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省エネバルブ・フィン舵を共同開発
~プロペラの旋回流を回収し、GHG削減へ~

2020年07月09日

株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)のグループ会社である商船三井テクノトレード株式会社(社長:八田宏和、本社:東京都中央区)は、商船三井、ジャパンハムワージ株式会社(社長:冨田和志、本社:大阪府大阪市、以下JHC)、株式会社三井造船昭島研究所(社長:前田泰自、本社:東京都昭島市)と共同で、プロペラ装着型省エネ装置PBCF(註1)と省エネバルブ・フィン舵に関する研究開発を行っています。この度、省エネバルブ・フィン舵単独で5%を超える省エネ効果を確認しました。

省エネバルブ・フィン舵(以下、「本開発品」)の開発にあたっては、シリング舵など高揚力舵の専門メーカーのJHCの舵効きを活かし、省エネ性(馬力改善)を高めたものです。本開発品の特徴は以下の通りです。

  • 1)プロペラの旋回流を回収する為、リアクション形状を高推力翼型としラダーホーンも捻じっています。(省エネバルブ・フィン舵は負圧が際立ち、推進力増加に寄与している)
  • 2)舵下の端板を小型にして抵抗を減らすとともに、プロペラ旋回流を塞き止めています。
  • 3)中央の大型バルブも正面をフラットとして、プロペラ流入速度を抑えプロペラ効率を高めます。

一般的な肥大船船型として公開され、各種研究開発で広く用いられているJBC(Japan Bulk Carrier)船型において、通常のリアクション舵では4%以上の馬力改善は難しいところ、本開発品においては、CFD(数値流体力学)によって通常舵比5.7%、大型水槽による自航試験で5.2%の馬力改善が確認できました。

痩せ型船型に対しても本開発品を適用してCFDで4.4%の省エネ効果が確認できており、今後は最適化作業を行ったうえで、水槽試験を実施予定です。

今後の実船搭載に向け、PBCF(プロペラボスキャップフィン)のトルク低減効果との相乗効果も狙い、さらなる効率改善に取り組んでまいります。なお、この省エネバルブ・フィン舵は特許を取得しています。

CFDによる右舷・左舷の圧力分布(青色部分は負圧領域を、赤色は正圧領域を示す)

舵表面の圧力変化(赤~青)はプロペラが回転していることで生じ、舵上部には左舷から流入し、舵下部には右舷から流入しています。商船三井テクノトレードは、このプロペラの回転による旋回のエネルギーロスを有効に回収する舵を目指しています。

(註1) プロペラ後方に発生するハブ渦の損失エネルギーを回収することでプロペラ効率を改善させる装置(非搭載船比の省エネ効果:3~5%減)