STORY 01

ウインドチャレンジャー

風力で動く次世代帆船で
GHGを削減

風力で動く次世代帆船で
GHGを削減

世界のGHG(二酸化炭素等の温室効果ガス)排出量のうち、海運業が2.5%を占める。これほど多くのGHGを排出する産業はなかなかない一方で、重要な輸送インフラでもある海運。
海運業全体としても社会的責任を果たさなければならない。だからこそ、MOLはGHGを排出しない風力を船の推進力に変える本プロジェクトを推進している。

INTERVIEW

ゼロエミッション
技術革新チーム

水本 健介 サブチームリーダー

CHAPTER 01
自動制御の硬翼帆で風力を最大限に利用

クリーンエネルギーである風に着目したこのプロジェクトは、海運業にどのような影響を与え、脱炭素社会の実現に一役買うのでしょうか?

水本

まず世界のGHG(二酸化炭素等の温室効果ガス)排出量のうち、海運業が2.5%を占めています。これほど多くのGHGを排出する産業はなかなかない一方で、重要な輸送インフラでもあるわけです。だからこそ、世界中がカーボンニュートラルを目指す中、海運業全体としても社会的責任を果たさなければなりません。GHGを排出しない風力を船の推進力に変える本プロジェクトが実現すれば、確実に脱炭素へとつながります。

具体的にGHG排出量はどれくらい減らすことができますか?

水本

1本の帆で約5〜8%のGHG排出量削減効果が見込めます。さらに風は無尽蔵の自然エネルギーで、船の燃料の種類に影響されません。エネルギーシフトが進んでも、帆は手を加えず継続して使えるんです。

汎用性が高く経済的ですね。ウインドチャレンジャーを実用化するにあたり、硬翼帆の素材や仕様にもこだわったとか。

水本

その通りです。大幅な軽量化を図るため、大型貨物船への大規模採用は世界初となるGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を表面の大部分に使っています。また、風の強さや向きをセンサーで感知して帆の伸縮・回転を全自動で行うシステムを構築。乗組員に専門的なスキルは必要なく、簡単に風力を最大限かつ効率的に推進力として利用できます。

そしてついに、第1船が2022年10月に竣工し、運航を開始しました。

水本

第1船はあくまでも、はじめの一歩です。2030年までに複数の船に帆を実装し、他のGHG排出量削減対策も組み合わせながら、20%、30%減といった高い排出量削減効果を持つ船を実現させたいですね。そして、自社船だけでなく他社の船にも搭載されることを目指しています。

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