船三井へ入社する前は米系金融機関の日本法人で法務を担当していました。幅広い法律知識が必要とされる仕事のため、大学で学んだものをフル活用することができてやりがいもあったのですが、現地法人という会社の位置づけからマーケットは基本的に日本国内に限られており、機会があれば海外案件にもっと携わってみたいと考えるようになりました。商船三井が法務経験のある人材を募集していると知ったのはその頃です。外航海運会社であれば海外の取引先や案件が多く、仕事をしていく上で英語力はもとより国際的な素養も必要となります。社会人として自分の幅を広げる格好の機会と思い、応募しました。

現在の仕事内容について

入社して最初の3年間はLNG船部、次の4年間は総務部の法務・保険グループに在籍しました。今は自動車船部で主に大西洋案件を担当しています。入社したらすぐに法務を担当すると思っていただけに最初は驚きましたが、今にして思えば自分のキャリアにとって大きなプラスであったと思います。海運会社の法務は独特であり、実務を知らずして法務は務まらないからです。
総務部では主に海難事故対応を担当したのですが、案件を法令に照らしておしまいというような単純な仕事ではありませんでした。海上で事故が起こるわけですから、そもそもどの国の法律が適用されるのかから問題となります。そこに多くの利害関係者が登場し、船荷証券、傭船契約、保険、海難救助、条約等が複雑に絡み合い、果ては共同海損という海運業界特有の制度まで出てきて何年もかかって解決します。自ずと勉強勉強の日々でしたが、それらを体系的に理解し、試練を自信に変えることができたのはやはり、それまでに培ってきた法律知識とリーガルマインドがあったからこそと思います。
また、営業部に異動したからといって法務経験が無駄になることはありません。むしろ、それが積み重なって初めて、生きた仕事ができるような気がします。その意味では、当社は他社、他業界と比べて職種間の壁が低いのかもしれません。時代の趨勢はスペシャリスト育成かもしれませんが、当社がジョブローテーションを採用している理由だと思います。今も海外とのやり取りで忙しい毎日ですが、前職での経験も前部署での経験も全てが意味があると感じながら仕事をしています。