- MOLの
ダイバーシティについて考える - MOLが継続的に力を入れて取り組んでいるダイバーシティ。出産や育児を経験しながら最前線で働く社員3名に、多様性のある働き方を実現できる制度や方法について語っていただきました。
TALK MEMBER
海技員
船長
松下 尚美
2006年 中途入社
- 二等航海士(海上勤務:自動車船、陸上勤務:自動車船部)
- 一等航海士(海上勤務:自動車船、陸上勤務:人事部)
- 船長(海上勤務:自動車船)
港湾ロジスティクス
事業統括チーム
神田 愛
2004年 中途入社
- 不定期船部
- MITSUI O.S.K. BULK SHIPPING (EUROPE) LTD.
- 自動車船部
- 育児休職(4年)
- 港湾・ロジスティクス事業部
港湾ロジスティクス
事業統括チーム
堀田 洋介
2007年 中途入社
- 財務部
- LNG船部
- 商船三井システムズ株式会社
- 定航部
- MOL LINER, LIMITED
- OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.
- 港湾・ロジスティクス事業部
CHAPTER 01
ジョブローテーションで
人財力を高める
堀田
MOLのダイバーシティ、つまり多様性を高めるための最たるものと言えば、ジョブローテーション制度が挙げられると思います。入社後は大体3年ごとに、異なる部署をローテーションするケースが多いのですが、新しい仕事へのチャレンジは非常に刺激的で面白く、自分自身の新たな可能性を知るきっかけにもなります。
神田
新しい仕事を通じてさまざまなことを学べると、一回り成長することができたと感じますよね。しかも、ジョブローテーション制度が定着しているからこそ、受け入れる側も柔軟に対応する風土があり、初めての仕事や環境であっても、臆せず飛び込んでいくことができます。
松下
海上職の場合は、ジョブローテーションによって乗船する船の種類が変わります。船が変わるだけだと陸上職に比べて変化が少なく感じるかもしれませんが、船ごとに特性があり、操縦性能、貨物の取り扱い、荷役(にやく)方法などが大きく異なりますから、得られる経験値は決して少なくはありません。また色々な船や現場を経験することで、さまざまな人とつながれるのが良いですね。人脈を広げていくことによって、課題解決力が向上し、仕事がより進めやすくなります。
堀田
ジョブローテーションは、言うなればMOLの社内で転職を繰り返しているようなもの。色々な仕事を経験する中で、自分の得手不得手を見つけつつ、どの専門性を磨いていくべきかを検討できるので、キャリアの幅が大きく広がります。
CHAPTER 02
多様な文化・価値観とふれ合い
神田
グローバルな環境で働く中で、仕事を通じてさまざまな文化や価値観に出会えるのも、MOLならではの魅力だと思います。私がロンドンに駐在していた時は、同じ職場にはさまざまな国籍のスタッフがいました。そうした環境であるからこそ、基本的なことですが信頼関係がとても大切で、たとえ日本人同士であっても英語で話すことを心がけました。自分が逆の立場になると痛感するのですが、知らない言語で会話をされると、そうした意図がないのはわかっていても、どこか疎外感を感じてしまうものです。スタッフ全員が一体感を持って仕事ができるよう、自ら心がけるのはもちろん、母国語で話しているスタッフがいれば、その旨をしっかりと伝え、改善してもらうようにしていました。
堀田
国籍の違う人や異なる価値観を持った人と仕事をする時は、コミュニケーションの密度には特に気を付けますね。海外現地スタッフの多くは、日本人のような「以心伝心」「ついでにやってあげよう」という感覚は希薄です。だからこそ、指示伝達にはかなり気を配り、お願いすること・期待することを細かな部分まで丁寧に伝えるようにしています。個々人の能力は皆さん非常に高いですから、個として動いてもらいつつもチームとしての成果を高めていけるような、舵取り的な役割を担うことが多かったですね。自分の価値観・考え方を相手にはっきりと主張し認めてもらうだけではなく、相手の話をよく聞き、相手の価値観・考え方を理解しようと努めることが大事なのだと実感しました。
松下
陸上職に比べると、海上職は意識しなくてもダイバーシティを実践しやすい環境と言えるかもしれません。私たちの使命はシンプルに言ってしまえば、目的地まで船と貨物を安全に運ぶこと。その目的に向かって船員全員が一丸となりますので、価値観や国籍、宗教の違いが壁になってしまうようなことはないですね。互いに文化や習慣を尊重し合うことが大切です。また性別の問題についても、むしろ男性側が気を遣っているな、と感じるシーンの方が多いです。私個人としてはそうした気遣いも不要と言いたいところですが、今後女性の海上職の割合がさらに増えていけば、この辺りの温度感もより良くなっていくのではないでしょうか。
神田
あとやはり海外で働くにあたって大切なのは、仕事以外のコミュニケーションもしっかり取ることだと感じます。仕事終わりにパブに行って一緒にお酒を飲んだり、サッカーの試合を見に行ったり、それぞれの国の料理を食べに行ったり。そうした仕事の外での付き合いが増えれば、自然と絆も深まり信頼関係も強くなりますから、仕事も進めやすくなるのではと思います。
CHAPTER 03
働きやすさを守るのは、
制度ではなく組織風土
堀田
ワークライフバランスの面で言えば、産休・育休制度や時短勤務制度、在宅勤務など、必要な制度は一通り揃っていると感じます。実際、私も小さな子どもがいますが、特段働きにくさを感じたことはありません。
神田
制度がある、というのはもちろんなのですが、周囲の人の理解が進んでいるのが特徴的だと思います。制度があっても使えない、使いにくい、では意味がないですからね。働きながら子育てをしている先輩社員がたくさんいて、育休や時短勤務制度などを利用しながら頑張ってこられたおかげで、子育てをしながらの働き方について周りの理解も深まり、以前と比べてそれらの制度を利用しやすい雰囲気もできてきた気がします。直属の上司である堀田さんをはじめ、仕事と子育てを両立する難しさや大変さを皆が共感してくれているからこそ、働きやすいと感じるのかもしれません。
堀田
子育てをしていると、どうしても不測の事態というのは起きてしまうものですし、それによって仕事に支障が出てしまえば、本人の精神衛生上も良くありません。だからこそ、部署内で仕事をしっかりと共有し、いつでもサポートし合える環境をつくっています。
神田
もちろん助けてもらうばかりではなく、子どもの体調不良などで自分が急に休んだ場合にも業務が滞ったり、周りに迷惑をかけたりすることがないように工夫が必要です。業務の進捗状況を密に共有し、時間管理をきちんとして、自分のできる時間内、範囲内で優先順位をつけて効率よく仕事をするように普段から心がけています。家でも会社でも周りの理解、サポートがあるからこそ仕事と育児の両立ができるのだと思います。
松下
海上職の場合、一度航海に出てしまうと、数ヵ月間は家に帰れなくなってしまうので、パートナーや親兄弟、ご近所さんや家事手伝いのサービスを利用するなど、協力体制をしっかりと整えておくことが大切です。会社側も航海のタイミングなどを可能な限り調整してくれますから、その間にしっかりと家族と相談して準備をしておかなければなりません。子どもと会えない期間が長くなるのは寂しいものですが、その分一つの航海が終わればしっかりと休みを取ることができますし、決してすべてを犠牲にしなければならないわけではありません。選択する権利は常に自分が持っているということを自覚し、自分自身のキャリアの進め方や家族に対する想いと向き合っていくんです。