エネルギー(タンカー)
 世界のエネルギー源ともいえる原油や、ガソリンなどの石油精製品、あるいは化学品などの液体貨物を輸送するのがタンカーです。タンカーの船殻は、万が一の事故でも油などの液体貨物が船外に漏れにくい2重(ダブルハル)構造になっています。

貨物の特性にあわせたタンカー

 タンカーといえば、石油を運ぶオイルタンカーがまずあげられます。 中でも大型なのが、経済や暮らしをエネルギー面から支える原油を運ぶ 原油タンカーです。原油タンカーには、サイズ別に種類があります。

原油タンカー サイズ別呼称

  • VLCC(Very Large Crude oil Carrier):20万〜32万重量トン級
  • スエズマックスタンカー: 14万~15万重量トン級 スエズ運河航行可能な最大船型
  • アフラマックスタンカー:8万~12万重量トン級

構造・特徴 
 何種類かの原油を積み分けられるように、通常は縦2-3つの区画に仕切られたタンク状の船倉(カーゴタンク)を持ち、さらにそれらは横方向に数区画に分割されています。
 揚げ荷役は、陸から離れた水深の深い場所に設けた基地(シーバース)から、船のパイプと基地のパイプを接続して行うのが一般的です。




 プロダクトタンカーとケミカルタンカーは、基本的な船体構造や荷役方法は原油タンカーと同じですが、多種類の貨物を積み合わせられるように、タンク数を多くしている船もあります。また、パイプラインやカーゴポンプもタンクごとに独立させ、個々の石油精製品や化学品が混ざらないように配慮しています。貨物の特性から原油に比べてタンクやパイプが腐食しやすいので、タンクにステンレスなどの腐食に強い材料を用いたり、特殊な塗装をタンク内部やパイプに施したりなどの工夫が施されています。

●プロダクトタンカー
 ガソリン、ナフサ(粗製ガソリン)、灯油、軽油などの石油製品(プロダクト)を運びます。原油を精製する設備のない地域への輸送に活躍します。次の3種類のサイズに大別され、さまざまな地域へ必要とされる量を輸送します。近年需要が高まり大型化が進んでいます。

プロダクトタンカー サイズ別呼称

  • MR型 (Medium Range) : 25,000〜 60,000重量トン
  • LRⅠ型 (Large Range 1) :55,000〜 80,000重量トン
  • LRⅡ型 (Large Range 2) :80,000〜 160,000重量トン

●ケミカルタンカー
 メタノール、ベンゼン・トルエン・アルコール類などの液体化学製品を主に運ぶ船がケミカルタンカーです。



 プロパンやブタンなどの石油ガスを液化した液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas=LPG)を運ぶタンカーです。LPGタンカーの中にはプロパンやブタンに加えて化学繊維や肥料の原料となるアンモニアや石油化学製品の原料となるプロピレンなども液化して輸送できるタイプもあります。
 プロパンとブタンの長距離輸送には主として大型LPGタンカー(Very Large Gas Carrier=VLGC)が利用されますが、VLGCは貨物を冷却して液化しています。プロパンとブタンの沸点はそれぞれマイナス42.2度・マイナス0.5度ですので貨物を積載するタンクには低温に耐えうる特殊な材質の鋼材が用いられているほか、貨物の温度を常時沸点以下にするための再液化装置という特別な装置が備わっています。
 その他、貨物を加圧して液化するLPGタンカーもありますが、主として内航船など、小型船で採用されています。


世界初、メタノールを燃料とする主機関を搭載した「メタノールタンカー」

アルコールの一種でホルマリンの原料やアルコールランプの燃料などとして使用されるメタノールを専門に輸送するケミカルタンカーが「メタノールタンカー」です。2016年、商船三井は、貨物であるメタノールと重油の2元燃料に対応可能な低速ディーゼルエンジンを搭載した新造のメタノールタンカー3隻を船隊に加えました。
メタノールは舶用燃料として使用した場合、通常の重油を燃料とする機関と比べて二酸化炭素(CO2)を10%、窒素酸化物(NOx)を18%削減することができます。また、硫黄分を含まないことから、硫黄酸化物(SOx)や粒子状物質(PM)の排出も大幅に削減することができます。環境にやさしい燃料の使用に加え、最新の通信技術とIoT・AI技術を駆使するなど、最新鋭の「エコシップ」として技術的に優れていると高く評価された3隻は、「シップ・オブ・ザ・イヤー2016」の「技術特別賞」を受賞しました。


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